お久しぶりです。修羅場に陥っていたらいつの間にか年が明けておりました。
『天ノ川連邦見聞録』の改稿、まるで進んでません。内容に大きく関わる改稿でもないし、それ以前に誰も読んでいないのでついついほったかしになっていたというのが正直なところです。
今年も結果次第ですが、夏から秋まで『文芸埼玉』に『文芸所沢』に埼玉文学賞にと大騒ぎになるのが確実なので、今のうちに進めておこうかと思ってます。
さて今回公開した『生ける屍(かばね)』ですが、これも『眸』と同じく『今昔物語集』の説話翻案を募集する自主企画のため書いたものです。
ただ肉づけと視点の追加・変更を行っただけの『眸』と違い、今回はかなり大きく筋をいじっています。具体的に言えば結末が逆、かなり胸糞の悪いバッドエンドになっているんですね。
今回翻案した話は、元は平安時代初期に書かれた仏教説話集『日本霊異記(にほんりょういき)』の中にある話です。ここに収録された話は同時代ということもあってか結構後の説話集にも入っていることが多く、『今昔物語集』も例外ではありません。
……なのですが、この仏教説話というのがまあ基本的に仏教の教えを説くためのお話なので、内容は「善悪は必ず報いをもたらす、よいことをすればよい報いを受けるし悪いことをすれば悪い報いを受ける」という話ばっかりなんですよ。ある程度著者の思想も入っていますし、異様な内容の話や怪異譚もあったりしますが基本は舞台や人が変わっても先のようなワンパターンのご都合主義ばかり。文庫で読みましたが、余りの面白くなさに珍しく投げ出しました。あれは研究で読むものですよ。
まあそういうこともありまして、いわゆる「逆張り」というやつをかましてかなり意地悪くアレンジしてみたんです。元の説話からすれば想定外の人物だったらそううまくは行かんよね、みたいな。
今回も短いので、お茶うけ程度にどうぞ。