ある日、夜に寝ているところを騒ぎ声で起こされた。ガキが騒いでんなと思いながら水を一杯飲んでいる時に気が付いた。
腕の時計は深夜零時を指している。こんな時間にどうして子供が遊んでいるのか? しかも騒ぎ声は玄関ドアの向こうから聞こえてくる。
夏に飲んでいる水は生ぬるいはずなのに食塩を入れた氷水のように内臓を冷やした。
ドアを開けるべきか? しばらく悩んでいると、玄関ドアに『バン!』と何かがぶつかった音がした。得体が知れないのでそのまま布団を引っ被って無理矢理朝まで過ごした。真夏のはずだというのに朝日が差してきた頃には部屋が冬のように寒く感じられた。
玄関を開けて扉を見ると、赤黒い染みが僅かについていたのだが、これ以上関わりたくないので見なかったことにした。