青島もうじき

＜日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト　二次選考落選作＞ 認識されていないものから順番に概念が「なかった」ことになる現象、法則の欠落（Lack of Law）が発見されて半…

ヒト赤星病は、ヒト赤星病菌(Epidermophyton cytovorum)がヒトの皮膚に感染することによって発症する皮膚糸状菌症の一つである。本論文はヒト赤星病の生物学的特徴…

　Cは、ムーンボウを見ないままに、私の前から姿を消してしまった。 　夜空にかかる虹のことを、月虹、またはムーンボウという。大気中の水滴がプリズムの役割を果たし、月の光が七色に分か…

階段を昇っている。何百、何千、何万階。延々と上方へと続く、十三段と踊り場。ただ、あなたを追い続けて。 追いかけ続けるためには、決して追いついてはいけない。京と「私」の間の距離は常…

＜殺伐感情戦線 第33回＞お題『祝福』 　自転の止まったこの惑星では、36年間かけて昼と夜が一回りする。常に夕方になるように移動生活をする生活単位「ルッカリー」に暮らすテムダとシ…

夢をのぞき見できるのだと、あなたは言った。 その日から、私は夢日記をつけることにした。 「きへん」と「くさかんむり」に出会うたび、私は現実を問い直す。

この家にいると、漆喰の凹凸か、わざとらしく天然感を演出している木目かの少なくともどちらかを常に目にし続けることになる。

イトコという言葉は、物心ついたときにはすでに知っていた。

光のない世界で、闇に意識を溶かしだすように眠ってみたい。私と世界を隔てる身体が、失くなってしまったように眠ってみたい。 第一回睡眠文学大賞　落選作

星を売って生計を立てていた少女は、星を大量に回収する『くらげ』が現れたことで仕事を失う。 『くらげ紡ぎ』と一部世界観を共有しています。

友達の少ない少女にとりついた姿なき幽霊は、無類の甘味好きだった。

猫の集会では、毎晩猫によって物語が紡がれていた。ある晩、繧ｨ繧ｴと二匹だけになった蛻ｩ蟾ｱは、数週間にわたって語ってきた「猫と人間の感動物語」を打ち切りにすることを決意する。

2020年8月に控えた世界の終わりに向けて、各自、3つの世界線のどれかに「進路希望」を出すことになった。 友達になりたいと思っていた相手に、二度と触れられなくなるかもしれない。そ…

単語生成アプリによって偶然生まれた言葉をお題として書く短編集、もとい断片集です。三題噺みたいなものだと思っていただければ。 短編と呼ぶには少し脈絡のないものが主立っています。 …

お泊り会をする三人の少女と、彼女たちに見えている世界のお話

女子高に通う少女の身に起きた、バター香るささやかな不思議。 少女は、無気力な家庭教師に謎を持ちかける。

擬人化。それは人でないものを人になぞらえる営み。 そんな一つの技法をテーマにした小説の登場人物として設定された二人の少女は、そのプロットの中で思考する。

メタフィクションとフィクションの狭間を揺蕩う"くらげ"を眺めるために、二人の少女は丘を目指す。