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スピッツと夏の青森

 僕はいつからか、ほとんど音楽を聞かなくなってしまった。
 大学時代や社会人になりたての頃は、たまにCDを買っていたし、流行曲もそこそこ知っていた。
 しかし最近は年に一度、年末の紅白歌合戦で流行の音楽に触れるだけで、それ以外は音楽と無縁の生活を送っている。

 そんな僕であるが、唯一新譜が出れば抑えるのが、スピッツである。
 スピッツはロビンソンがヒットした頃から好きではあったが、数年前に一度気まぐれでライブに行ってから、すっかりハマってしまった。

 何しろCDで聞くのとライブでは全く印象が異なるのだ。
 もちろんヒット曲をライブで聞くのもいいのだが(チェリーを初めて生で聞いたときは感動した)、それ以上に良かったのが、昔のアルバムに入っていた曲であった。
 8823、俺のすべて、恋する凡人、けもの道など。
 CDで聞くのとは全然違う。
 ていうか、CDより上手いんじゃないか?
 そんな風にすら感じた。

 僕は勝手にスピッツはパンクバンドなんじゃないかと思っている。
 歌詞を見ると、甘い言葉が並んでいるように見えるのだが、ひとたび解釈を変えて見ると、まるでパンクバンドのような歌詞に変わる(ように思える)。
 もちろんこれは僕がそう思うだけで、そうじゃないのかもしれないけど。

 さてそんなスピッツであるが、今年新しいアルバムが出て、ライブツアーが行われるという。
 僕はモバイル会員というのに入会し、先行抽選に応募した。
 先行抽選は第5希望まで応募でき、今回は僕の住む北海道では札幌2回、帯広と釧路で1回ずつの計4回行われるので、どれかは当たるだろうとたかをくくり、第5希望は青森市とした。
 そして抽選結果のメールが来た。
 結論としては北海道内の会場はことごとく外れ、第5希望の青森市が当たった…。
 
 北海道と青森は隣同士ではある。
 しかし札幌と青森ではJRで450km以上の距離があるのだ。
 これは東京から京都の手前くらいまでの距離に相当する。
 当選と同時に決済されるので、キャンセルもできない。
 ということで僕は7月半ばに青森市に行くことにした。

 超プラス思考で、その移動時間に小説のネタでも考えよう。
 そう思っている。
 思いがけず訪れることになった、夏の青森。
 何十年ぶりだろう。
 ちょっと楽しみにしている自分がいる。
 
 
 
 
 

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