• 歴史・時代・伝奇

『甲賀頼方の幻術』への感想

※レビュー参加用に投稿しました。

③冒頭1万文字以内に出てくるなかで一番好きな登場人物と台詞

好きなキャラクターは、女衒のあんちゃんでしょうか。
私にしては折角のイケメンキャラなので、限られた字数でもう少し魅力的に見せる描写がしたかったです……。
多分当時の女衒はあんなじゃないですが(明治だから多分もっと和洋折衷でもっさりしてます)、洋装にしたのは字数の関係と趣味です。

④具体的な想定読者
30歳以上の女性読者。
(前作のダキニの亭主がターゲットを想定していなかったことの反省を生かし、イケメン?を登板させました。
内容は、あれを女性向けとはさすがに言いません汗)

10件のコメント

  • ※追記
    三つ星ありがとうございます。

    しかし、申し訳ありません。
    先程、クオリティ向上のために文章をかなり直しましたので、レビュー内容に一部食い違いなどが生じるかもしれません。
    (二度読んでいただくのも、大変お手間かと思うのと、アップした以上は自分的にはそれでもOKです)
    何卒よろしくお願いいたします。
  • おお、これは……
    筆力の力技で物語を成立させているが、
    世界観の受容に忙しく、内容を楽しむまでには至らない作品だぞ……
    と思っていたところ、大幅な改訂があり、
    感想もそれに合わせて変えた次第です

    海棠は私にとって、春に咲く木の花のなかでも好きなお花ですが(さくらんぼのようなつぼみがかわいらしい)、
    鬼殺しの「不思議アイテム」を葉巻ひとつに絞ったことは、とても良い選択でした
    幻想的な画を追求するあまり、わかりにくさが出ていましたので

    改訂前の文章は、
    あ、そういうものがある世界線なのね、と理解していく間に話が終わっていました
    「不思議物語集」の3話目くらいに挟まれていたら気にならないかもしれないですが、
    この物語単品で世界観とストーリーを楽しませることは、難しかったと思います

    特に、人物の表現が記号的であること
    神社のシーンでは、伊八が「百姓姿」をした、神仏に関しては敬虔な人物であることくらいしか提示がなく、
    あとは物語進行のための説明文、説明台詞となっていました

    『ダキニ』にて一番上手いなぁとうなった箇所は、

    この若旦那は物知りの上に知恵者であったから、男から一部始終を聞き終えるなり、なんだと一笑に付した。

    キャラクターの設定と為人を、自然に提示しつつ、地の文/物語進行を妨げないこの一文です

    先程の改訂によって、伊八の内面性がいくらか地の文に現れるようになっていましたが、
    もう一声欲しいところです

    「おら、町の噂で聞いただ。物の怪で困ったら、諏訪の神様に七日七晩夜参りすれば甲賀頼方ちゅう鬼殺し様をよこしてくださると」

    この台詞が冒頭もっとも気になった説明台詞だったので、
    上手いこと地の文に落として、そこに伊八の為人も潜ませることはできないものでしょうか
    今は作者を慮って、伊八を「貧しく、冴えないながらも心優しい村の青年A=冒頭に出てくる人物だが主役ではない」と想像していますが、
    その裏付けを作品内に出していただきたいです

    そして、背景描写について
    改訂前は、神社のシーンまでは良かったのですが、その後が白背景になっていました
    それが改訂を経て、
    幻術のシーンに至る指パッチンにて背景の切り替えが劇的に行われることで、
    祭りのシーンの背景描写の薄さを補っています

    「四月八日!」との明確な日付けはなんのためでしょうか……?
    海棠の登場がなくなったことで、春にこだわる必要性はないように思いますが、
    冒頭、意味ありげに日付を確定させているので、
    中間、締め辺りに、季節が春であることを示すワードを入れた方が、日付が浮かないと思います
    というか、日付は入れずとも、上弦の月が山に隠れるころとか、望月が南中しかけたころとかでも良いのでは

    「女に酌をさせる」「女を押し退け」
    →物語に出てくる「女」の代表が、伊八の妹であるので、パッと見での判別のために、
    ここは「酌婦」など、より細分化された属性で記してほしいです

