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書いてみた その2 ディープダンジョン

書いてみた その2こっちは7話くらいまで書いています。
なんか頑張るクラスメートをよそに、のんびりソロで進める主人公的なのをかきたく。
相変わらず序盤の流れが遅く、ダンジョン入るのは5話目くらいになりました。


『|抽選《ガチャ》を行ってください』
 
 黒板だった巨大ディスプレイに表示された文字に麻痺していた感覚が戻ってきた。不可思議な事象の連続で圧倒されていたが、ガチャって何だよって素にもどれたよ。
 いつもの変わらぬ日常だった。高校二年の冬、数ヶ月後には三年生になるということでそろそろ受験やら進路のことがあってめんどうだなあとぼんやり考えていたりいなかったり。
 ガラリと扉が開き、|鄙《ひな》びた痩せぎすの数学教師が姿を現すはずだった。
 最初の異変は、いや、正確には最初に気が付いたのは窓の外。窓の外が真っ暗になっていたんだ。文字通りの暗闇で、灯りがないから暗くなっているわけじゃなく「何もない」暗闇といえばいいのだろうか。真っ暗な画面のような、そんな異様な光景が窓の外に広がったいた。
 だというのに、教室の中はこれまでと同じ色。光の指す方向まで同じで時が止まり、教室という空間を俺たちごと切り取ったかのようである。
 黒板もディスプレイに変化しており、黒い画面に真っ白な文字が浮かび上がったんだ。
『ディープダンジョンの世界へようこそ』
 ってさ。
 元気な生徒たちは口々に叫ぶ。しかし、誰も彼らの問いに答えるものはいない。
 そんな中、俺はあっけにとられたまま固まっていた。
 スマートフォンを取り出して電話やSNSメッセージを送ろうとする生徒、仲の良い者同士で相談を始める生徒、俺と同じように呆然とする生徒……。
 そんな中、|抽選《ガチャ》を行えって。
 一体どうやって?
「おい、スマホが、お前のは?」
「俺もだよ」
 ほほう、スマホとな。
 うわ……。スマートフォンにディープダンジョンとかいうアプリがインストールされており、他のアプリが一切合切なくなっていた。通話やメールも含めてだ。
 お、俺のこれまでの血の滲むような努力が……いや、まだ諦めるには早い。アカウントは残っているはずだから復旧できるはずだ。
 何がって? そらアプリゲームだよ。
 こんな時までアプリゲームの心配をする自分が嫌になってくるよ。
 さて、件のディープダンジョンであるが、シンプル過ぎる画面でまるで興味を引かれない。
 こう美少女やカッコいい戦士とかワクワクするようなトップ画面というのがアプリゲームの常だろ。ディープダンジョンは黒い画面に文字だけというやる気の無さ過ぎるスタート画面だった。上半分は一定時間で文字が切り替わり、下にはガチャのボタンがある。全て白黒のシンプルなものだった。
 気が進まないが、一応チェックするか……。現状、ガチャを引け以外何も見えてないからな。
『さあ、ディープダンジョンをはじめよう』
『君たちを強力にサポートしてくれるガチャを引こう』
『「降臨」「神器」「真理」のどれかが出てくるぞ』
 ……。ゲームぽいことだけは分かったのだが、どんなゲームなのか一切説明がない。ガチャを引いて「何を」するんだ?
 ディープダンジョンというタイトルから想像されるに迷宮探索でもするのか?
 この奇妙な空間からどうやれば元の世界に戻ることができるのか、とか一切説明がない。
 流されるまま、ガチャを引いてしまっていいのか? 現状他の手段がなさそうであるが……。
 誰かに相談を、いやいや、自分で言うのもなんだが俺は純粋培養のぼっちである。二年になってから挨拶・連絡・授業以外で誰かと会話したのは数えるほどしかない。
 こんな時には必殺技がある。「聞き耳を立てる」だ。
『|抽選《ガチャ》を行ってください 残り21人』
 んお、元黒板のディルプレイの表示が増えた。
「お、表示が変わったぞ」
「少しは読んでからにした方がいいぞ」
「ま、変わらんだろ。ヒデもひいちゃえよ」
「晴斗は相変わらずだな。悩んでいたのがばかみたいだ」
