タソの心は絶望でいっぱいです。
何がタソを生かしているのかわかりません。
「もう死ね」としか聞こえない暴言を浴びせられ、タソは「もうこの人とは一緒に居たくない」と心から思いました。
タソは既婚者です。
奥さんに生かされていましたが、もう生活費はもらえないのだと確信しました。
明日のご飯を食べるお金もありません。
台所には、タソの分の食事は用意されていません。
奥さんの「ただいま」を聞いたのは何年前の話か忘れてしまいました。
タソは家庭裁判所に行きました。
もう終わりにしよう。そう思いました。
これから離婚調停が始まりますが、その間の生活費がありません。
つらい。
もう諦めてしまいたい。
いっそ、横断歩道ではねられて入院でもすればいいのかなとか思ったり。
何もかも地獄へ落としてしまえばいいのかなと思ったり。
地獄は行きたくないなあ。
今日、障害年金がもらえないか担当の先生と話をしました。
もらえる確率はとても低いそうです。
また、仮にもらえても、4ヶ月先の話だそうです。
タソは、それまで生きていく自信がありません。
『死ぬ気になれば何でもできる』
これは嘘ですね。
『何でも』はできません。
タソは当たり屋になるのを、ぐっと堪えています。
無差別に加害者を作り出す行為です。
ちゃんと良心が『やめろ』と言っています。
タソは知っています。
昼間の見通しのいい時間帯であれば、『信号のない』横断歩道において、歩行者を轢いた場合、過失割合は0対10で歩行者の勝ちです。
仮に歩行者が飛び出したとしても、です。
信号があれば別ですけどね。
さて、それじゃあどうやって明日生きていけばいいのでしょうか。
答えは出ない。
時々、タソはもう既に死んでいて、絶対に死ねないように生き地獄を味わっているのだと考えることがあります。
何年も、何年も。
タソの罪が許されるまで。
何度謝っても、お墓からは返事がありません。
さあ、絶望の世界を歩こう。
それは果てしなく重く、冷たい暗闇を進む虚しさ。
タソの武器はいつでも『言葉』です。
痛いところ突かれて反論もできない、黙秘を続ける奥さんを、元奥さんにしてみせる。
対話から逃げるなら、法廷にでも引っ張り出してやる。
もう、逃さない。逃げもしない。
タソは怒ったら怖いんだからな。