日本語という美しい表現方法。色彩を放ち、匂いを感じさせるもの。
ひらがなや漢字のフォルムの美しさは多言語に類を見ない。文字で構成された「ことば」になればそれは生命を持ち、誰かに語りかける音を持たない〝声〟になる。そしてそれは文章として鮮明に意思を吹き込まれた途端、紙面で鮮やかに踊り始める。
なんという魔法なのだろう。
「伝える」だけに止まらず、言葉は誰かの想いに忍び込み静かに浸透しやがて人生そのものに見えない「何か」を加えてゆくのだ。
この世界を構成するものに名前を付ける時、記憶や経験則から連想することが多いだろう。
時代を超え季節を感じ、数多のものに感覚を委ねなければならない。