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それもまたひとつの作品です。

小説を書く者にとって何より嬉しいのは、自分の書いた小説が誰かに読まれたときでしょう。さらに、読んだ人が何かを感じたり、思ったり、その感じや思いを作品を通して紐解いていってもらえたら、それはもう無上の喜びと言ってもいいのではないでしょうか。少なくとも私はそうです。

カクヨムにはコメント機能やレビュー機能があって、自分の作品に対して送られるコメントやレビューは、どれもが嬉しく大切なものです。

でも、世の中にはそれらとはまったく意味合いが異なる、それ自体がすでにひとつの作品と言ってもいいような『感想』を紡ぎだす方もいます。それが、『フィンディルの感想』、略して『フィン感』です。

https://www.pixiv.net/fanbox/creator/46839483/post/933376

今回、私の短編『そして、扉は閉まる』に対しての感想をいただきました。もともとは、フォローさせていただいているゆうすけさんの近況ノートでその存在を知ったのです(ゆうすけさんに感謝)。同じくフォローさせていただいているえーきちさんもこのフィンディルさんから感想をもらっていて、このお二方への感想が素晴らしいのです。なので、私も思わず応募してしまいました。

その感想の内容は、実際に見てもらったほうがいいでしょう。

私たちは、小説を書くなかで、意外と無意識に作品の深い部分に触れていることがあります。他人から指摘されて、「え、そういうつもりはなかったんだけど、そっかなー」みたいな部分を褒められることがあります。『フィン感』の素晴らしいところのひとつは、そういう、作者も気づいていない良いところを指摘してもらえることです。そして、作者が無意識・無自覚にやっていても、それはそれでいい、というスタンスであることです。

とことん理詰めで整合性の取れていない部分を指摘することは、意外と簡単です。でも、あくまでも一読者の見解として、作者の意図とは違っているかもしれないとしたうえで、もし改めてそれを自覚・意識したのなら、再認識・再考してみてはどうでしょうというスタンスの感想は、なかなかお目にかかれません。そのような感想を成立させるためには相当なリテラシーが必要だからです。

……しまった。つい長々と書いてしまった。

今回の応募は締め切られていますけど、1万字以下の短編を書かれたことがある方は、次の機会にぜひ応募されることをお勧めします。ここまで詳細で、かつ納得できる感想をもらえることは、はっきり言って相当貴重です。

百聞は一見に如かず。一度覗いてみてください。

18件のコメント

  • 感想が作品として成立するような素敵な感想ですね。
    一万文字の作品に二万文字以上の感想が返ってくるなんて、誰が想像したでしょうか。
    感想とは一個人のものです。それを踏まえた上で、褒めるところは褒め、改善した方がいいかなと思うところは指摘して、細かい誤字や表記の揺れなども見つけて貰える。
    作者が意図した事、意図していない事、他にも心配していたところなんかはすのものズバリに指摘されたり、私も初めて感想をもらった時は本当に凄いと思いました。
    ただご本人様もおっしゃっているように、感想の九割が指摘になる事だってあり得るそうです。それは感想なのだから仕方がありません。感想は十人十色ですから。
    それでも、感想を書いて欲しいと思える感想でした。
    Han Lu様の感想もとてもよかったです。
  • いやあ、自分の読み込みの浅さが際立っちゃいますよね。小清水くんの長話にそこまで意図があったなんてとても読み切れませんでした。
    作者自身見落としていたところとか、曖昧なまま公開しちゃったところとか余さず指摘が入るこの感覚はなかなか他では味わえないものです。
    もっと別の作品の感想も書いてほしいと思う反面、出すのが怖くなる面もありますよね。
  • こんにちは。
    私も例の感想、読ませて頂きました。
    Han Luさんのお話が凄いはももちろん、フィンディルさんの深い所まで読み込んだ感想、凄かったですね。
    なるほどその意図もあるのか、と目からウロコでした。
    フィンディルさんの感想を読む前に、私はHan Luさんの作品を読ませてもらったのですが、最初に読んだ時「凄い!」と思って、フィンディルさんの感想を読んだ後、もう一度読むとですね、「やっぱり凄い。敵わない」となりました。
    いや、それほどまでに完成度が高い。その完成度の高さって言うのは、ここから来てるんだってことをあの感想でもう一度教えて貰った気がします。
    いやー、ほんとにどちらも凄かった。
    いい体験、させて貰いました!
  • えーきちさま

