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タソ、お風呂へ



アトピーの塗り薬がなくなってしまいました。

皮膚科に行って、もらってくればいい話なのですが、その皮膚科の先生に怒られるのが怖いの。

「一年も放置したら悪くなるに決まってるでしょ! ちゃんと『この日に来なさい』って言ったよね!?」

一度、こう言われて怒られたので、また半年も病院に行かなかったタソは、きっとまた怒られます。



タソは考えました。

病院に行かなくてもいい方法を。

「そうだ。毎日お風呂に入って、乾燥肌用の保湿入浴剤も使おう。そしたら良くなるに違いない」

タソはいつもの薬局で、保湿入浴剤を購入しました。
病院と薬代だと思えば安いものです。



家に帰ったタソは、さっそくお風呂を沸かし、清潔なおパンツとTシャツ、バスタオルを用意して、脱衣所に向かいました。

タソは自分の体や顔を見るのが嫌いです。

若い頃は良かったのですが、この歳になってからは、醜くたるんだ肌、太ったお腹、カサブタだらけの手足を見るだけで吐き気がします。

「相変わらず醜いなあ。この豚め」

久しぶりの自宅のお風呂は汚くて、床や天井にたくさんのカビが生えていました。

保湿入浴剤を湯船に入れると、透明だった薬剤が白く変色し、お風呂のお湯が綺麗な乳白色になりました。

「あは。綺麗。効きそう」

お風呂に浸かると、相変わらずアトピーがシミて、チクチク痛かった。

漏電や暗殺者に怯え、狭い空間に息切れと動悸を起こしながら、タソは10分ほど温まりました。

10分も入っていると、体のあちこちが痒くなってきます。

「うぐぐ、かゆい。でもここで掻きむしるとお風呂が汚れるし血も出ちゃう。我慢我慢」

タソは我慢が出来ない子です。

「ファーーー! 痒いーーー!」

ぼりぼりぼりぼりぼりぼりぼり

一気に汚れるお湯。
掻きむしるほどに更に痒くなる肌。

「アーーー! 痒い! 痒い!」

ばっちゃばっちゃと、まるで溺れるように背中や肩、手足を掻きむしると、ようやく痒みが痛みに変わってきました。

「はあ、はあ、はあ」

湯船はまるでドブのように汚れ、いくつものカサブタが浮いていました。

タソは開き直って、湯船で全身を洗うという暴挙に出ました。

「ふんふふーん、お風呂を汚すのは気持ちいいなあ」

ひと通り体を洗い終わったタソは、ヒリヒリする肌の刺激を我慢しながら、バスタオルで体を拭きました。

バスタオルは血だらけ。

「ハア、これだからお風呂嫌い」

お風呂のお湯を抜き、全裸で湯船を掃除して、お風呂を出ました。

「スンスン、いい匂いがする」

タソはいい匂いになった。

髪を乾かしている内に血は止まり、いつもはカサカサに乾いてしまう肌も、明らかにしっとりしていて、保湿入浴剤が効いているのがわかりました。

でも、やっぱりいつもよりヒリヒリする。

「うーん、痒いよりはマシか」



お風呂を出てからは、気温の割に体感温度が低いことに気付きました。

きっと、汗をかいているからだと思います。

いつもはお風呂を出ると暑くて仕方ないのに、扇風機に当たっているだけで、寒さすら感じました。

今も、エアコンや扇風機なしで快適です。まあ、今日は涼しいというのもありますが、夏場でこんな事は初めてです。



購入した保湿入浴剤は、「キュレル」というメーカーのもの。
1000円と、少し値は張りますが、効き目は確かなものでした。

なんでもセラミドという成分? に効くらしいです。

乾燥肌でお悩みの方にはオススメ。



タソは、明日もお風呂に入ります。

綺麗なタソになるんだ。うふふ。

毎日頑張ったら、アトピーも治るかなあ。



でも、頑張れるか心配。

タソは三日坊主だからなあ。



アトピー根絶日記、頑張る。


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