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自主企画「短編ミステリの感想を書かせてください」総括

無事、企画期間が終了しました。短い間ではございましたが、参加していただいたみなさんには改めてお礼申し上げます。

わがままな企画だったと思います。「ミステリの感想」とは言ってますが、正確には「本格ミステリの観点からの評価、アドバイス」というのが正しい気がしないでもないです。参加者本位で考えるなら、あらかじめそう宣言した方がよかったのでしょう。ただ、実際どういう「感想」になるか未知数だったので、若干ルーズな表現になりました。

わたしの企画は基本的に「主催が全部読む」という前提の下、運営しています。ただ、正直、ものによっては感想が書きづらかったりするんですよね(笑)。どこがおもしろいのかわからない、という場合もありますけど、それ以前に「かっこいい」とか「かわいい」みたいな直球の感想を書くのが苦手なので。その点、ミステリは技術論を感想と言い張れるとこがあるので楽です(そうは言っても、一度、途中まで書いてた感想が消えたときは投げ出したくなりましたが)。全作に何らかのコメントを残す。その前提で何ができるか、とチャレンジしてみたのがこの企画でした。

ジャンルの作法に寄り掛かった読み方は、読書の可能性を狭めなけなないのですが、今回はあえてそういう感想をぶつけて作者の方の反応を見てみようという趣旨になってます。作品によってはけっこう辛口なことを書いているのですが、あんまり反論らしい反論もなくて、ほっとするとともに「あれ、これでいいのかな」と思ったりします。あるいは、あんまりに当たり前のことしか書いてなかっただけかもしれませんが。

ジャンルの偏狭さをあえて引き受けることで高みに上れることもあるでしょうし、逆にこんな面倒なことしてられるかと居直ることで道が開けることもあるでしょう。どんな形であれ、わたしの感想が参加者の皆さんにとって何らかの参考になれば幸いです。


さて、参加作全体の印象もざっくり述べておきましょう。まず驚いたのが、いわゆる「本格ミステリ」が多かったこと。企画ページには「ミステリ」としか書いてなかったので、ここまでガチなものが集まるとは思いませんでした。

わたしはTwitterでミステリ同好会のようなものに属していて、そこの同人誌を読んだりするんですが、そこに載っててもおかしくない内容のものもけっこうあったり。「ちょっと、君、うちで書かない?」って(笑)。いや、自分は同人誌の編集にかかわってないので何の権限もないんですけど(一度、座談会に参加したことはありますが)。

また、王道の本格ミステリ、SF本格、恋愛ミステリ、バカミス、叙述トリック、日常の謎とバラエティ豊かな作品が集まった中でもシリーズもののショートショートが目立ったように思います。複数作参加を解禁したせいもあるんでしょうけど、それ以前にやっぱりミステリと相性がいい形式なんでしょうね。

逆に長ければ長いほど高度な構成力を問われるのがミステリというジャンルだと思います。アイディア、というよりは技巧で魅せる必要が出てくる。長めの作品ほど評価が辛い傾向になったのもそのためかなあ、と。

繰り返しになりますが、何が何でもコメントを残す、という前提の感想なのであんまり額面通りに受け止めないでくださいね。褒め通しだった方も同じですよ(笑)。ぜひ、自分以外の参加作品にも目を通してみてだくさい。そして、わたしがそこにどんな感想を残しているのかも併せてご注目いただければ、評価の基準がだいたいわかってくるでしょう。その上で改めて自作への感想を振り返ってみてください。より適切な受け止め方がわかると思います。

長くなりましたが、自分の中ではとても充実した企画になりました。書き手の方はもちろん、読み手としてこっそり応援してくださった方(いますよね?)にもあらためてお礼申し上げます。企画は今後も続けていく予定ですので、気軽に参加していただければ幸いです。

2件のコメント

  • 総括お疲れ様です。
    この度は自作『おいしいピザトーストの作り方』へのレビューありがとうございます。
    正直のところ、私はミステリを好んで読んでいながらロジックを追うのが苦手なのです。
    そのためいざ自分で書くとなっても、ロジックの構築に時間がかかるし、時間をかけてなお抜けがあったりと、自分ではなかなか穴に気づけません。
    なのでミステリとしての感想をもらえる機会というのは本当にありがたいもので、こうした企画を立ち上げて運営して下さった戸松さんには感謝の念に堪えません。
    素敵な企画をありがとうございました。
  • 十一さん

    わたしも十一さんをはじめミステリ愛を持った同志を発見できてうれしかったです。自分は全然そういうの書かないんですけど、やっぱり読むのは好きなので。

    ロジック難しいですよね。自分もクイーンとか(読んでんじゃねえか!)法月、麻耶など読んでて「すごーい」と思ったりしますが、改めて考えると何がどうだったのかわからないことがよくあります。「消去法で容疑者がいなくなったと思ったら、まさかの第三者を引っ張り出してきた!」みたいな結果の部分にばかり目が向いてしまいます。自分で書くとしたらプロットに仕掛けを弄したい方です。ロジック系のミステリも何度か考えたことがありますが、恐ろしく手間がかかるので心が折れました。

    こういうことを書くと、レビューの評価が妥当なものだったのか不安になられるかもしれませんが(笑)、少なくともわたしはよくできた話だと思いましたし、楽しませてもらったことは事実なのでご安心ください。

    コメントいただきありがとうございました。
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