    私たちは作品内で重要なことを意外と無意識・無自覚に書いていたりしますよね。それもある種の才能であったり力量であると思うのです。ただ、それを改めて論理立てたり、秩序立てて提示してくれる人って、普通はなかなかいません。フィンディルさんの感想のすごいところはそこだと思ってます。本当にすごいです。だって、ある意味、作者よりもその作品を知り尽くしていると言っていいくらいですから。もっとたくさんの人に知ってもらいたい存在ですよね。
  • ゆうすけさま

    もっと別の作品の感想も書いてほしいと思っちゃいますよね。今回は自分の書いた中でも一番完成度の高いものを出したので、ちょっとびびっちゃいますね。それに、あれを書くのってたぶん相当な労力がかかっていると思うので、そんなに気軽にお願いできないなーという気持ちもあります。

    ともあれ、ゆうすけさんに教えていただいたおかげで、すごく貴重な経験をすることができました。ありがとうございました!
  • 薮坂さま

    次は薮坂さんの番ですね。どきどきですね。

    今回また読んでいただいて、ありがとうございます。でも、フィンディルさんの感想を読むと、その作品を読み返したくなりますよね。私もえーきちさんとゆうすけさんの作品を読み返しました。

    あの感想、ほんとすごいです。作者である私自身も目からウロコでしたから。まだまだ改善の余地があるなーと、改めて気づかせていただけたこともありがたかったです。しかも、説得力と、納得感があって。

    感想アップされたら、また読みに行きますね。

    ではでは!
  • すごいなこれ。

    私が「ふふ……」って思いながら読んでたところにこんなにも分析されるべき要素があったとは。

    昔々に私は、とある分野の学者さんになる人たちが集まる学校にいたんですが、これは無理だと思って別の道に行ったのを思い出しました。
    重箱の隅に残ってる餡子が何gなのかにも興味を持てなければこの世界は無理だなと。
    記憶力と恐らくは詳細なメモと分析力と……。
  • すごいですよね。びっくりしました。

    作者も気づいていないところがたくさんあります。書き手なんて、けっこう感覚で書いてますから。私も分析するほうは無理です。つくづく作るほうでよかったと思います。

    本人もおっしゃってますけど、あくまでも一読者としての感想ですし、詳細な分析がすべてとは思わないですし。

    私としては、どんな感想でも嬉しいし、ありがたいです。
  • こんばんは!
    オレンジ11様の文字化けのコメントに、解除できたら文章がってくだりがありましたけど、文字化け変換サイトがいくつか転がっているので検索かけてみると面白いですよ。
    私は実際に使ってます(笑
  • こんばんは~。

    へえー。そんなのあるんですね。知りませんでした。でも、面白そう。ちょっとやってみます。

    ありがとうございました!
  • Han Luさま

    こんにちは!
    ゆあんさまのページからアクセスしました。
    あの……【葉桜の君に】<筆致は物語を超えるか>の作品のエピソードタイトルが、文字化けしていて、近寄りがたいのですが。
    あれはどうすれば読めるんですか?
    🙇ちょっと、怖い……ような、気も……。





    10
    水木レナ
  • 水木レナさま

    こんにちは。

    『葉桜の君に』のエピソードタイトル、あれは別に文字化けではないです。なので、読めません。あの文字列自体に特に意味はありません。

    怖いですか? それはすごく嬉しい反応です。うふふ。

    あまり深く考えず、スルーしちゃってください。
  • Han Luさま

    スルーしちゃったら、読めないですよ。
    怖いの苦手なんです。
    まさか……ホラーや猟奇じゃないですよね?
    (タグを確認する)






    水木レナ
  • 水木レナさま

    あ、内容はぜんぜん怖くないですよー。ホラーでも猟奇でもないです。タグにはないですけど、強いて言えばSF?

    なので、お気軽にー。
  • Han Luさま

    そんな、お気軽になんて、できかねます。
    フィンデルさんに感想をもらっていらしたじゃないですか。わたくしは、
    あのような誰にとっても納得のいく解析は無理です。
    フィンデルさんにあそこまで評価されている
    Han Luさんの作品です、仕掛けもいっぱいあるに違いない。
    目にしたら、心がつぶれてしまうかもしれない。
    どのようなSFでしょうか?






