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マイナンバー



タソは今日えらかったんだ。

障害年金の申請に、家族全員分のマイナンバーカードか通知カードが必要だったんだけど、ちゃんと奥さんに「カード下さい」って言えたんだ。

もう2ヶ月も話してなくて、なんて言えばいいのかわかんなかったんだけど、勇気を出して話かけたんだ。

タソはリビングを自分の部屋にしているので、奥さんとは普段、顔も合わせません。

食事も洗濯も別だから、接点がないのです。

早く離婚したい。



タソが「障害年金の申請に必要だから」と言ってマイナンバーカードを要求すると、奥さんは「子どもの分はない」と言い出しました。

なんだろうね。

とにかく「否定したい」という意思を感じます。
きっと、タソの言う通りにするのが嫌なんでしょう。

タソは冷静に「顔写真付きのじゃなくて、通知カードでいいから貸してもらえる?」と聞くと、5秒ぐらい沈黙してから「わかった」と返してきました。

5秒間、何か否定するポイントがないか探していたのでしょう。



イライラする。

レンチでボコボコにしてやりたい。

まずい。このままでは殺してしまう。

早く離婚しないと。



我慢我慢。

あと少しで申請も終わるし、離婚調停も始まる。

離婚調停は、夫婦別々の部屋で個別に対応してもらうようにお願いしました。

5月末に申し立てしたのですが、まだ第1回の日程が決まらないそうです。

離婚調停も波乱の予感。

途中でキレてしまわないように個別にしたのは、きっと正解だったと思います。

奥さんの顔を見てるだけで殴り散らしてやりたくなる。



実を言うと、離婚調停は初めてではありません。
7年前にも一度申し立てをしているのです。

その時は、結果だけ言うと「当面別居」という判断が下されました。

離婚できなかったタソは首を吊りました。

その時もお金が原因で離婚に踏み切ったんだっけ。
タソは当時働いていて、月に10万円の生活費を欠かさず毎月渡していました。

ある日、お金がないという奥さんの主張に、「あれ? 足りないかな」と思いながらも、生活用の口座に15万円預け入れしました。

2週間後、奥さんはまたお金がないと言ってきました。

その時、タソは「何に使ったのか知らないけど、これ以上は破産するから大切に使ってくれる?」と言って、さらに10万円預け入れしました。



そして平成28年8月30日。

「お金がないの!」
「はあ!? 10万どうしたの!?」
「全然足りない!」
「いや、何に使ったんだよ」
「…………」
「もう渡せるお金ないからなんとかして」

この時、なんと奥さんは働いていて、自分の給料は自分のために使っていました。

いまだに何に使ったのか判明していません。

その後、タソは離婚の準備を進め、協議書と離婚届けを台所に置いて、家を出ました。



なんであの時、離婚できなかったんだろう。

調停員は、60歳前後の男性と女性で、終始、奥さんの味方をする偏った態度でした。

今回の調停員はどんな人だろう。

あの時は「当面別居」と言われてショックのあまり何もできなかったけど、今回は行くとこまで行ってやる。



訴訟も辞さない。

タソは怒ってるんだ。


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