• エッセイ・ノンフィクション

「火星に住むつもりかい?」を読みまして

 表題の通り、伊坂幸太郎著「火星に住むつもりかい?」を読了しました。

 読書感想文には苦手意識があるのですが、先生に提出したり、みんなの前で読むわけでもないので、綴ってみようと思います。

 ネタバレなしのあらすじとしては、現代に異端審問、魔女狩りがあるとすれば、といった内容です。描写は結構えげつなく、読み進めるのに、なかなかカロリーを消費しました。
 というのも、明確な残酷描写がなされているわけではないんですが、登場人物に嗜虐趣味を持ったキャラクターが多い! 喫茶店や電車で読んでなければ「ええ……」「やだあ、こんな人……」と呟いていたと思います。とはいえ、全体的にドライ且つ淡々としたテンポで物語が進んでいくので、必要以上に感情を揺さぶられることはなく、“ドン引き”の範疇に留めておけるくらいにセーブされていたので、助かりました。

 物語の語り部役を半分以上担っている人物が、「やだこんな人」側なのが、ものすごい思い切ってるなあと読んでて思いました。魅力的な悪人というわけでもなく、本当、「うわ、嫌だなこの人」くらいの塩梅。でもおかげでスムーズに物語は進むんですよね。「洗脳済みの愚かな公僕(ただし無能ではない)」視点から見る物語は初めて読んだ気がします。

 ただ、割と現代の魔女狩り系の物語を読むときに、つい、いつも引っかかってしまうのが「善良な市民達」の描写。
 本作でもみんな、公開処刑を心の底では見たくてたまらない、いいからさっさと処刑しろと思ってる──みたいな描写があるんですが、どうにも現代日本社会に於いて、現実味が欠ける気がしてしまって。
「いやそうはならんでしょう」ってなっちゃうんですよね。

 でも思えば、ディストピアな作品は大体が「人類が今よりほんのちょっとバカになったら」というif世界で成り立っている気がしますね。となると「善良な市民達」が露悪的に描写されるのも仕方ないのかも。
 この本に関しては、あくまで「善良な市民達」の描写は薬味であってメインどころではないので、なおさらそこに引っかかってもしょうがないのかな、とも。

 なんかダラっと綴りましたが、簡潔にいうと「面白かったけど疲れた。次は癒される本が読みたい」です。

 動物のお医者さんでも読もうかな。 

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