藍沢 紗夜

Twitterに上げている散文詩を加筆修正してまとめました。140字前後の作品群です。どこから読んでもお楽しみいただけますので、ぜひ気になったタイトルからご覧ください。 ※基本…

　呪われると言われている白い髪を持って生まれたことを理由に、親族から迫害を受けていた少女・アリアは、彼女の身を案じた母親によって孤児院に入れられ、そこで育てられた。幼少の頃から歌…

高校二年生の冬、受験勉強に疲れてしまった少女は、クリスマス当日にとぼとぼと街を歩いていると、人気のない路地の先に、目の前に小さく可愛らしい洋館を見つける。入り口前にある看板を見る…

突然の雨は空鯨が大量に水を噴き上げたことが原因らしかった。傘を忘れた私が憂鬱になっていると、大きなクラゲが現れて……？

第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト短歌の部、一首部門に応募用の作品集です。 ひとつでも何か灯るものがありますように。

生活をテーマに、生きることの難しさと愛しさを詠んだ連作短歌。 第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト　【短歌の部】二十首連作部門参加作品です。

「未海が好きなの。ずっと前から」 　ずっと憎んできた『学園の美少女』である幼馴染のひかりに、突如そう告げられた未海は、その好意を利用して彼女を陥しめることにしたのだが……。 　闇…

　郊外の寂れた街に住んでいる主人公・誠は、地図を持って一人でここに来たという少女・結那に出会う。同じ土地を表しているのに、全く違う様子の観光案内の載ったその地図は、元々は結那の親…

　消費するだけの無味乾燥な日々を送っていた、『顔だけはいい』女子高校生・宮戸波瑠名は、彼氏に振られた直後に、同い年の美術科高校生・小鳥遊亜都に突然声をかけられ、絵のモデルを頼まれ…

きょうのお月さまはとくべつ大きくて、見たこともないくらいぴかぴかしていた。手を伸ばしてみたら、いつのまにかぼくは月の上に立っていて、たくさんのうさぎが周りに集まってきて……。 …

通信制大学に通っている日茉は、ネットで知り合った、同じ大学でありながらも初対面の四人と一緒に、海辺に花火をしに来ていた。花火に苦手意識があった日茉だったが、みんなと遊んでいるうち…

　想いを寄せる幼馴染の涼夜と二人で夏祭りに出掛けることになった咲。告白をする決意を固めて、緊張していた咲だったが、二人で過ごすうちにだんだんと自然体になっていく。そんな中でトラブ…

青すぎる夏、いつまでもこちらを見ることのないきみに焦がれる。 第一回カクヨム短歌・俳句コンテスト（二十首連作部門）参加作品です。

　夜だけが、その少女の世界の全てだった。 　その少女は、日が沈み空が紺碧に染まっていく頃に目を覚ます。孤独な少女はその箱庭で、草花や星月を愛で暮らしていた。歌い、祈りを捧げながら…

　いつも無愛想で仏頂面をしていた、実の父親が亡くなった。交流の少なかった父の死に実感も持てず、あまり悲しくなれなかった主人公、早絵。しかし遺品整理をしていくうち、彼女は謎の古びた…

『この気持ちは、恋ではない。恋であってはならない』 　男子高校生である主人公は、養護教諭である「彼女」に惹かれて、保健室に定期的に足を運んでいた。安らかな時間を過ごすうち、たくさ…

　屋上に佇む彼女は、唐突にその質問を投げ掛けた。 　ぼろぼろになっても継いで剥いで、不器用に生きる少女と、それを見つめる少年の一幕。

　二人の息子を持つ父親である晴之は、亡くなった妻・円花を今も想っていた。母親の不在に寂しさを感じていた息子たちを連れて行った博物館で起きた奇跡と、円花の想いとは。喪失を乗り越えて…

　その毛虫は蛾の幼虫なのに、綺麗な蝶々に憧れていました。綺麗な蝶々になるために、彼は努力を惜しみませんでした。でも、彼はどうやっても、茶色い蛾の子だったのです……。

　男子高校生の蒼汰は、平凡で淡白な夏休みを過ごしていた。ある日近所のCDレンタルショップに外出したところ、小学校の同級生を名乗る少女・梓に出会う。話がしたいという梓のためにファス…

「ねえ、もし明日世界が終わるとしたら、どうしたい？」 　三年前、今より少し幼い彼女が訊いたその質問を僕は憶えていた。これは、終わる世界と、僕たち二人の最期の物語。