久しぶりにやります。
今やマイノリティである活字好きな方々の中にあって、さらにマイナーな翻訳もの好きな人間のために。そう私のためにです。自己満足。
では、いっきまーす。
『どろぼうの神さま』
コルネーリア・フンケ
マジかよ……まだ紹介してなかったのかよというくらい面白い本。すき。
児童書ですがとある探偵からはじまります。行方知れずになった甥っ子ふたりを見つけてほしいという夫婦からの依頼。
ふたりの兄弟がいたのはイタリア、水の都ヴェネツィア。孤児たちがあつまって暮らしていた廃映画館では、どろぼうの神さまスキピオがいて……
とにかく分厚いけれど、最高に面白い。スキピオがねえ、かっこいいんです。
『肩甲骨は翼のなごり』
ディヴィッド・アーモンド
引っ越し先の家の庭には崩れかけたガレージがある。
そのガレージにこっそり入ってみた主人公は、不可思議なものと出逢う。
ああ、なんと素晴らしきディヴィッド・アーモンド!
『ヘヴン・アイズ』といい、読んでいてひやひやするというか、胸がつまるというか、こんな不思議な感情を抱かせる作家ってなかなかいない。
『13ヶ月と13週と13日と満月の夜』
アレックス・シアラー
あれ?
そういえばアレックス・シアラーをまだ紹介してなかったじゃん!
『青空のむこう』や『チョコレート・アンダーグラウンド』なら知っている方もいるかもしれない。主人公をとことん追い詰めるのが本当にお上手で、「え、無理じゃんこれ、え、バッドエンドじゃんどうするの?」と思わせておいてからの、大団円への無理のない持って行き方よ。
ほんと尊敬する。
『ハリー・オーガスト、15回目の人生』
クレア・ノース
さて、これは大人向け。
この世には人生を何度も繰り返す体質の人間がいる。
ハリー・オーガストもそのひとり。かれは死に際に見知らぬ少女から告げられる……世界が滅びる。それは世の常なれど、滅びるのがどんどん早まっていると。
タイムリープものでこんなによく出来た創作ってなかなかない。というか、そうくるか! という感じ。主人公が生まれ変わるたびに職業を変えるのがいい。
『サイモンvs人類平等化計画』
ベッキー・アルバータリ
映画化もとても良かった。
サイモンはどこにでもいる普通の高校生である。ただ、彼には秘密がある。だれにも、自分がゲイだと言っていないのだ――。
海外YAってLGBTものがたくさん出ているイメージがあるけれど、まだ年に十冊くらいらしい。わりに少ない。
でもこれは単純に小説として面白い。腐女子じゃなくてもキュンキュンできること間違いなし。ミステリの要素もちょっとある。
『アルケミスト』
パウロ・コエーリョ
私はこれを哲学本と呼んでいる。
『星の王子さま』、『モモ』、『アミ、小さな宇宙人』。『ムーミン』シリーズもそうかな?
とにかく、ぐっと来るのだ。ああ、読んでよかったなあ、と思える。この作者に影響を受けたというラウラ・ガジェゴガルシアの『漂泊の王の伝説』もとても良かった。バトルが好きな人は、読んじゃダメ。
久しぶりにやってみたけど面白いですね。
好きな本は布教したい。これは人間の真理です。
さて、同士はいかほどいることか……。