みなさま、こんにちは。楽しいクリスマスをお過ごしのことと拝察します(*^^*)
先日より連載を開始しました『塔の上のレイヴン』に、温かなコメントや読ツイ、ブックマークをありがとうございます。作者、少しほっとしておりますv
さて。個人サイトをご覧の方はご存じですが、私は長編を書く際、世界設定や用語辞典、参考文献一覧を作成しています。――これは、私自身が書いている途中で細かい設定を忘れてしまうからです(^^ゞ
ほんらい他人様にお見せするようなものではないと思うのですが、世の中にはこういうものに興味がある方がいらっしゃるので、設定のみ少し公開しておきます。
★作品の本文中で説明しますので、読んでいただく必要はありません。
★用語辞典、参考文献リストは、拙サイトで公開しています。
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『塔の上のレイヴン』世界設定:
■地形・気候
太陽はひとつ。月もひとつ。一ヶ月は約三十日、一年は十二ヶ月です。
南北を海にはさまれた、東西に細長い陸地です。陸地のほぼ中央を西から東へ山脈が連なり、そこから北へ流れ下る大きな川が三本あります。
山脈の名は、西から〈夕星(ゆうづつ)山脈〉、〈中央山脈〉、〈曙(アルバ)山脈〉。
〈曙山脈〉の最西端に〈聖なる炎の岳〉と〈三姉妹の岳〉がそびえています。休火山です。
〈曙山脈〉より北がアイホルム大公領、南側がヒューゲル大公領です。
〈中央山脈〉には、ラドトィイ族の自治領があります。
〈中央山脈〉の南側には〈五公国〉を統べる聖王の王領があり、
〈夕星山脈〉の南北には別の大公国があります。
気候は温帯。四季があり、季節の節目に祭があります。
山脈には雪が降り、山脈の北側は寒冷ですが、麦や葡萄の栽培は可能です。
畜産も行われており、毛皮や毛織物はアイホルム大公領の交易品のひとつ。
ヒューゲル大公領(曙山脈の南)ではオリーブの栽培が盛んで、オリーブ油が重要な交易品です。山間部では養蚕し、絹織物の生産もしています。
ラダトィイ族は〈鉄の民〉であり、良質な鉄製品と馬を産し、これらはアイホルム大公領にとって重要な交易品です。
■暦・単位・言語など
①暦:月齢で28~29日で一ヶ月。月が満ちる二週間、月が欠ける二週間、と言います。
二月一日:イ・ムボルク(早春の祭り、浄化祭、仔羊の誕生と乳しぼりの開始)
五月一日:ベルテイン(夏の始まり、火祭り)
八月一日:ネワン(夏の終わり、収穫期)
十一月一日:サウィン(新年、世界が立ち止まる日、家畜の収納と間引きの開始)
1月:白樺の月 2月:ナナカマドの月
3月:ニワトコの月 4月:ハンの木の月
5月:柳の月 6月:サンザシの月
7月:カシの月 8月:ヒイラギの月
9月:ハシバミの月 10月:葡萄の木の月
11月:木蔦ネギの月 12月:ヤドリギの月
春分は金雀枝、夏至はヒース、秋分はポプラ、
冬至はクヌギの精霊の日
サウィンはリンボクの樹の精霊の日
②単位
数は、十進法です。二、三の倍数に意味があります。
長さの単位…「エン」=約3cm、「フィー」=約30cm、「ヤール」=約90cm
「マイン」=約1.5km、「レウカ」=約3km
③言語
複数の言語を基にした用語を使っています。
① ゲルマン系(ドイツ語、英語):
ブルク(城砦)、ホーバーク(鎖帷子)、チュニック(上衣)、アドラー(鷲)など。
「征服民フォルクメレ」の文化がこの系統という設定です。人名も同じです。
② ゲール語系(アイルランド・ゲール、スコットランド・ゲール、ブルトン語など):
ブローダ・アーガ(革長靴)、ロッホ(湖)、トゥラ(高殿)、リー(王)など
「先住民ネルダエ」の文化がこの系統という設定です。人名も同じです。
③ ギリシア語やラテン語を起源とし、英語やゲール語に組み込まれたもの。または
起源が不明、考古学的な専門用語として定着している語:
