正明元年*鬼門外出禁止令(丑三ツ時令)を内務省の外局(神社局)特別の機関である国土神祇院が公布した矢先、古都桜公園内における赤いランドセル(女児変死体遺棄)事件を発端にして起こった獄門変<節分の変2月3日(秩序)雛祭の乱3月3日(破門)巫女の戦3月5日(急降下)の三総称>で、古都桜市内はミッドナイト市街戦と化す。そんな中、唯一の肉親である年の離れた妹の美織を殺人鬼に殺められた姉の姫島香織は、初詣の参拝時によく家族で行ってた御神体である犬上之剣(盗難中)を祀っていた犬神々社(御神木、古都桜。別名:地獄血図)に立ち寄った後、妹の仇討ちのために神出鬼没地帯*鬼界(鬼ヶ島界隈)へ向かう。丑三ツ時の開戦により、激戦地である桃源郷繁華街(通称:鬼ヶ島)界隈では、三ツ巴の騒乱に巻き込まれた多数の民間人が犠牲となり、自警団側にも死傷者が出た。古都桜研究所(MIB古都桜Gラボ)による採取分析結果の調査報告書には、「影の存在でしかないGが鬼に憑依一体することで死鬼神となり、逢魔及び本来ある鬼門の呪縛から解放されることが本件の事案により判明した。それによって、鬼の血色が黒く変色した模様。彼岸入りが早まったのも、この現象によるもの」と記されている。
神出鬼没地帯*鬼界(キカイ):戦時中の空襲及び、戦後の区画整理で生じた国有結界(戦前は国が保有する結界だった。戦後、特別の機関である国土神祇院の管轄区域となる)の決壊。鬼ヶ島界隈の略称。街区表示板(建付け人型魔除け札/擬人柱)が鬼界の境界線となっている。
古都電*古都桜市電(ことざくらしでん):古都桜市交通局電気軌道事業部所管。南北に跨る網目を張り巡らせたような路線。沿線には桜木通りがあり、桜並木を横目に中央の併用軌道を走行する市電が綺麗だとニュースで話題になった。鬼門組出陣時に使われる移動手段。終電の終電(出陣列車)。雛祭の乱(破門)にて、白羽の矢(出陣列車襲撃)事件が発生する。
古都桜市域内外*鬼対峙警団MOMOTARO IN BLACK(通称:桃黒)戦後GHQ配下時代に創設された特別司法警察職員に準ずる自治安組織(コードネームMOMO96)。主に彼岸入りに出現する鬼を退治する。発足当時は黒服隊とも呼ばれていた。夜型*鬼門組(丑三ツ時班)と夕型*古都桜見廻組(逢魔ガ時班)が存在する(有事の際には、合同遊撃隊ツガ班として人海戦術の再編が成される)。喪服姿に桃の腕章が目印。鬼門の刻、丑三ツ時に出陣する(彼岸入りの鬼退治)。武装備品は、安土桃山時代から引き継がれている童子切と呼ばれた日本刀。家来として使役できる裏鬼門三鳥獣(式鬼神)。そして、機敏団子の服用で丑三ツ時の間は鬼神化できる。ただし、鬼が機敏団子を食らった場合、副作用で頓死する。
*機敏団子:旧鬼丸製薬(株)製造の特攻薬。戦時下、臣民政府の鬼策の一つ。開発当初は正鬼丸と名付けられ、臣民の即戦力として期待されたが、終戦直後にGHQの内部組織GSによる鬼丸製薬の財閥解体に伴い、市販製造は頓挫した。しかしながら、旧鬼丸製薬(株)開発部門は特別の機関である国土神祇院古都桜研究所へ引き継がれた。
*古都桜監察医務院:医務院の外見は、ツタが生い茂った甲子園球場に似ている。中には、曰く付きの遺体も運ばれてくる言わずと知れた古都桜市内外の検視解剖を一手に引き受ける最期の砦<モルグ>。赤いランドセル事件の検死(Aiや他の法医学教室で死因が分からなかった為、古都桜監察医務院に例外的な司法解剖案件として流れてきた)は、古神(コガミ)監察医曰く、今までの経験上で一番、謎が多く残る検視だったと死亡診断書のP.S.に書かれていた。因みに古神監察医の口癖は、生きている物には興味がない。
生らず者の影*GRIM/REAPER(グリム・リーパー):頭文字からGと呼ばれている逢魔ガ時に出没する死神。元々は閻魔の家来だったが、閻魔の逆鱗に触れ、地獄から破門された。そして終いには、下界に追放された。逢魔の呪縛(別名:六時の隔たり)により、影でしか存在できない。踏み影が最大の弱点。G(死神)の名付け親は旧鬼丸製薬(株)開発部門出身、古都桜研究所初代所長*東雲正治(シノノメ マサハル)。東雲所長はG研(死神研究)の第一人者で、そのことから死神教授と呼ばれていた。
*ミストナイト作戦:獄門変を打破するために即席で考案された鬼襲作戦。戌姫命との条件付き取引及び、姫島香織との共闘で実現した(桃犬郎連合)。雲一つない月夜空⇒犬上之剣で地上の霧を斬り裂く⇒上空に舞い上がり雲となる⇒月光を失ったGと鬼は分離し共に消滅する(鬼門の呪縛及び、逢魔の呪縛)。
