『最期の最後に贈るうた』に出てくる「母」に関しては、フランスの「モーリス・ユトリロ」という人と、作者の身近な人物を混ぜて作りげました。
ユトリロは幼少期にアルコール依存症になってしまい、どうしようもなく社会からドロップアウトしてしまうのですが、依存症治療の一環として絵を描いていた所、当時の画壇にその才能を見出されました。
その後、彼は結婚するのですが、奥さんはモーリスの才能の威を借りて自身の絵画作品も有名にさせようとします。それが失敗すると今度は、モーリスを絵画製造機のように扱い、自身は奔放に生きていた……という説があります。
モーリスは晩年まで、女性に対して激しい憎しみを抱いたままでした。
現代日本に置き換えた時、やはり「母」の生き方は悲劇を強調しすぎのように思えるかも知れません。しかし、まるでフィクションのような絶望の中を生きるしかない人間も居るのだと、私はこの場を借りて言語化しておきたいと思います。
いつの日か、そういった人たちにも焦点を当てられるような文章を書いてみたいと思っています。私もまだまだ修行が足りませんね!