    結局、幻術師は甲賀三郎とは無関係の生身の人間だったの?(改訂前)
    →ご本人でしたか

    この物語の面白さは、
    「甲賀三郎」に依存していた旧時代的舞台設定が、「洋装の幻術師」の登場によって裏切られる
    ところにあると思うのですが、
    その「甲賀三郎」がなんなのか、読者の前提知識に要求してしまっているのが、難点に思われます(結局、なんだったんだろう……?)
    「甲賀頼方」という固有名詞(読者の引っかかりとなるポイント、明かすべき設定の根拠)が、有効に作用していないため、
    「鬼殺しさま」だけで良いのではないかと思われました

    加えて、オチがちょっとよくわかりません

    ・神仏は祈りによって力を引き出され、現実に干渉できる
    ・明治の世に神仏を祈る者はほとんどいなくなってしまった
    ・そのため、甲賀頼方は伊八によって久々呼び出された
    ・「まだ夢の中にいる」=私なんかを崇める奴がまだいたとはねぇ

    ということでしょうか?

    さてさて、残りは雑観です
    童かわいいなぁ 笑
    勝手に切り揃えた前髪のおかっぱ頭を想像してしまいました
    階段ではなく賽銭箱に腰掛けさせた辺り、良い塩梅に神の使いではない示唆がなされています

    で、幻術師かっこいい
    洋装が作中世界内で良い意味で浮いていますね
    絶対イケメンです、この人は
    (中折れ帽子に引きずられ、某鬼のパワハラ上司が頭から離れませんでしたが 笑)

    夏目さんのことですので、まだ改訂を重ねられることでしょう
    また読みに来させていただきます

  • ご再読いただき、レビューまで書き直していただいて、まことにありがとうございます…!(感謝)

    今回も長文レスとなってしまいましたが、お時間のある時に読んでいただければ幸いです。
    (あと、病身と生活上の諸事情のため、小鹿様の小説を拝読するまで時間が割けず、レビューばかりしていただいて申し訳ございません…!
    手が空けば必ず読ませていただきます!)

    >筆力の力技で物語を成立させているが、
    >世界観の受容に忙しく、内容を楽しむまでには至らない作品だぞ……

    おっしゃる通りかと存じます……。
    本作は『ダキニの亭主』のような完全新規ネタではなく、昔書いた長編プロットを2000字以内にと縮めたものでして、力技で無理矢理ショートショートの体裁にした感じでございます(汗)。
    気づかぬ点もいくつかご指摘いただきましたが、いちいち腑に落ちまして、いつも的確丁寧、やる気を失わせないレビューをありがとうございます!

    >この物語の面白さは、
    >「甲賀三郎」に依存していた旧時代的舞台設定が、「洋装の幻術師」の登場によって裏切られる
    >ところにあると思うのですが、

    なるほど、ありがとうございます。
    最初、ご指摘を拝読してピンとこなかったのですが、一日置いて読み返してみたら、自分がその視点からの面白さに気づいていなかったなと思ったので、改訂版はそこを注視して生かします。

    (というのは、この話の舞台設定はもともと「中世の終わりの慶長時代」だったからでして……。
    今回、急遽、明治時代に設定を変えたのは、端的には「女性読者を狙いたいので明治、大正のほうが受けそうだし(我ながら姑息ですね笑)、この話と主人公は近代を舞台にしたほうが映えそうだな」という理由です)

    甲賀三郎は中世説話界ではかなりメジャーで江戸期には消えた、という人物なので、設定も最初は「こういう位置づけの人なんですよ」と出していたのですが、「途中で悪役が善玉にがらりと変わる話」に注力してしまったのと、字数の都合で割愛してしまいましたね。
    (あと祭りの背景が白いにも理由があり「リアルでなく甲賀さんの幻術の産物、いわば木偶のようなものだから自我をもって動くことができない」なのですが、それもわかりづらかったですね。すみません)

    何から何まで、わかりにくくてすみません。

    蛇足ですが、こちら、他サイトの初日~翌日PVは『ダキニの亭主』の平均5倍を叩き出しまして(掲載2日でまさかの1000PV達成)、誘導率も『ダキニの亭主』よりかなりよく、ただ評価が盛大にすべっております(笑)。
    つまり、他サイトの感想も、小鹿さんのご指摘や感想と大いに重なるところがあると思います。
    しかし、
    「主要キャラも立てられる、起承転結はできている。トップPVから本編へのPV誘導率から「引き」もおそらくある」
    「あとは作品の中で起こっている情報渋滞を整理して、もっと収斂させれば改善の余地はある」
    と思うので、もろもろ踏まえて大幅改訂作業に入りたいと思います。
    (その前に、週末から来週にかけてアップ予定の『ダキニの亭主』の続編が先になると思いますが、本作の改訂版と合わせて、よろしければお付き合いいただければ幸いです)

