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「名誉毀損が怖くて、私小説が書けるか!」……とは言えなかった話

 前回の近況ノートで、純文学らしきものを書いていると報告しました。もう少しはっきり言うと、書いていたのは「私小説」です。

 私小説は、下調べの必要もなく、「オチをどの人生のイベントにするか」さえ決めてしまえば、ストーリーは確定しています。あとは記憶をたどって書いていくだけ……。さくさくと、あっさり第一稿は書き終えました。

 ところが、念のため「私小説」「名誉毀損」で検索してみると、出てくるのは過去の判例の数々。どうやら、人名を変える程度では済まないようです。

 不幸なイベントというのは、天災や事故のような不可抗力よりも、人が関わってくる場合がほとんどです(まあ、私は阪神大震災に被災しましたが)。自分にとって不幸だった出来事を、自分の視点で描くと、その数だけ“悪者”が登場する。そして、それがまだ生きている人だったりすると、問題になるわけです。

 そんなわけで(新人賞を受賞して公開される確率はとてつもなく低いとは思いますが)、名誉毀損の内容証明郵便が届くリスクを考え、私の「純文学らしきもの」はお蔵入りとなりました。最初に「書くべき」と勧めてきた段階で、こういうリスクを教えんかい! 生成AI! という心境です……。

 私の心臓の鼓動が止まった瞬間、パソコンのハードディスクに眠る作品がネットに拡散されるようなデバイスとアプリの組み合わせがどこかに売っていたら、もう少し考えるのですが……。それでも、万が一救急救命士や医師によって蘇生させられたら、それはそれで新たな悲劇の始まり……ですね。

 とにかく、仕方がないので「習作をした」と思って諦めることにしました。私の悲しい過去と怨念が、どうぞハードディスクの中で昇華されますように……なむあみだぶつ、なむあみだぶつ。

 現在は、別の新人賞に切り替えて、改稿中の作品があります。目途が立ったら、次回の近況ノートで報告できたら、と思っています。

 それでは皆様、9月も中旬だというのに暑い日が続いておりますが、健やかに執筆活動をお続けください。

それでは、また。

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