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ファンクション・λ完成(ネタバレ含めたあとがき)

 ファンクション・λが完成しました。
 まだまだ、書き込みたかったのですが、執筆期間が長引いてしまったのでここまで。

 書いた中では比較的長編になりました。
 そして、表現が過激なので苦手な人は注意。

※注意※
※ここからはネタバレを含みます※

 さて、今回の作品は「常識とは?」という疑問から始まりました。
ある日、「○○(建物名)を知っていることは常識だ」という言葉を聞いたことが有りました。その時は流しましたが、後々になって「いやいや、それを常識と呼ぶのはおかしいだろう」と考えたわけです。常識とはもっと基本的な知識だろうと。

 そこで、常識について考え始めたのですが、自分の思う常識は実は正しくないのでは無いのだろうか? という疑問にぶち当たりました。
 その疑問をそのままに、思考が飛躍して、「かつては奴隷制度なるものが存在するぐらいだから、かつての常識と今の常識は結構違うな」という、思考に至ります。
 そう考えると、「常識とは時代とともに変動するもの」という事実に気付きます。そして、これはきっと誰かが既に言語化しているだろうと調べると、フーコーという哲学者がエピスメーテーという哲学概念を提唱していました。
 エピスメーテーとは、ざっくり言うと「その時、その場所で変化する知の枠組み(ものの考え方)」です。
 王様が巨大な墓であるピラミッドを立てることが常識だったこともあれば、コロッセオで人が殺し合うことが正当化され、常識であったこともある。
 それは、その時代背景や環境によって導かれ疑いようのないものだった。
 そんな感じです(解釈が違ったらごめんなさい)。

 かつての常識が今現在の非常識であるならば、言い換えれば非日常であり、物語として面白いはず。そうして、古代ローマのコロッセオ的常識を練り込んだ作品を作ったという訳です。
 他にも、かつて存在した常識を作中に散りばめました。

 最後の方のシーンで使った『アハト』の元になったアハト刑を知った時は、よくもまあこんな非人道的な刑罰が常識だった時も有ったんだな、と感慨深い気持ちになりました。
 
 さらに、それだけでは飽き足らず、より今の常識から外れたものにしようと考え、前作『恒久のコアセルベート』で作った設定である『拒死』を利用して、人間の定義を変更しました。
そうして、コロッセオにおける剣闘士がモチーフの『キャラクター』は、おそらくかつての剣闘士よりも酷いカースト。殆ど経済動物に近いものになっています。

 神代塔はそんなキャラクターに対して、人間らしい扱いを行おうとしますが、端々でその否定とも言える考えを抱いています。
 上代塔とキャラクターの関係は、自分が飼っていて、愛着が湧いているペットくらいの感覚で書きました(不快に思ったらすいません……)。
 人によっては差異はあるかもしれませんが、飼い犬に命を奪われそうになったら、飼い犬の命を逆に奪うような行動も選択肢に入ることが考えられます(そういう考えが苦手な人。本当にごめんなさい……)。


 一応、ラストのシーンが分かりづらいかもしれないので、ここで補足します。
 最後のアハト後に上代が平和喪失者(非人間)となり、不定禊が人間と判断されていましたが、その差はあくまで同調欲(通常の同調欲とは異なり、同調圧をかけたくなる欲求を指す)によるものです。
 上代塔はキャラクターの扱いに対して疑問を抱きました。そして、書き込みを行った。賛同の声を求めてしまった。これが、平和喪失者になる条件となっています。
 逆に、不定禊はキャラクター相手に散々破壊を繰り返したけれど、自分の価値観を押し付けることは無かった。だから、人間として存続した。

 だから、自分の考えを正しいと思い振りかざしてすらいたディスクールのプレイヤーである反騰淘汰は、平和喪失者となります。
 そして、直動迂回と法帖仮書は人間です。

 さて、この作品をいきなり読んだ方は、「急に天使なるものが出てきて、むちゃくちゃかき回して消えた」と思われるでしょう。
 あれに関しては、災害か何かだと思ってください。
 別作品でも同じような事してます。むちゃくちゃな奴です。
 一応、『タイトル』という短編に出て来る水上という少女がなんやかんやあって、天使になっています。

 そういえば、作中のキャラクターが居る黒い箱を、『コロッセオ』とか『籠』とか唯でさえややこしいのに、最後の方は『シノメニウム』なんて呼び出して混乱したかと思います。
 ここで、整理すると、『シノメニウム』は天使が例の黒い箱に付けた名で、『コロッセオ』は平和維持連盟が決定した俗称で、『籠』は囚人がいつの頃か呼び出した異名です。
 シノメニウムの由来はツヅラフジという植物の属で、ツヅラフジは籠の材料でもあります。囚人たちは何か知っていたのでしょうか……。
 ちなみに、ツヅラフジは漢字で書くと、葛藤となります。

 ピトスの由来も書きましょう。
 ピトスはパンドラの箱でおなじみの、災厄と希望が詰まった箱そのものの名前です。
 箱に残されたものは希望であるという解釈と、災厄であるという解釈が存在するそうで、最後に人類を変貌させた『カラーコード』は希望だったのか、災厄だったのか……。
 続きを書くことがあれば分かるかもしれません。

 さて、ついつい長々と書いてしまいました。
 ……あとがきって楽しいですね。

 最後に。
 結構、好き勝手書いた小説なので(いつものこと)分かりづらく読みづらいかもしれませんが、楽しんでいただければ幸いです。

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