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いとゆう荘よろず屋綺譚について

 たいしたことは書いていませんが、完結した記念に。




 大阪という街が好きです。大学時代に四年間住んだだけなのに、たまに訪れると「帰ってきたな」と思える、思わせてくれる、ふしぎな街です。

 だから『たそがれ重畳奇譚』の舞台は大阪府鹿嶋市(大阪府と名がつくだけで登場する舞台はすべて架空ですが)にしました。来るものを拒まず、望むものは引き摺り込む、力なきものも引き摺り込む、ちょっとぐるぐるして懐かしくて怖いって感じの大阪のつもり。
 一方で『いとゆう荘よろず屋綺譚』は、アパートもの書きたい、ちょっと不思議な話にしたい、と思い立ち、不思議な力があるゆえに孤独な人びとを拒みもせず受け容れる街ということで、やっぱり大阪にしようと決めました。で、書き慣れた鹿嶋市。

 光舟や美沙緒を描くとき、脳裡にはいつも大阪の友人を思い浮かべましたが、関西弁にも地域性があると思うので実はあんまり自信がない。なので自分が、好きだな、と思うことばを喋らせています、惜しむらくは、小説ではイントネーションが表現できん!
 マクドナルドを「マック」と言う地域で育ったわたしは、大阪でみんなが「マクド」と言うのに驚き慄きました。それと同時に大阪の人は「マックってお洒落でええなぁ」と言ってくれました。おしゃれなのか……?

 お話としては、異能をもつがゆえに孤独を抱えた人々が吹き溜まるアパートで、いっとう卑屈な主人公が少しずつ前に進んでいく話……のはず。
 作中では二か月しか経っていないのでたいして前進しませんが、最初の頃は脳内で怯えたり脳内でつっこんだりしていた忍が、最後らへんは赤金相手にツッコミを入れられるようになっているあたり、一応成長はしているようです。
 書きやすいのは忍で、書いてて楽しいのは苑爾、動かしやすいのは赤金、めちゃめちゃ好きなのは琴子でした。琴子……もっと書きたかったです。あと性癖はコーネリアスですね多分。翼が生えるのを待てなかった某問題児、どうしてもうまく描けなくて悔しいです。

 それからどうでもいい設定ですが、忍たちの通う幸丸大学はもちろん『たそがれ』の秋津たちの通う幸丸大学だし、いとゆう荘のご近所にある立派な洋館は師匠んちです。忍が一回生で、苑爾たちが三回生で、秋津たちは四回生。互いに会うことはないしお話が交叉することはないんですが。
 あとさらにどうでもいい話なんですが、翔馬や惠はユーチューバーですが、秋津と千鳥はニコニコ動画のほうです。

 ……こんなところでしょうか。
 生きているときにぼんやりと考えるよしなしごとをそこはかとなく拾い集めてできあがったお話です。のんびりまったり好きなように供養できて幸せでした。おつきあいくださりありがとうございました。
 またいつかのお話でお会いできますように。

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