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ノート 3 閉鎖空間におけるセックスに関して

このお話の創作ノートです。

加藤恵美さん、明彦との肉体関係で悩んでいるようです。記憶転移前から肉体関係はあるのだから、転移が起こっても継続してもいいじゃない、と自分を納得させている節があります。しかし、自分でも転移前と後とでは、状況は異なる、ということは重々理解しているはず。転移前なら、肉体的欲求があって、天真爛漫にしてしまった。転移語は、秘密を抱えて、感情が不安定で、周囲と違う自分がいて、それを理解できるのは明彦のみという不安型に移行している。

日本とアメリカ、それも保守的なテキサス、2020年の調査という方よりはありますが、米国テキサス大学(University of Texas)オースティン(Austin)校の心理学者らの研究が、「Archives of Sexual Behavior」誌8月号に発表されました。

研究チームは、学生や大学関係者400人を対象にセックスする動機を調べ、リストを作成、そのリストを使って学生1500人に対して調査を行いました。その結果、セックスをする理由は237種類もあることが分かりました。

調査結果では、男性は肉体的理由で、女性は愛情が理由でセックスするという通説に反し、男女差はほとんどなかったそうです。実際、トップ25のうち20の理由は男女で共通していました。

この237種類の動機は、
1. 肉体的欲求型
2. 感情型
3. 不安型
4. 目標達成型
の4つのタイプに分けられるそうです。

男女を通じて最も多かったのは、
「魅力的だったから」
よくある「欲求不満だった」「酔っていた」「愛していた」のほかに、変わったものでは「神に近づきたかった」「相手がかわいそうになった」「自分を罰したかった」などがランクイン。

さらに「仕事を得るため」「昇進するため」、あるいは「利用されたかった」「堕落したかった」とするものもあったそうです。

男性は肉体的理由で、女性は愛情が理由でセックスするということじゃないそうです。本音では。しかし、建前ではどうなんでしょうか?アメリカ人は日本人よりも本音と建前がありませんのでそういう結果になるでしょうが、日本人は、まだまだ、建前では、「女性は愛情が理由でセックスする」と自分を納得させたい、相手を含めて周囲を納得させる、となるのではないでしょうか?

お話の時代は、1978年です。70年代後半、80年代前半が舞台となります。2020年と違って、まだまだ建前がさらに強い時代。さらに時代の同調圧力は、「結婚まで処女」が強かった時代です。本人も相手にも「女性は愛情が理由でセックスする」と納得させたいはずですね。

70年代後半の時、20才の女の子。そこに30年後の時代の雰囲気を持った39才の大人の女性の記憶がかぶさった女性を考えましょう。その記憶のかぶさりは、両親にも近しい人間にも誰にも言えない。その話ができるのは、同じ境遇の同年輩の男の子だけ。こういうことが自分に起こったらどう思います?

一種の閉鎖空間ですよね?加藤恵美が第11章の最後で言っているように「ここはISS(国際宇宙ステーション)みたいな閉塞空間なの。秘密を抱えた人間は今はあなたと私だけ。ISSで男女の間で何があったのか、NASAだって報告は受けていないわ」と感じていると。

そこで、実際に宇宙でのセックスはどうかというと、
無重力でもできるのか? 宇宙セックスの歴史
https://bityl.co/3tgi
https://bityl.co/3tgk

ピーター・ペザベントは、「地球上と宇宙空間における孤立が引き起こす心理的および社会的影響」という論文で、「自分の、ときとして相手の性欲の処理を行なうか」という調査をしています。きわどいテーマですね。

ペザベント氏は論文の中で「人が地上で性行為を営む本性があるのなら、宇宙においても同じであろう」という、明白であるべき事実を指摘しています。米航空宇宙局(NASA)は、少なくとも公式には、こうしたテーマは扱わない方針だということです。きわどいですものね。

宇宙に出ている間は、そもそも愛する人との触れ合い自体がないというほうが重要な問題であり、セックスはそうした問題のうちのごく小さな一部分にすぎないというのがNASAの見方だそうです。NASAはあくまで「愛情が理由でセックスする」主義を建前としているんですね。

アメリカは意外と保守的ですから、本来の任務以外で、宇宙でなされているかもしれない活動に関しては、NASAとしては一切情報を公開しないのだという。つまり、婚姻関係にない男女宇宙飛行士がセックスしようと愛情関係になろうと関知しません、と言っています。「もし彼らが、宇宙飛行士の関係についてNASAとしての方針を公表しなければならないとなると、パンドラの箱を開けてしまいかねない」臭いものには蓋です。

宇宙飛行士のアラン・ビーンは、クルーを全員男にすることは、嫉妬を防ぐ上で有効だとコメントしている。クルーに男女が入り混じっていて、「あぶれてしまう」人がいると、問題が生じる可能性があるというのが彼の考えだ。

お話では、宇宙空間でもなく、周囲に1億人以上の日本人がいるのだから、「あぶれてしまう」ことはないだろうと思われますが、転移が起こるのは7人。男性なら一般人(転移など起こっていない人間)とでも処理できるのでしょうが、女性の場合は、転移している人間、男性から「あぶれてしまう」ことはやはり気になるのかもしれません。本音では肉体的欲求型で一般人とでもいいじゃない?とは思うのですが、建前では、「女性は愛情が理由でセックスする」、しかし、一般人(転移など起こっていない人間)と愛情が保てるのか?という不安がもち上がってきますね。この部分が加藤恵美の葛藤になってくるのです。一種の敵地にいるスパイの心境。秘密が分かち合えない人間に周囲を囲まれているという現状。

タイムトラベルやタイムリープの小説を読んでみましたが、こんな葛藤を持つ主人公は私の読んだところおりません。

成熟した39年間の大人の記憶を持つ20才にあなたがなったら、どうします?若返った、と喜びますか?それとも悩んでしまいますか?

どうなんでしょう?やはりこういうことはしばしば起こっても困りますね?モーゼやイエスや釈迦やダライ・ラマなんてどうしたんでしょう?やはり、宗教や心霊的なものに救いを見出したのでしょうか?

1件のコメント

  • 確かに、私もタイムトラベルやタイムリープを題材とした作品で、SEXに対しての葛藤が描かれている作品には今回初めて出会ったと思います。
    作中で明彦が言っているように、本筋とは違うから、なのでしょうね。

    あくまでそういった作品では、タイムトラベル等をすることで引き起こす事柄に視点がいきがちですもんね。
    (私自身、その点にしか目はいっていませんでした。)

    この作品は、そういった細かい、でも確かに起こりうる葛藤まで描かれているからこそ、よりリアルを感じているのかもしれません。
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