    以上、何卒よろしくお願い致します。

    ※追伸※
    主人公のイケメン認定ありがとうございます。タグで言い張った甲斐がありました。
    例のパワハラ上司様とは、「ドS」というところだけは合っているかと思います笑。
  • こちらこそ、丁寧なお返事ありがとうございます
    夏目さんには、確実に返してもらえるという安心感があるために、全力で感想を投げられます
    (他の参加者さんのノート見ていただければおわかりになるかと思いますが、相手を見極めない豪速球を投げては引かれてます 笑)

    どうしても、投げたくなっちゃうんですよね……!
    作者から直接物語の意図を聞ける機会なんて、よっぽどありませんから……

    私が一番楽しんでいますので、
    読み合い企画でもありませんし、当方は暇な学生ですし、
    私の作品に関してはお気になさらず

    さて、物語の舞台設定が元は慶長年間であったこと、なるほどと思わせました
    歴史的なお話になってしまいますが、
    応仁の乱以降のごたごたで、祭祀は廃れ、古代末より権勢を誇った寺社勢力は、秀吉の登場によって保護=権力に管理されるべき存在へと変わっていきます
    なので慶長、納得ですね

    そんな権力に管理された寺社は、明治に至りて俗世へと放り出され、
    政教分離のなされた近代になるのですが……

    ここで、あえて甲賀三郎に狩衣などをまとわせず、洋装としているところが良いんですよ!
    今を「生きている」んだなぁと思わせます
    ですから、舞台を近代とした選択には、全力で賛成させていただきます

    夏目さんの作品で好きなところは、もちろん筆運びのクオリティが高いところにもあるのですが、
    文字数と描きたい物語の狭間で、どうにか帳尻を合わせてくるところです 笑
    力みと感じさせる場合もありますが、作者の魂、生命力、懸ける思い……なんと言うんでしょうかねぇ、
    まあ、とにかく(多少の恐れを見せつつも)内面性をさらしている点は、
    作者に触れ得たような気持ちになりますから好きです

    改訂版楽しみにしております
    そして、ダキニ続編ですか!
    やったー!!

    ご無理はなさりませんよう
    それでは、またよろしくお願いします
  • こんばんは。
    先日も的確で親切なレビューをありがとうございました。
    『甲賀頼芳の幻戯』(旧題『甲賀頼方の幻術』)を仮アップしてみました。
    ご期待に沿えるかわからないのですが、要素をいくつか抜いてすっきりさせ、いただいたレビューをかなり取り込んでみたつもりです。

    https://kakuyomu.jp/works/16816452219279070206/episodes/16816452219279073724

    おてすきのときにでも、よろしくお願いいたします。

    >夏目さんの作品で好きなところは
    ありがとうございました。じーんとしました。

    薬を飲んで頭がふらふらしているので取り急ぎですが、これからも何卒よろしくお願いいたします。

  • おー、なるほど
    甲賀さまを伊八の債権者としましたか!
    最後の鮮やかな急展開に、頭がハテナでいっぱいになって、もう一度読みなおして膝を打ちました

    切羽詰まった伊八(暗示済み)に鬼でもかまわんと口走しらせて鬼を呼び、誘い出して殺す

    登場人物と物語の要素が絞られたことで、作品世界が軽やかになり、より受容しやすくなっていました
    策士ですなぁ、甲賀さま
    伊八共々、すっかり騙されてしまいました

    いったい伊八は甲賀さまからどんな理由で借金しているのかしら
    もしや、甲賀さまに助けてもらったは良いものの代金を払えずに縛られているのかしら
    これは続編が待ち望まれますね

    さて、以下は気になった点3つです

    ひとつ目、誤字
    借金の片→形 手形の「形」です

    ふたつ目、月齢
    1890年4月15日の月齢は25.3日だそうです
    この月齢は、おおよそ黎明の3時に月の出、昼を越して14時台には月の入りとなります
    そのため、当該年4月中旬の夜半には月は見えていません

    黄昏の社→下山するころには山の上に丸い月

    この月を望月と解釈したならば、
    日付として矛盾がないのは、4月5日あたりになるはずです……たぶん

    ……すみません
    計算苦手なので、「あの日の月齢」とでも検索していただければ、その手のサイトがいくつもありますから、ご確認ください

    3つ目、上り框
    これもちょっと自信ないんですが、
    上り框とは、玄関における板の間と式台との間(板の間の外枠)に用いられる化粧材ですから、
    借金に追われるような伊八のお家に玄関があるかしら……と思いました

