青木克維

誰でも、辛い過去は持っている。それが犯罪に近しい行為の被害によるなら、なおさら。傷ついた者が、さらに罰のように自らを歪めていく。その傷から産まれる歪みは、誰に対するなんの罰なのか。…続きを読む

俺は男性ですが、個人的な過去により、想う所があり星を付けさせていただきました。

少年から青年に成長する前。人生の長さを考えれば、ごく短い貴重な青春と呼ばれる時間。その青春の一幕。そして叶う事のない淡い想い。そんな感覚を味わえました。最後も良かった。

一人称で語られる、本来なら他人には届かないし、理解されない不思議な視点。誰でもひとつやふたつは持っている、何かに対する偏愛。それに納得してしまう、自分がいた。

似た者同士の、ほんの少しの違い。その僅かな差が生む、心の葛藤や屈託。それを飲み込んで今日も生きて行く。そんな感慨を味わえました。

状況描写、心理描写、人物描写。どれもこれも高い技術を感じさせる。作者の世界にあまりに没頭して、内容に中てられて、読後に食欲と性欲がなくなった。良質なホラーって、そう言うもんだと思い…続きを読む

作者の登場人物への視線が独特で、ある種類の人間に対する、熱狂的な偏愛のような物を感じた。それが小説全体に漂う、不気味な雰囲気を支えているように思えます。なにより心理描写が丁寧で、た…続きを読む