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月一度のお供え物。

こんにちは。
初めましての人は初めまして。
城之内です。

現在イリプレイサブルの11話目を執筆中ですが、ちょいと賞に応募する作品のプロットを軽く考えているので、亀更新が更に亀になるかと思います。
何卒よろしくお願い申し上げます。


さて、お盆も通り過ぎ、お盆休みがあった方々もそろそろ仕事に戻っている頃だと思います。最長で10日間くらいお休みの人もいるようで羨ましい!(我社はカレンダー通りなのでお盆がないのです;;)

お盆には亡くなった人が年に一度戻ってくる……なんて言われていますね。
城之内家はこれと言ってお盆に何かするということはありません。
ただ仕事に行って普段通りの生活ですが、そんな自分がお盆と言わずずっと続けていることが一つだけあります。


それは「大切な人の祥月命日にお菓子をお供えする」……というものです。


実は自分、二十歳の時に己の過失で大切な人を死なせてしまいました。
その時のことがきっかけで精神に結構なダメージを追って、その後三年間もの間引きこもったんですが、やがて社会復帰した後、その大切な人の祥月命日には必ず何かお菓子を買ってお供えするようになりました。
お菓子と言ってもスナック菓子等ではなく、デパートで売っているようなちょっとしたお菓子で、和菓子の事が多いです。

今日、そろそろ祥月命日も近いので何か用意しないとなぁと思いつつ、仕事でたまたまデパートに行くことがあったので和菓子売り場を眺めていたら、なんと名古屋の外郎が……。
ああ、これ好きだったやつだなぁとふと思い出し、白の外郎をひと箱買いました。自分がまだ小学生だった時、近畿地方に転勤で引っ越しをして、夏休みとかに地元に帰省していたのですが、その時にこの外郎を買って帰ると喜んでくれていたのが未だに忘れられません。

人の記憶とは不思議なモノで、同じことを繰り返して習慣化していればもちろん忘れることは早々ないけれど、逆にたった一度だけだったとしても、それが相当なショックだったり衝撃的な事象だった場合は、何年たっても忘れられないものです。
この外郎に関しては前者ですが、城之内は……そんな外郎を喜んでくれたあの人が亡くなって火葬される最後の瞬間に、棺の中に手を入れて触れた頬の冷たくてしっとりした感覚が、もう10年以上経つにもかかわらず未だに忘れることが出来ません。夢にまで見てしまう。それくらいショックな出来事で、自分の中の何かが大きく壊れるような音を聞いたような気さえしました。

あれから、城之内自身も年を重ねて、もうあの人のいない人生もすっかり当たり前になってしまいました。

本当は、社会人になったら一番に恩返しするつもりだったのに。
結局は自分のせいで死なせてしまった。

だけど、それでも……ずっと城之内にとって一番の恩人です。
自分が死ぬまで、きっと月に一度お菓子を供え続けるだろうと思います。


ねぇ、もし生きていたら……今の城之内を見て、何て言ってくれた?
今でも布団の中で、眠れない夜にそう問いかけることがあります。


生きている限り朝が来て、夜になれば、いずれまた朝日が昇ります。
自分の人生の夜も、いつかまた明ける日が訪れますように。


それでは、また。

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