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「ケモ耳っ娘になったからには~」季節外れのお正月閑話 

こちらの閑話は、他サイトで連載時に正月閑話として書いた物ですが、せっかくなのでこちらにも掲載します♪

なので、作品内季節とも、リアル季節とも大幅にずれております。
作品内フィクション(物語内の新年はこのメンツではなかった)として、お気楽に読んでいただければと思います♪
※正月なので、冬設定です。

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 いつものように、夜が明ける前に目が覚める。うーーんと、大きな伸びをして温かいベッドから抜け出した。
 この季節は屋内でもかなり空気が冷たい。ぶるると体がふるえると、それを追いかけるように尻尾もふるっと揺れた。

 新しい年になっても、朝はいつもと変わらない。
 まだ眠っている皆を起こさぬようにそっと宿を抜け出し、朝の鍛錬の為に公園に向かった。

 * * *

「はつもうで?」
 聞きなれない言葉を聞いて、そのまま訊き返す。
「うん。新しい年には皆で神様のところにお参りに行くんだって」
 ちょっと照れくさそうにギヴリスが言った。

 神様……つまりは自分のところへって事を、わざわざ自分で言ってるのだから、その事が照れくさいのだろう。
「お参りって、神殿に行けばいいのかな?」
 私の言葉を聞いて、ギルは慌てて手を振って否定した。
「いやいや! リリアンはこうして直接僕に会いに来てくれるんだから! 神殿に行くのよりこっちの方が嬉しいよ!」
 そうだよね。こうしてめいっぱい大好きなお菓子を食べておしゃべりする方が楽しいもんね。

「ニホンって、いろんな事をするんだね」
 ギヴリスが見せてくれた本をパラパラとめくる。
「これは、ワイバーン??」
「タコ上げだって。魔獣じゃあないね」
「これは?」
「コマ回し。紐を使って、木でつくったコマを回してるみたい」
「難しそう。これはカード遊び?」
「カルタって言って、読み上げたのと同じ言葉が書かれた絵札を取るんだよ」
「これなら作れそうだけど、今日すぐは無理かな? じゃあ、これは?」
「ハゴイタだね。板で羽根を打って、互いに相手に返す遊びだよ」
「これなら皆でできるかな? これの作り方わかるかな??」

 * * *

リリアン「というわけで、今日は羽子板大会ですーー!!」

デニス「え? ちょっと待てリリアン。何が『というわけ』なんだ??」
ニール「面白そう!!」
シアン「ふっふっふ。手加減はしねえぜ?」
アラン「私は審判役で……」
マーニャ「何言ってるの? 貴方も参加しなさいな」
ジャスパー「体を動かすのはあまり得意ではないんだが……」

真「やあ、これは懐かしい! 日本の遊びだね」
リ「マコトさんは良く知っていますよねー」
真「いや、やったことはないよ。初めてだ」
リ「そうなんですか? 日本では皆でやってるものだと……」
真「こういう古い遊びをすることは、|殆《ほとん》どなくなってるからね。もう知ってる子供もいないんじゃないかな?」
 マコトさんがちょっと寂しそうに言った。

 どうやら、他の遊びも今ではあまりやらないらしい。
 コマ回しはまた違った遊びに代わっていて、新年に限らず通年遊ばれているんだと。
 あと羽子板も、似た別の遊びがあるらしい。

リ「持ち手のついた板で、この羽根を相手に向かって打って、互いに打ち返します。打ち返せなかったら、顔に墨でバツを書きます。ただし全然違う方向に打つのはダメですー」
ニ「顔に書くの!?」
シ「そっちのが楽しそうだな!」

ア「この板と羽根、やけに良いものに見えますが……」
リ「はい、ドワーフのゴードンさんに作ってもらいましたーー」
デ「うわ、匠の無駄遣い……」

ジャ「魔法は使っていいのか?」
リ「もちろんダメです!」
マ「じゃあ、私たちにはちょっと不利ねぇ」
リ「本当は子供の遊びだそうなので♪ まあ、今日は楽しくやりましょーー」

 * * *

「「「おめでとう!!」」」
 そう言って、各々手にしたカップを掲げる。

 祝いの言葉は新年に向けてのものだけではなく、皆の誕生日の祝いでもある。
 人間の国では、自分の誕生日を知らない者は新年の祝いの日に歳を増やし、皆と一緒に祝う。

 私とニール、アランさん、ジャスパーさんは自分の誕生日を知っているけれど、シアさんとデニスさんはそれを知らない。エルフは誕生日を気にしないし、元々誕生日を祝う習慣がない。マコトさんは誕生日を知っているけれど、ここと『神の国』では暦が違うらしい。
「それなら、皆で一緒に祝おうぜ」
 シアさんがそう言って、この流れになった。

 皆の顔は墨だらけ。
 マーニャさんだけ、ほっぺに一つ×がついているだけで、他の皆の顔は×だけでなく多彩な模様が描かれている。
 私のほっぺには3本ずつヒゲが描かれたし、ニールのおでこには目が描かれている。アランさんは鼻の下にヒゲがあるし、ジャスパーさんは目の周りが黒く塗られている。

 途中から羽子板大会だかラクガキ大会だかわからなくなった。でも、こんな風に皆でわいわいできた事が、とても嬉しかった。

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ケモ耳っ娘になったからにはホントはモフられたい~前世はSランク冒険者だったのでこっそり無双します~
https://kakuyomu.jp/works/16817330648712732416

~前世の記憶を持つ少女は、再び魔王討伐を目指す~

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