    水木レナ
  • 水木レナさま

    あらまあ、そこまでご期待していただけるなんて、そのご期待に添えることができるかどうか、こちらこそ緊張で心がつぶれてしまいそうです。

    >どのようなSFでしょうか?
    SFの定義もなかなか幅広うございますが、いわば、「ちょっとしたSF」でございましょうか。
  • こんばんは、フィンディルです。フィン感のご紹介ありがとうございます!
    紹介していただいている記事などにはあまり出しゃばらないというスタンスをとっているのですが、Han Luさんのご紹介文で嬉しい箇所がありましたので、そのお礼をしたいなと思います。記事のアップから期間も経ちましたし。

    ―――――――――――――――――――
    とことん理詰めで整合性の取れていない部分を指摘することは、意外と簡単です。でも、あくまでも一読者の見解として、作者の意図とは違っているかもしれないとしたうえで、もし改めてそれを自覚・意識したのなら、再認識・再考してみてはどうでしょうというスタンスの感想は、なかなかお目にかかれません。そのような感想を成立させるためには相当なリテラシーが必要だからです。
    ―――――――――――――――――――
    (フィン感的引用の仕方)
    フィン感は様々な感想技術を使って書いているのですが、この感想リテラシーもそのひとつです。単に小説の知識や技術、読解力があれば素晴らしい感想や指摘が書けるかというとそんなことはなく、それらを感想としてどのようなかたちで作者に伝えるかということがとても重要です。むしろ感想の品質はこれで決まります。
    私も感想を書くたびに悩み、日々向上を目指している大事な感想技術のひとつです。

    感想って「誠実だ」「熱量がすごい」「真摯だ」というように姿勢や努力を褒められることはすごく多いんですけど、どのように伝えるかという感想技術に着目されることは非常に珍しいです。
    そういう意味で、Han Luさんの感想リテラシーへの言及はすごく嬉しかったです。またそのように言及していただくと、私の意識も高くなりますし、感想の向上に繋がると思います。

    そしてこれに「リテラシー」という名称を与えてくださったのが面白いなと感じました。「リテラシー」とは「特定分野の知識及び、それの活用能力」という意味で包括的な言葉ではあるのですが、私はこれがすごく腑に落ちました。
    私は特に名前などつけていなかったのですが、名前があることでより強く意識することができます。ありがとうございます。

    ということで遅ればせながら、紹介・言及ありがとうございました!
    これからもよろしくお願いします。
  • フィンディルさま

    こんばんは。いらっしゃいませ~。

    本当はもっとたくさんの人に広められればいいのですけど、なかなかそうもいかず、残念です。私にもっと拡散できる力があればいいのにって、つくづく思いました。でも、今回も三名の方たちが応募されて、よかったですね。

    リテラシーという言葉は、確かもともとは単に文章に対する読解力・記述力のみを指していたと思うのですけど(心配になってさっきWikiを見てみたら、合ってました)、今はもっと広く、あらゆる分野において使われる言葉になっていますよね。情報リテラシーとか。

    ひどく大雑把に言うと、小説を読み解き、分析する能力は、ばくっとリテラシー(小説リテラシー?)と呼んでもいいのかもしれません。でも、フィンディルさんの感想は、さらに一歩踏み込んで、どういう感想をどうやって伝えるかがポイントとなっていると思います。なのでやっぱり感想リテラシーと呼ぶのがしっくりきますよね。感想のためのリテラシー。

    逆に私は、感想技術という言葉をこれまであまり聞いた記憶がなかったので、新鮮でした。でも、そうなんですよね。小説に限らずですけど、単に詳しい・知識がある・分析できるだけでは、いい感想なんて書けないです。

    私もたまに、カクヨムで読んだ小説にコメントやレビューを書いたりするので、ちょっとだけそれは分かります。それに、優れた感想書きが優れた小説家とは限りませんけど、優れた小説家はおそらく優れた感想書きだと、私は思うのです。感想、難しいですけど。

    そんな私のつたない文章がフィンディルさんの書く感想へのお役に立てたのなら、とっても嬉しい限りです。たぶんまたいろいろとお世話になることと思います。

    わざわざお越しいただいてありがとうございました! こちらこそ、引き続きよろしくお願いいたします。
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