「ヤベェなぁ、と思いながら自分を追い込む、だから僕、本当に約束したわけじゃないんだけど、あれ、自分へのけつ叩きだったのか。なんか、自分に酔いたかったのかな。」
英雄の哲学で、矢沢のじじいはこんな風に言っている。
「俺、50歳までやるからよろしく。」
その言葉通り、約束なんだが何だかわからない言葉と共に武道館でマイクを蹴っ飛ばしていたのを、記憶している人もいるのではないだろうか?
さて、前置きは終わりだ。やべぇなぁと思いながら自分のケツを叩くのは、案外難しい。それは、矢沢が言うように陶酔によるもので、何とか叩けるのかもしれない。しかし、ただ好きだから、ただやってんだと言う理由で引っ叩いてきた矢沢の背中は我々、凡人からすればあまりにも輝かしい。英雄の背中だ。
今の時代、自分をかけられるものを皆が探している。矢沢にはなれないし、矢沢のようにも生きられないかもしれないが、もし僕らが困難な方へケツを叩き続けられたら、どうなるのだろうか?
僕の今の歳くらいに、吉田松陰は本を書いていたし、坂本龍馬は海援隊を作ろうと発起していた。今の僕にとって、彼らの背中はあまりにも遠すぎるが、後5年、一歩一歩、やべぇなぁって道を選んでいけたら、彼らの背中は意外と近くにあって、共感できるのかもしれない。凡人は凡人にできることをやっていくだけだ。