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水木と昭和の光と影。

こんばんは。
初めましての人は初めまして。
城之内です。

この度の週末、仕事終わりにレイトショーで「ゲゲゲの謎」
という鬼太郎誕生までを題材にした映画を見てきました。

はい、正直に言えば二回見ました。
土曜の夜、日曜の夜と。


鬼太郎には小さい頃から色々思い入れがあって、今自分が「人と妖」という題材で多く作品を書くようになったきっかけも水木しげる作品でした。
(電子書籍で作家をしていた時代はそれが今よりさらに顕著に出ています)

加えて、自分が幼少期から結構な頻度で不思議な体験をしていたというのも大きいかもしれません。
いずれにせよ、「いないより、いる方が楽しい」という子供でした。


さて、そんな自分は今回の映画どうしても見たくて、何か心にグサッとくるインスピでも転がっていないかな……と思って見に行ったのですが、刺さったのは「昭和」という時代と主人公の水木でした。

戦後の日本、発展していく最中で上級国民が富を得て、そうじゃないものは貧しい暮らしの中で一生懸命復興を目指す。弱肉強食、弱い者は搾取されて永遠に踏まれていく……この度の主人公、水木もそんな日本に反感を覚える一人でした。彼は戦争から帰ってきた所謂生き残りで、戦地で目撃した沢山の友の死、上官の横暴な仕打ちなんかのせいで、自分以外信用しないような心持ちで生きていました。加えて友は皆生き残った自分を恨んでいるだろうと悪夢まで見る始末。
戦争と平和が入り混じった昭和30年代の日本を、水木という男に覆いかぶせる形で描いたスタッフはすごいなぁ……と視聴しながら唸りました。
彼が登場人物として行動していく中で、彼の背後にちゃんと「昭和の光と影」がちらつくのです。
うわぁ……なんかもう、言葉にできねぇ……そう思いながら見てました。

それを考えると、今の現代はいい意味で「平和ボケ」なのです。
でも、その分闇が濃い……。
映画の中でも後半で目玉おやじが言いますが、「日本は平和になってない」のです。日本の国内から戦争こそなくなったけれど、自殺率はワーストに入るし、貧困なんかで苦しんだり、孤独に涙する人々は年々増えていると言います。

そう考えると、不思議になります。
平和って、なんでしょうか?

自分自身が誰からも加害されない環境が平和……?
視点を人以外に置いて考えると、そうじゃないかもしれない。

城之内は、毎年夏に戦争物の作品や特番をテレビで見るたびに思います。
あの日、あの時代、あの時、戦で命を散らしていった人達は、今の日本を見てどう思うのだろう、と。


その答えは、きっと今を生きる自分達にはわからないのでしょう。



脱線しましたが、本当にスタッフさん達の能力のすばらしさを垣間見た2時間でした。
脚本は素晴らしいし、美術もすごい。
あとは加えて音楽! 城之内は四期鬼太郎の和田薫さんのサウンドトラックの大ファンなのですが、今回の川井憲次さんのサントラもすごく素敵です。排他的な村で起こる世襲事件の風景が目に浮かぶような出来栄えです。

小説でもそうですが、やはり「背景」を感じられるというのは大変良いなぁと思いました。


出来る事ならあと一回くらいは、もう一度「昭和」を味わいに行きたいものです。


それでは、また。

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