グレーダン教典:はじまりの一節(1話より)
嘗て世界を創造した神は、世界を管理させるため自らの姿に似せたヒトを創造し、男と女に分けて均しく役割を担わせた。
しかし体格差や力の差などを以って男は女の優位に立ち、支配し従属させ富を集約するようになった。
これを見た神は、哀情と失意のあまり一筋の涙を流した。涙は隕石となって大陸に降り注いだ。
隕石は厄災を齎す7体の悪魔を宿していた。悪魔は隕石の衝突と同時に創世の大陸に棲み着き、苛まれし女を憑代として、民を戒めるが如く厄災を振り撒いた。
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この世界の創世に関しては、いわゆる聖書の創世記1章「天地の創造」と似たようなものと捉えていただいて構いません。「エデンの園」的な創世の地をラ・クリマス大陸としています。
そのラ・クリマス大陸に隕石が降り注いだ史実から教典は起筆されています。このとき衛星であった月は隕石が衝突した原因で砕けてしまい、それまでとは異なる独自の軌道で廻るようになりました。
それ以来砕けた月は「壊月彗星」と呼ばれるようになっています。壊月彗星は5年に一度の周期で接近する軌道となっています。
隕石が大陸に衝突して以降、各地で怪奇現象が多発し死傷者が相次いで報告されるようになりました。火の気のないところで蒼い火災が広がる、晴れているのに竜巻が発生する、など7種類が確認されていました。
その元凶には決まって虐げられていた女性がおり、その不可解な災いに大陸中が混乱に陥りました。
その混乱を鎮めたのが、当時の大陸帝国国王グレーダンでした。
グレーダンは隕石を神が流した涙にたとえ、大陸の民の不徳を戒めるため隕石に載せてこの地に厄災を生む悪魔をもたらしたのだと民衆に訴えたとされています。
本編から千年前の話ですので、まともな立法体系も確立されていない時代のイメージで構いません。
なおグレーダンが隕石を神が流した涙にたとえたことで、隕石は月を破壊して堕ちてきたのならば、創世の神が座す天国は月の向こうにあるのではないかと信じられるようになりました。
※ちなみに以上の史実は、あくまで「グレーダン教典」で説かれている内容となります。