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【年始の挨拶】魚がどうやって群れを作っているのか

魚がどうやって群れを作っているのか。年末年始に本を読んでいると、そんな問いかけをしてくる作者がいた。
その作者いわく、魚が群れを作るには3つ必要な癖があるらしい。

1,なるべく群から離れないように隣の魚に近づこうとする癖
2,近づきすぎると泳ぎにくいから、ある一定以上近づいたら離れる癖
3,隣の魚と同じ方向に泳ごうとする癖

個々の魚は自由に泳いでいるが、3つのことを意識すると自然と全体として表現ができるような動きに変化していくらしい。

作者は次に、アリの話をしていた。
先頭のアリはお尻からフェロモンを出し、後続のアリがそれを追いかける。という単純なロジックでアリの行列を作り、餌を運んでいる。
後続のアリはフェロモンが強いほうに向かって歩みを進める。
フェロモンはというと、時間が経過するにしたがって香りを減衰させていく性質がある。
餌にたどり着く道のりが遠ければ遠いほど、次第にフェロモンは香りを失っていくらしいのだ。

時折、道を外れるおかしなアリが居るらしい。しかし、そのアリは偶に本来皆が辿っている経路より最短距離で餌にたどり着くことがある。そうすると、経路が短いために今まで長い経路を辿っていたアリたちは自然と、最短経路に向けて歩き出すそうだ。

社会に出てからここ数年、周りの能力と自分の能力を比べながら生きてきた。自分の目指している方向は会社の方向性と合っているのか。どんな道のりが会社に対して良い結果を生むのだろうか。そう考えながら日々を送っていた。

きっと組織というのは周りを見ながら一定の運動を行うものなのだろう。僕はまるで魚のようだなと感じた。

会社の飲み会に参加し、おかしなアリのような発言をすると、珍しがられる。皆、魚のように動いているのだから、違う方向を向かって歩いていると感じると、なんだかおかしなことを言う目で見られる。

でも思い返せば、僕は昔からそうだった。皆がある事件に対して同じ行動を取り始めると、僕は無性に違和感を感じる人だった。気持ち悪い、もっと自由な選択肢はないのかと大変窮屈に感じた。
世の中に唯一な正解なんて無い。生き方・死に方でさえ、多様な回答があって良いと思っている。

昨年はコロナ渦の巣ごもり需要の反動で仕事が減った。すぐに食えなくなるような事態では無いが、いろいろ考える時間があった。
沢山のエンタメ作品に触れた。凄さを感じるとともに、自分の書きたいことについて考えさせられた。
きっと、複雑なプロットを考えるような奇をてらった作品は僕には書けないだろうと思った。

昨年は時間があったのに小説が書けなかった。思えば、2019年から2021年までの間は、たくさんの疑問がわいた時期だったように思う。
競争の不毛さ。新しい恋愛の関係性と模索。生き方と死に方。そんなテーマが僕の執筆活動の原動力であったし、「エバーグリーン」「小鳥のさえずり」「フラット」「遊楽生活@異世界にて」「繋物語」「惑星X」「DropOut」「そして灰になる」では小説の形に落とし込んで表現ができたと思っている。

おそらく日本中の人々は、今どうやって中流階級から脱落しないのか必死に模索している時期なのだろう。僕自身も自然とそういう動きになっているし、書店を見て回っても本を手に取る人々の不安が垣間見える。

少しでも正解に近づきたい。満点を取りたい。そんな心情が見え隠れするのだ。
最近では、民間需要の創出を狙った国策が国際的にも増えてきた気がする。時代が戻ったと捉えるべきなのか。水面下にあったものが表層化されたととるべきか。いずれにせよ、GAFAのような巨大企業に対して、国家規模の企業の連合体を作らなければ太刀打ちできなくなってきているのだろう。

大きな方向性・リスクマネーの供給・脱自前主義。時代は戻っているように見えて、環境は前の時代とは異なる部分が大きい。たくさんの思想が生まれては消えるが、周囲の環境の変化は不可逆的に進んでいく。
誰もが気軽に執筆活動をして、投稿できる時代になった。
競争は激しさを増していく。
皆、生き残れるポジションを探している。

果たして現代は生きやすい時代なのだろうか。
生きるに不十分はしないが、精神的には厳しい時代なのだろう。
国内のうつ病の発症率は2020年で17.3%に増えたらしい。


読者の皆さんもどうか身体にはお気をつけて、楽しい2024年をお過ごしください。

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