フィブラ(留め具)、フラゴン(酒甕)、グレイヴ(薙刀)、ドラゴン(竜)など。
読者のわかりやすさを優先して使っています。
④ 作者による造語:
フォルクメレ(征服民)、ネルダエ(先住民)、ネイ(地母神)、セタム(天空神)など。
実在した(またはする)民族名や神々の名前に重ならないよう考えました。
*名詞の性別や、時制に伴う活用は、煩雑になるので省略しました。
*フォルクメレとネルダエの文化は混交し、混血も進んでいますので、言語も混じって使われている設定です。
先住民族の文字は記号のようなもので、組み合わせて意味を表します。
識字率は低く、一般民衆は文字を知りません。
神職・貴族・商人・高位の軍人のみが文字を使えます。
羊皮紙や木の皮を梳いて作った紙を用いています。
④経済
金貨、銀貨、銅貨があります。
銅貨50枚=銀貨一枚、銀貨12枚=金貨一枚という交換レートです。
⑤政治体制・産業
先住民は、血縁集団を基本とした部族社会です。
各部族を統合する首長=王がいます。王同士は対等です。
王位は長子相続です。
王は五体満足でなければならず、神々に身を捧げ神官となります。
病気や何らかの理由で五体満足でなくなった場合、王の座を下ろされます。
征服民には、王(男王=司祭)とそれを補佐する貴族議会があります。
王権は男系・嫡子相続ですが、場合によっては女王がたちます。
五大公家が地方をおさめ、五公国とも呼ばれます。大公たちの上に聖王がいます。
王族、公爵、伯爵、騎士たちは貴族で、民衆を統治し、税(十分の一)をとりたてます。
農耕中心の社会であり、民衆は納税を行います。貧富の差があり、奴隷を使います。
先住民は奴隷になる一方、土地(自由民の三分の一)を与えられて農奴となります。
自治を守っている先住民もいます。
■民族とその世界観・宗教
多神を信じる先住民族ネルダエに対し、征服民フォルクメレは太陽神を信仰しています。
先住民は黒目黒髪、征服民は金髪碧眼が基本。混血により、栗毛や赤毛・碧眼の者が生まれます。
文明程度は、古代~中世初期。銃はなく鉄器・青銅器は存在しています。
《先住民族「ネルダエ」の世界観》
世界は三層に分かれていると考えています。
大いなる大地の母神(ネイ)と、天空の父神(セタム)から世界は産まれ、鳥や馬や山、川や海、地底にも多数の神々と精霊、妖精たちがいると考えています。
妖精たちは人間と契約をむすび、「真の名」を与えられると魂を宿し、人語を解するようになります。妖精は契約相手の人間に魔力を与え、その繁栄を助けます。
例) 山岳天竺鼠(マオール)は、アイホルム大公家と契約を結び、
ティアナは織物と刺繍で魔法を使うことができます。
誓約(ゲッシュ)は禁忌であり、これをやぶると契約は破棄され、場合によっては生命すら失います。
精霊、妖精たちにはこの世界で果たす役割があり、人間にとっては「魔物」でもネイ神の世界にとっては違う場合があります。
〈闇の魔物 スピナ・ドッホダス〉も〈影の王 ヴェルトリクス〉も、「悪」ではありません。
《農耕民族「フォルクメレ」の世界観》
フォルクメレはネルダエの地を征服してからは、この世界の神々と妖精たちを信仰に取り入れており、アイホルム一族、グレイヴ一族のように、混血を通じて妖精と契約を結んでいる者もいます。
妖精との契約や誓約の在り方は、ネルダエと同じです。
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第一部の第一章は、この世界の説明と登場人物紹介になっています。
お楽しみいただければ幸いですv(*ノωノ)
(Twitterと「なろう」、自サイト、Pixivでは、私の描いたイラストも公開しています。こちらでしか観られない方向けに、掲載しておきます。左から盲目の吟遊詩人ディブレア、女騎士セルマ、セルマの双子の妹ティアナ、赤毛の騎士ライアン、です。)