『EARTH FANG』をお読み下さり、ありがとうございます。
少しだけ、解説をさせて下さい。
シャーマン(シャーマニズム)と言いますと、日本の多くの方は、死者の霊魂や神(精霊)を呼び寄せ、自分の身体に憑依させる『イタコ』のような存在を思い浮かべるのではと思います。
日本の『イタコ』や朝鮮族の巫女は、こうした「口寄せ」を行うシャーマンで、『憑依型』と言います。
これに対し、(ロシア民族を除く)シベリア諸民族のシャーマンは、自分の魂を肉体から引きはがして神や霊魂の世界を訪れるので、『脱魂型』といいます。神話・民話では、魂だけになって天上の世界を訪れたり、月へ行ったりしています。
動物や死者の霊を呼び寄せる『憑依』も行いますが、基本は『脱魂型』です。
「シャーマン(シャマン)」という用語がシベリア諸民族の言語からきていますので、こちらが起源のようです。
本作品は、『脱魂型』シャーマニズムを基本としています(少しだけ、憑依も行います)。
ご興味のある方は、
M.エリアーデ「シャーマニズム」(上・下)(筑摩書房)
P.ヴェテブスキー「シャーマンの世界」(創元社)
佐々木宏幹「シャーマニズムの世界」(講談社学術文庫)
中沢新一「カイエ・ソバージュ」(1),(2) (講談社選書メチエ)
……あたりが一般向けに分かり易いので、ご参照下さい。