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シベリア先住民族のシャーマニズムについて

『EARTH FANG』をお読み下さり、ありがとうございます。
少しだけ、解説をさせて下さい。

シャーマン(シャーマニズム)と言いますと、日本の多くの方は、死者の霊魂や神(精霊)を呼び寄せ、自分の身体に憑依させる『イタコ』のような存在を思い浮かべるのではと思います。
日本の『イタコ』や朝鮮族の巫女は、こうした「口寄せ」を行うシャーマンで、『憑依型』と言います。

これに対し、(ロシア民族を除く)シベリア諸民族のシャーマンは、自分の魂を肉体から引きはがして神や霊魂の世界を訪れるので、『脱魂型』といいます。神話・民話では、魂だけになって天上の世界を訪れたり、月へ行ったりしています。
動物や死者の霊を呼び寄せる『憑依』も行いますが、基本は『脱魂型』です。

「シャーマン(シャマン)」という用語がシベリア諸民族の言語からきていますので、こちらが起源のようです。
本作品は、『脱魂型』シャーマニズムを基本としています(少しだけ、憑依も行います)。

ご興味のある方は、
M.エリアーデ「シャーマニズム」(上・下)(筑摩書房)
P.ヴェテブスキー「シャーマンの世界」(創元社)
佐々木宏幹「シャーマニズムの世界」(講談社学術文庫)
中沢新一「カイエ・ソバージュ」(1),(2) (講談社選書メチエ)
……あたりが一般向けに分かり易いので、ご参照下さい。

9件のコメント

  • Azurite(藍銅鉱)様

     初めまして、夷也荊と申します。
     御作『EARTH FANG』を今、拝読中です。
     小生は文化人類学でアイヌの研究をしていました。なので、シャーマニズムも北方民も大好きです。小生もシャーマニズムの小説を書いて、今は他の所に応募中です。ユクとかスルクとか、アイヌ語と似ているのですね。久々に興味と関心のど真ん中を射ぬかれた作品です。
     これからも拝読させていただきます。

     それでは、ご挨拶まで。

  • はじめまして。先ほど、そちらの近況ノートに投稿させて頂いたところでした(笑)
    同好の士にお会いできて嬉しいです。お声をかけて頂き、ありがとうございます。

    『EARTH FANG』のアロゥ族は、サハリン・アムール地方のニブフ族をモチーフとしていますので、アイヌとは近い民俗と思います。作中の「イングとリングゥン」はニブフの古謡、謡はまんま、ニブフ語です(どちらも100年ほど前の記録に基づきます)。
    ただ、私の脚色や造語も加わっておりますので、ご信用なさらぬよう(笑)

    脚色なしで言うなら、拙作『掌の宇宙』の第4話「イオマンテ」がアイヌ、第8話「ででぽっぽ」が山形県最上地方の山伏文化をモチーフとしております。

    ご専門の方にお目にかけるのは恥ずかしいですか、お気に召せば幸いです。

  • Azurite(藍銅鉱)様

     おはようございます、夷也荊です。
     近況ノートにお越しいただき、誠にありがとうございます。
     え? Azurite様は神話や民族専門の方ではないのですか?
     そ、それにしても幅広い民族の伝承を扱っていらっしゃいますね。
     文章も凝っていて、とても巧くて読みやすいです。ニブフとアイヌは交易などの交流をしていた民族なので、とても似ている表現が多いです。おひとりで勉強なさっているのですか? よくこんなに細部まで書けるなぁ、と唸ってしまいます。御作『掌の宇宙』にも思わず栞を挟んでしまいました。今から読むのが楽しみです。

     同士に乾杯!

     それでは、ご挨拶まで。
  • 夷也荊さま

     コメントありがとうございます。

     私は医療従事者でして、専門は脳神経科学です。がっつり理系です(笑)
     大学時代、教養分野で「民俗学」を専攻し、通っていた大学が山陰(妖怪と神話の国)だったこともあり、以来ずるずると……(笑)
     文化人類学や民族学とは、ちょっと焦点がずれているのでは、と思います。入り口は神話・民話・考古学です。

     文章をお褒め頂き、恐縮です。凝った表現が出来そうにないので、とにかく分かり易く、を心掛けております。
     ニブフは、アイヌのお隣さんですね(^^) 熊祭りやイナウなど、共通するところが沢山あって、興味深いです。

     夷也荊さまをはじめ、大勢の研究者の皆様のおかげで、私のような者も、彼らの文化を知ることが出来ます。嬉しいことですv

    「イオマンテ」は、アイヌの方々に失礼のないように、新しいユーカラを創るつもりで書かせて頂きました。
     そういえば、デンマークのイヌイット、シベリアのヤップィックのお話もありました(^^;A

     お気に召せば幸いですv
  • Azurite(藍銅鉱)様

     こんにちは、夷也荊です。
     ええええっ⁉ 理系? しかも医療従事者様⁉ 信じられない!
     理系の方にこんなふうに書かれたら、立つ瀬がないですよ。
     すごいです。小生は研究者ではないです。ただアイヌ愛が強すぎて、院まで行ってしまったただの愚か者です(笑)。「イオマンテ」を読むのが楽しみです。読んだら感想を書かせてくださいね。

     これからもよろしくお願いします。
     
     それでは、また。
  • 夷也荊さま

     素敵なレビューまで頂いて、ただただ恐縮しています。ありがとうございますv

     (この先をお読みいただいて、「なあ~んだ↷」となったら、どうしよう……((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル)
        ↑
     小心者なもので、ちと(いやかなり)ビビッておりますが(笑)
     ご無理のない程度に、お付き合い頂ければ幸いです。
     
     こちらこそ、よろしくお願い申し上げます。
     コメントありがとうございました。
  • Azurite(藍銅鉱)様

     おはようございます、夷也荊です。
     御作を「イオマンテ」まで拝読したところです。
     使用された資料に偏りが見えるものの、よく勉強なさっているという印象を受けました。これだけの物が書けてしまうなら、アイヌの絵本のコンテストに応募なさってみてはいかがでしょうか?
     「アイヌ文化振興・研究推進機構」を御存じでしょうか?
     ここでは、「アイヌ絵本」を毎年募集しています。確か、絵と文は別々の人がかいてもOKだったと思いますが、詳しくは「アイヌ文化振興・研究推進機構」のホームページを参照してください。

     それでは、お知らせまで。
  • 夷也荊さま

     おはようございます。ご多忙中にも関わらず、拙作にお付き合い頂き、ありがとうございます。

     「イオマンテ」に、お優しいご評価を、ありがとうございます(←怒られたらどうしようと、ちょっとビクビクしていた・汗)
     資料の偏りに関しては、ご高察のとおり、萱野茂先生の著書とアイヌ民族博物館の資料を基にしておりますので、詳しい方にはすぐそうと知れる内容になっていると思います。

     絵本コンテスト! そ、そのようなものが……!
     お教え頂いたサイトを、じっくり拝見しております(←至福v)
     検討させていただきますね。

     ありがとうございました。
  • Azurite(藍銅鉱) 様

     こんにちは、夷也荊です。
     今年度は9月が締め切りのようでしたので、準備はお早めにした方が良いかと思います。
     それでは、もし応募されるのであれば、頑張って下さい。
     応援しています。
     
     それでは、お知らせまで。
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