今のマッキーにとって、実害の少ない真実より、花とホーリーが耳打ちして、何かを目論んでいる事実の方が自尊心を傷つけられるより、大きかった。
(ここでホーリーに話させてしまうと、ホーリーは花、日菜子、アダッチー、ヨッシーと打ち解け合い、楽しく語らうのを悶々と打ち剥がれ、愛想笑いで聞き流す嫌いな自分の姿が容易に想像できた。脱却したくても脱却できない嫌いな自分の姿。この場を乗り切って、ホーリーと二人になったときには、店に入る前とは別人のホーリーに見えてしまう。ホーリーに馬鹿にされる自分…。いや、そう思えてしまう自分が嫌で嫌で堪らなかった。冷静に考えれば、アイドルを目指そうとする者が醜聞を自ら撒き散らすはずがない。しかし、その考えを挟む余地は全くなかった。それは、日菜子の存在感にあった。日菜子は初対面にも関わらず、男たちを隷僕のように扱い、それが心地いい場の空気感を作り上げていた。女王様のお言葉は絶対だ。そう思うことが快感にもなっていた。そうだ、これは女王様の命令なんだ。従うことに何の躊躇いがいるのだろうか)