犬神女子高生*姫島香織(ヒメシマ カオリ):巷の伝承にある神降ろしを敢行する(禁忌である狛根地。自らの血に染まる白衣。それはまるで巫女装束)。妹の遺体が安置されている古都桜監察医務院の霊安室で倒れた後、市立古都桜病院の病室で余命宣告を受けた香織は即入院レベルの寿命と引き替えに犬神の力を手に入れる(戦国武将*織田信長の妹と名乗る犬山の巫女こと戌姫命が降臨して憑依した暁に不死身状態となる)*犬上之剣は直接斬らなくても、素振りだけで対象を切る。神の領域に触れた人類初のJK(ジンルイカミ)。古都桜暴走後に昏睡状態のまま、古都桜監察医務院へ保護観察対象者として収監される。数日後、目を覚ますと、病気が治っているどころか、不死身のままだった。その後、犬神JK(自警)として、鬼門組に飛び級で入門する。依然、憑依体質はそのままで、そのことから依姫(ヨリヒメ)と呼ばれる。
玉依姫*戌姫命(イヌヒメノミコト):前世は尾張国の戦国大名*織田信秀の娘であり、織田信長の妹。戦国・安土桃山時代では、お犬の方と呼ばれていた。姫の傍ら、巫女も請け負っていた。犬上之剣が盗難されて以降、犬神々社の御神体が不在の間、社に居座っていた。鬼門の変後、古都桜の守り神となる。
*犬神々社(イヌガミジンジャ。別名いぬかみがみのやしろ):古都桜市内にある古(いにしえ)の神社。
*犬上之剣(イヌガミノツルギ):犬神々社で祀られている御神体。所有者を選ぶ為、所有者外は鞘が抜けない。
平成の桃太郎*平塚桃吉郎(ヒラツカ トウキチロウ):百鬼夜行の変にて、伝説の百鬼斬りを成し遂げた鬼門組随一の剣豪。鬼門組九十九代目首長。当時は、平塚門下という派閥まで出来るほどだったが、平成最後の猿鬼合戦(鬼門の変)で平塚は殉職してしまう。百ヶ日(法要)後、平塚門下は解散した。
平塚の遺志を継ぐ者*歳藤一二三(サイトウ ヒフミ):平塚門下出身。古都桜見廻組から鬼門組に昇級した史上最年少の実力派剣士。故・平塚桃吉郎は、歳藤にとって憧れの存在だった。
鬼門組の紅一点*榊原真子(サカキバラ マコ):鬼門組副首長兼首長代理。榊原家は先祖代々、鬼退治を家業にしていた。そして真琴の曾祖父は、鬼門組初代首長だった。鬼門組創設以来初の女性剣士。その抜刀術は、"狼女"の異名を持つほど(刀を持つと豹変する為)。
鬼神軍曹*沖元浩司(オキモト コウジ):鬼門組百代目首長。平塚桃吉郎とは同級生。戦友であり、よきライバルだった。その当時、若手ながら平塚と共に鬼門組へW昇級した。平塚の後継人として、鬼門組次期百代目首長選に立候補した。鬼門組百代目首長就任式の演説で、平塚への弔い合戦と誓った。
*鬼門組首長(キモングミクビチョウ):組員の士気を上げる為に最前線で戦うリーダー。故に殉職する者が多く、四年の任期満了を果たした者はいない。組内で立候補し、誰が首長に相応しいか組員で選ぶ。だが、その宿命を知ってか知らずか、次期首長に立候補する者は少ない。※立候補者がいない場合は、組内の最年長者が首長に選ばれる。
紅の新参者*一色双葉(イッシキ フタバ):古都桜見廻組首長。街区表示板(破損)事件の調査指揮の為に本院(国土神祇院)から正明元年一月付で古都桜見廻組に転属。新入りながら首長に抜擢される。赤いランドセル事件の第一発見者であり、獄門変において古都桜見廻組、唯一の生き残り。
正義は我にあり*河雛刑事(カワヒナ ケイジ):古都桜署刑事。刑事という名前は本名。古都桜公園内における女児変死体遺棄事件を担当する。被害者女児遺族である姫島香織から事情を聴いていた。その矢先、入院中の姫島香織が病室から姿を消したとの病院からの通報で現場に駆けつける。巫女の戦(急降下)において、般若のお面を被っていた殺人鬼の正体(ドッペルゲンガー)に動揺して油断した姫島の身代わりに残党の凶弾(桜小路事件)で殉職するも、その直後に戌姫命が憑依した姫島の接吻により生き返る(リビングデッド)。
武器商人の集い*楼閣会(ロウカクカイ):古都桜市内を縄張り地域とする指定暴力団。拠点(アジト)は、桃源郷繁華街の一角*艮荘(うしとらロッジ)に構える楼閣ビル事務所(1-4-6-8)通称、朱羅タワー。最上階の会長室には、盗難された犬上之剣が飾られている。
*楼閣会事件:何者かが楼閣ビル及び、事務所を襲撃した事件。事務所からの110番通報で事件が発覚した。数秒で第壱関門の守衛が突破される。壊滅的な打撃を受けた中、楼閣会の残党メンバーが会長の敵討ちの為に古都桜騒乱へ参戦する。
*姫島美織(ヒメシマ ミオリ):姫島香織の妹。赤いランドセル事件の被害者。享受9歳。生没同日。下校途中にある人物から唆(そそのか)されて、白羽の矢(人柱)になってしまう(鬼ごっこにより儀式の布陣形を仕組まれた)。それにより、自然の摂理が崩れてしまった。遺品は死体の箱詰めに使用された赤いランドセル。そして、遺体の一部である左手に握られていた御守りと右手に握られていた節分の豆。