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未来予測

タソは自動車学校の教官だったことがあります。

検定員と呼ばれる、いわゆる試験管も勤めてた中堅でした。

特にバイクは大好きで、今でもバイクの運転なら誰にも負けない自信があります。えっへん。

でも頑張りすぎておかしくなってしまいました。
元からおかしかったんじゃないよ? 仕事し過ぎておかしくなったの。うひひ。

タソが1番重要だと思っていた学科と技能の教習は、セット教習と呼ばれる学科と技能をセットで行う『危険予測』の勉強です。

これがちゃんとできてたら、事故は起きません。

事故の被害に遭われる方は、どこかこの予測がうまくいっていないのです。

歩行者の視線、自転車の進路、どこかに危険が潜んでいて、それを予測できた人は必ずブレーキをかけます。

そうそう。

危ない! 避けろ! は失敗します。

危ない! 止まれ! が正解です。

タソは危険予測を完璧にできる人を目指しました。
それはもはや超人の領域を目指す勢いで、普通の人はもうちょっと妥協します。

ですがタソのエンジンはフルスロットルです。

「ふふ。未来が見える」

タソは壊れました。

今日も、先生とのお話はどんな風に展開されるか、タソは壊れたエンジンで幾つもの未来を予測しました。

こう言ったら、こう返される。
こう答えたら、こう突っ込まれる。

しかし、結末というものは、予想だにしない展開となり、家族を呼び出される始末となりました。

でも悪くない話でした。

結論から言うと、まだ結論は出せない。
という先延ばしの展開です。

タソは、少しホッとしました。

まだ生きてていいんだなーと。

家族を含めた話し合いが、どんな結果を産むのか心配ですが、タソは今日もあれこれ考えて来週まで頭がいっぱいです。

未来が見える超人になりたい。

厨二病? いいえ。誰もが胸に抱く『進化』の種子です。
それはいつしか芽を出し、みな独特の技能を身につけていくのです。

夢のような話でしょ?
ふふふ。実はね?…………


「タソ、次の悪魔はあいつだ」

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