「エンジェル・ストライクに気をつけろ」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054895934057 40話に及ぶながーい1章が4ヶ月がかり(?)でようやく完結しました。今週は最終話のあと設定を増補して、現時点の万全です。ふう。書き始めた頃のこと憶えてないぜ。いや、総花の群像劇をもう一度、というノートを書いたんでその意気込みは憶えてますよ。きちんと最後まで意識して書いてました。1話の中で何かしら状況が動くように、とか、2話か3話に1度はアクションかインパクトの強いシーンを入れるとか、視点をぐりぐり動かすとか。ね、ちゃんとやってたでしょ?
第5章の新しい試みとしてはまず何より「話数の切れ目と視点の切れ目をずらす」というやつですね。これによって1話の中で状況を動かす、というのがやりやすくなっているわけです。あと「視点は変わっても何か一貫したものがある」というテーマ性の出しやすさはあったと思います。陣営の違うキャラを交互に描くことで対立する立場をきちんと両面から描いているんだというアピールもしていて、これは3章の反省ですね。
視点が変わると当然読者は追いづらくなるわけで、誰の語りなのかがわかりやすいように「誰々は〇〇と思った」的なフレーズをなるはやで入れるようにしていたんですが、どうでしょう、読みにくくなかったでしょうか。
まあ新しいことやってるな的な感想を抱いてもらえれば結構です。創作は想像ですぜ兄貴。
とはいえやることはやったにしても蟠りがないわけではなくてですね、例えば総花は総花で、きちんと展開もやっているんですけど、40話という長さになってしまったことからもお察しの通り、たぶんちょっと冗長さはあるんですよね。割と躊躇いとか迷いが前面に出てしまっている。
「自分のために他人を殺していいのか」というメインの展開なので多少倫理観に配慮しなきゃならんのは仕方ないっちゃ仕方ないんですが、この段階で読者が求めているのはそういうグズグズしたものだったのかって問題はあったとです。もっと割り切っちゃってもよかったんじゃないかと。そのへん吹っ切った作品の方が僕自身は面白いと感じるですよ。
それが自分の作品になるとどうもうまくできない。キャラの躊躇いは作者自身の躊躇いでもあったわけですね。その後悔がすでにラストで噴出してきていて、カイがディアナの非倫理性を超えるようなことを言ったりするわけです。テヘ。
あとこれは微妙なところなんですが、なんというか、2章の展開をなぞってないか、というところ。
つまり、レゼでのドンパチを避けてスローンに結末を持っていったところで、結局破壊をもたらされるのは軍事島じゃないか、と。2章でいうアイゼン役をスローンが引き受けている。なんだやっぱり都市は安全なんじゃんという、ちょっと物足りなさです。
要するに、これ、エトルキアもサンバレノもまだいささか理性的なんですよ。第1章は局地的なりに戦争だったわけですが、2章も3章も5章も、宣戦を伴わないテロリズムであって国家戦争ではないわけです。みんなまだ全面戦争はヤバいと思っている。
メタ的に言えばこの章でそこまでのカタストロフに踏み込めなかったのは作者の作品世界に対する甘さが出ちゃったんじゃないかと思うわけです。だってエトルキアとサンバレノの関係はアイゼンの一件でもう十分すぎるほど冷え込んでたんです。もう一段階余計に踏むよりドンパチ始めっちゃった方が展開としてスムーズじゃないですか。良くも悪くもリアルすぎます。現代国家はそう簡単に戦争はやらんのです。
でももう少し平時を描きたいのも事実で、見通し、甘いですよね。
ああ、あと、4章の後半で盛大に振っていた魔術要素があんまり出てこなかったなというのも。第6章ではまず魔術が浸透したエトルキア社会をじっくり描いていきたいと思っています。ディアナとメルダース夫妻がいい仕事をしてくれるでしょう。サンバレノやルフトにも目を向けて国際関係の俯瞰から「状況……動いてる!」的な章にしたいのら。
ふむふむ。書きたいことはだいたい書けたのでこの辺でぶった切ります。ではでは。