    典型的な農家造り、いわゆる田の字型間取りだとして、
    甲賀は土間に面した板の間の縁 or 「はまいこ」に腰掛け、足を土間に着けていた、との描写の解釈で合っているでしょうか
    (はまいことは方言で、土間と板の間の間にある板敷きの小上がりのことです。正式名称はわかりませんでした。玄関でいうところの式台に当たり、南の縁側からL字で繋がっていることもあります)

    しかし、そうなると、「框から立ち上がった男の姿が月明かりに浮かぶ」=屋敷の南 or 東端に立っている
    との描写と矛盾する……? ので、
    本当に南に玄関があって、土間=三和土から軒下まで歩み出て来たのでしょうか

    ここの場面がイメージしづらかったです

    さて、毎度ながら細々&長々と失礼しました
    どうぞ耐えてお読みください
    よろしくお願いします
  • こんばんは、子鹿さん。
    いつもお世話になっております。
    考証については、めちゃくちゃ詳細で丁寧なご指摘をありがとうございました。

    考証もきちんとするべきなのですが、今のところお話づくりと字数調整で手一杯で、ディテールはノリで書いているところが大きく(汗)、まことにお恥ずかしいですが、いつも大変参考にさせていただいております…。

    (また本作、カクヨムでは反響がさっぱりですが、ノベルデイズでは本日時点で総合9位、歴史カテゴリランキング1位を叩き出しました。
    ひとえに子鹿さんのレビューのおかげかと存じます。ありがとうございます。
    あと、ダキニの亭主もノベルデイズの2000字歴史文学賞で佳作を頂きました。ありがたきことです)

    >いったい伊八は甲賀さまからどんな理由で借金しているのかしら

    甲賀さんは、別件で伊八の素質(お人好しで人畜無害で純真、だまされやすく操りやすい)に目を付けて、たまたま借金があるのを知って初めは善意のごとく肩代わりして、まんまといいようにこき使っている、という感じをイメージして書きました。

    多分、頼芳はいいとこのお坊ちゃんなので、日常生活での家事や力仕事など面倒くさいことも、

    「伊八くぅーん、これやっておいてー。え?自分でやれ? 君ねぇ。下僕いや助手のくせに、この僕にこんなめんどくさいことをやれっていうのかい?」

    とか笑顔で言っているイメージです。

    続編のご希望ありがとうございます(笑)。
    甲賀家の周辺は、今月の自分ノルマ1本である、続編(?)でおいおい書いて行ければと思います。
    (月イチ1本は、自分の中では新規ネタがルールなので、たぶん頼芳の祖父が主人公になる予定です。あまり期待しないでいただけると幸いです)

    こちらこそ、子鹿さんの的確なご指摘やインスピレーションに満ちたレビューは、楽しく拝読させていただいております。

    そろそろこの感想イベントが終わってしまうかと思うのですが、もしよろしければお手すきの時で結構ですので、今後ともよろしくお願いいたします。
  • あ!お名前、小鹿さんですね!
    大変失礼いたしました!
    (このように誤字脱字が多くて恐縮です汗)
  • 『ダキニの亭主』佳作入選おめでとうございます!!
    良作だと確信しておりましたからねー
    我が事のように嬉しいです
    とはいえ、私なぞはチマチマ感想を書いたばかりですが 汗

    感想イベントはこれで終了となりますが、
    近況ノートなどにご連絡くだされば、すぐに飛んで来ますので、今後ともよろしくお願いします
  • >『ダキニの亭主』佳作入選おめでとうございます!!

    ありがとうございます。
    自分でも1本書き上げられればいいやと書いたものなので、過分の結果に驚いております。

    >そして、ダキニ続編ですか!
    >やったー!!

    ありがとうございます。
    調子に乗って『ダキニの亭主』の続編を書かせていただきました。
    よろしければ、おひまつぶしにでも読んでいただければ幸いです。

    https://kakuyomu.jp/works/16816452219612463509/episodes/16816452219612466576

    カクヨムをあまり使っていないので、近況ノートの使い方がまだ今一つよくわからないのですが、こちらで大丈夫でしょうか?
    (一応新規でもスレ立てておきますね)

    イベントも終了しましたし、もしよろしければで結構ですので、お時間があれば引き続きよろしくお願いたします。
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