タソのおうちは田舎で、林とか森とかたくさんあるのです。
タソのおうちの向かい側にも雑木林があって、そこにノラ猫やら狸やらが住み着いています。
タソはお金もないのに、外の猫達にご飯を用意しています。
カラスやムクドリもやって来ては、ご飯争奪戦争が勃発するのでした。
いつもの定位置でタバコをふかすタソは、比較的レアキャラな「たぬ吉」と目が合いました。
「むむ。あれはたぬ吉」
たぬきの挨拶、知ってますか?
頭を上下させて、まるで赤べこのようにヘコヘコするのです。
タソはすかさずたぬ吉に挨拶しました。
たぬ吉はタソがいるので、ご飯を食べに行けない様子。
タソは仲良くしたいのですが、そこまで懐かれてはいません。
でも、たぬ吉も逃げないので、タソのことが嫌いではない。と思っているのですが。
タソは早々とタバコを吸い終えて、そっと家の中へと入って行きました。
きっと、それを見たたぬ吉は、他の住人達に警戒しながらご飯を食べたのでしょう。
「あいつまたたぬ吉とか抜かしおって。うちはメスやねん。もっと可愛い名前にしてや」
今日もうちの庭ではご飯争奪戦争が盛んです。
特にカラスは無限にご飯が湧き出る餌皿を超レアアイテムと認定して、皿ごと巣に持ち帰ろうとします。
しかし、陶器のお皿なので、重くて持ち運べず、いつもご飯を撒き散らすだけの迷惑行為になっています。
誰だカラスが頭良いとか言った奴。
猫たちは撒き散らされたご飯は食べません。
たぬ吉は、そんな地面に撒き散らされたご飯でも文句を言わずにモリモリ食べます。
明日もたぬ吉に会えるかな。
いつか、懐いてくれるといいな。