 お、おお。クラスのリーダー的存在の二人がさっそく動き始めた。真っ先にガチャを引いたのはスポーツ万能で剣道部で汗をかく爽やかイケメン。
 もう一方は文武両道で男女共に人気がある委員長である。二人とも誰にでも分け隔てなく話かけるので、俺も一度か二度くらいは会話したことがあったな。
 「おはよう」とかそんな……あれ、悲しくなってきた。
 俺たちのクラスを物語にするとしたら間違いなくあの二人のどちらかが主人公だよ。俺? 俺は漫画だったらコマの端っこに後ろ姿が小さく描かれるくらいのモブ未満だろうな。
 モブといえば、右斜め後ろで談笑する二人かなあ。人を見てモブとは失礼な奴だよ、俺ってやつは。モブ未満だから許してくれ。
 と心の中で謝罪しつつ次に注目……というか話し声が聞こえてきたのはオタク気質な二人である。
「ふん、所詮ゲームだろ」
「ソシャゲみたいなもんなのかなあ」
「ガチャでSSSを引くかどうかだろ、こんなもん」
「一発勝負だったら嫌だなあ」
 ふむふむ。ガチャからソシャゲを連想したのか。ソシャゲをやったことがあれば、誰しもがそう思うだろうなあ。
 リセマラできそうにないよなあ、ディープダンジョンの場合は。となると課金してガチャ引けるのかどうかとか、気になるところ。
「へえ、『神器』|小狐丸《こぎつねまる》だってよ。ゲームっぽいなこれ」
「僕は『降臨』英雄ウプサラというものだった。誰だかも分からないな」
「検索もできないもんなあ」
「そうだね」
 主人公格の二人は神器に降臨だったらしい。
 オタクな二人も降臨と神器と聞こえてきた。
『|抽選《ガチャ》を行ってください 残り2人』
 いつの間にやら元黒板ディスプレイの残り人数があと二人になっているじゃないか。
 俺が必殺技を駆使している間に状況が進み過ぎだろ。
 そろそろ俺も動くべきか……スマホを手に取ろうとしたら声がかかる。
「松井くん」
 女の子の声にビックリして椅子からずり落ちてしまった。
 ガガガガガ!
 床から鉄の棒がでてきて、俺の座っていた椅子を貫いた。
「あ、う……あ、ありがとう、た、助かったよ」
「う、ううん、松井くんがスマホ触ってなかったから、まだ引いてないのかなと思って」
 こ、声をかけられなかったら大怪我をしていたぞ。ありがとう、ええと、確か山田さん。
 肩口くらいの長さの黒髪で、猫のピンでとめておでこを出している。垂れ目のタヌキ顔? というのか、間違いなく美少女の部類に入る……と思う。
 クラス内人気投票でもトップ3に入るのだとか何とか。正直、よく分からん。
 声をかけられることになれていないことが幸いした。声をかけられるだけで椅子からずり落ちるとか我ながら酷いが、結果的にそれで助かったのだから何も言うまい。
 尻もちをついたまま黒板ディスプレイを見ると残り一人になっていた。速くガチャを引け、との圧なのだろうな。
 指示に従わないとやっちまうぞ、ってか。怖すぎるだろ。
 引くよ、引けばいいんだろ。
『「真理」物知りなイルカを取得しました』
 う、うわあ……分かってた。分かってたよ。モブ未満の俺には微妙過ぎるガチャ結果が相応しい。
 いや、まだ微妙だと決めつけるには早いだろ。物知りなイルカってやつがどんな性能なのか未だ不明なのだから。

5件のコメント

  • だからタイトルが「教えて著作権」なんですが?(笑)

    『ドラゴンバスター』もそれなりに有名だと思ったんですが、これは酷い(笑)。
    今となっちゃあ只のなつゲーですが、ファミコンディスクシステム初期のスクウェアの名作ですぜ。3まで出てます。
  • 仮なんで、仮なんすよ。
    ルーを追いかけていたらラスボスがルーだったとかしらないんすよ。
    そして4まで出てるよ!
  • なにぃ!? 4なんて知らんがな!
    ルーの武具シリーズはウィザードリィのダイヤモンド装備のパクリとか言わない(笑)。
  • ロトシリーズとか定番ですよね!
  • ルーのは、倒したら使える最強武具って時点でダイヤモンドくささが……(笑)。
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