あるきっかけがあって、旧版を読み返していました。
自分の至らなさが当社比わかるようになってからは、何ともつらくて見返すどころじゃなかったのですが……約一年という時間が経ったからか、三版を作り始められたからか、「ひっどいけど書きたいものがあるのはわかる」と思いながらめくれるようになっていました。
ストーリーというより、表現の細部とか、紙幅の割き方とか、文章が感情的になる瞬間とか、そういうところに、「こういうの書きたいんだな」がにじんでいる。
以前、「消すのはもったいない!」みたいなことを仰ってもらえたことがあって。
その時は「こんなにどうにもならないものを取っておいても、使いみちなんて……」としょぼくれたのですが、作品としてまともに完成していなくても、お話というていで“にじみ”をつまんで頂く一本としては出来ていたのだなと、今回思いました。
多すぎる読点が読者さまに失礼だった話じゃないですが、ここでも自分は小説というお話形態を見くびっていたのだなあと感じます。
こういう未完成品でも楽しみようはある……小説はどんな自由な発想でやってもいいんだ……。
大事なにじみを拾い直す一本として、大事にしていこうと思います。パイロットフィルムだなこれ。
一丁前の基準で測れば作品未満の代物ですが、スニーカーの一次だけでも通ったらいいなあ。講評シート、もらいたいです。あと最後の方まで通して読まれたい。
そんなことを思った午前でありました。