最近読んだもの備忘録第二弾ですよ。備忘録というか、おすすめ本棚になりつつあります。
本日は二〇二一年七月二十一日、ガガガ文庫より発刊された作品。
「ミモザの告白」
著者は八目迷先生、トナカイさんは本作で初めて触れた方です。
物語の舞台は、一昔前をモデルにした架空の地方都市。
主人公は幼馴染で同級生の青年に、ある種の劣等感を抱いてしまい、ある時から疎遠になります。ある日学校から遅く帰った彼は、その幼馴染がセーラー服を着て、公園で泣いている姿を目撃してしまいます。
そこから、彼が自分の性別に疑問を持っていたということが判明し、クラスを巻き込んだとある騒動に発展していくのです……
ミモザとは黄色い花が複数集ったかわいらしい花のこと。その花言葉はどうやら「優雅」とか「友情」だそうで。今作のヒロイン、主人公の幼馴染の性同一性障害の告白のことでしょうね。
本作自体はLGBTをテーマにしたラブコメ……コメディ要素は薄いというか、無いんですけどね。ボーイミーツガールなのかな、純文学的作品です。
前回のほうかごがかりとはまた異なった、少年たちの心情描写の描き方がグッドです。基本的に登場する人はみんな普通の人、ラノベ的な主人公気質や正義感の持ち主は少ないです。なので、みんなのLGBTへの疑問、対応も十人十色、苛烈なものもあれば、それを許容する人もいます。それらの意見のほとんどに理由が存在し、やり方はともかくヒロインのことを思った発言が多いのです。
まあ面白がって、冗談だと思っていじる発言をする、とかもありますけれど。そこからいじめに発展しちゃったりもするんですよね……
結局どうあがいても、人には変化に対しての拒絶感が存在する、というのがテーマの一つなのでしょうか。面白い作品ですけど、読んでると胸が締め付けられるんですよね……ぜひ多くの方に読んでいただきたい作品です。
ちなみにヒロインがとても凛々しくてかっこよくてかわいいのです。そこだけ目当てでもよいやもしれません。恋愛描写が美しいのだ……
そんな感じです。次くらいはよそ様……同じアマチュアな同輩の作品についても書きたいですねぇ。
では、お後がよろしいようで……