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ノート 1 タイムトラベルに関して

難しい話を抜きに、このお話の創作ノートをつけてみましょう。

まず、『ユニバース』という英語は、『ユニ(単一の)』+『バース(宇宙)』という『単一の宇宙』という意味で、そもそも宇宙はひとつしかない、ということです。当たり前だろう?と思われるかもしれない。

それがビックバン以来、137億年続いてきました。単一宇宙のイメージという絵です。このイメージは4次元と思っていただければいいのですが。金太郎飴がずっと続いているようなものです。青い字で時間軸と書いていますが、この時間軸の2000年でバサッと縦に切ると、2000年の金太郎(宇宙)があってそこに2000年時点のあなたや私がいます。2020年の今日でバサッと縦に切ると、2020年の金太郎(宇宙)があって、そこに今日のあなたや私がいるという具合です。

ところが、いやいや、宇宙はひとつじゃなくて、いくつもあるんだよ、というのが多元並行宇宙という考え。『平行』ではなく、並んで進んでいる『並行』です。漫画や小説では、パラレル宇宙とかパラレルワールドとか言います。

このお話では、『ユニバース』に対して、『マルチバース』という単語を使いましょう。『マルチ(複数の)』+『バース(宇宙)』という意味です。

そもそも、なんでこんな並んで時間を進んでいる宇宙があるのか、違うビッグバンから生まれた宇宙同士(出発点からして違う)なのかとか、恐竜が絶滅した宇宙と絶滅しなかった宇宙とか、いろいろありますが、そこは突っ込まない。話が広がりすぎます。

ここでは、単純に非常に近いことが起こっている宇宙としておきます。

お話としては、第一ユニバースは、今のあなたや私のいる宇宙と同じく、ジョン・F・ケネディもロバート・ケネディもジョン・レノンもみんな銃で撃たれて死んでしまっている宇宙。

第三ユニバースは、ジョン・F・ケネディは銃で撃たれて死んでしまったが、ロバート・ケネディとジョン・レノンは暗殺されなかった宇宙としておきます。それだと、あまり違わない宇宙になるので、都合がいい。

第二ユニバースはどんでん返し用に曖昧にしておきますが、第一と第三とあまり違わない。第二は第一の方により似ている宇宙としておきます。

あまり違わないので、似たような登場人物が第一にも第二にも第三にもいることにします。お話では『類似体』と呼んでおきます。

ただし、第一の時間軸は第三よりも25年遅れている設定にします。なぜかって、その方がお話の都合がいいからです。だから、第三の時間軸の2020年でバサッと縦に切ると、第一は2020 – 25 = 1995年になります。

さて、筒井康隆の小説「時をかける少女」だと、文庫本で100ページほどですから、面倒くさい説明もしていられないので、なんと簡単に、主人公の芳山和子が実験室でラベンダーの香りを嗅いで意識を失うと、数日間過去に戻ってしまうという出だしです。タイムリープしてしまう。

タイムリープというのは、『自分自身の意識(記憶)だけが時空を移動し、過去や未来の自分の身体にその意識(記憶)が乗り移る」という意味です。

芳山和子は、数日間未来の記憶がありますから、その間に起こる自分にとって都合が悪いことが、いつどうやって起こるのかを知っています。明日、地震で火事が起こって友達の家が延焼しちゃうぞうとか、芳山和子と友達が交通事故に巻き込まれるぞうとかわかっちゃう。預言者みたいにね。

実は、芳山和子の友達が2660年の未来からタイムトラベルでやってきた人間だと判明します。彼の現象は、和子のタイムリープじゃありません。和子には数日前の自分がいるので、意識(記憶)だけが時空を移動して過去の自分に乗り移ることができますが、和子の友達は2660年からの旅行者ですから、現代に体はありません。それで、体ごと時間をさかのぼってきたのです。未来から過去に裸でタイムトラベルして出現したターミネーターみたいなものです。

実にいい加減ですが、原作が学研の中学三年コースとか高1コースという雑誌の連載ですので、難しいことも書けませんし、ハードSFでもない、青春、ラブロマンスなのですから、筒井康隆も責められませんが、ラベンダーの香りでピョンと時間を飛べるなど、かなりいい加減です。

原作が1965年に書かれています。筒井康隆31才の作品。65年ですから、物理学理論も今ほど進んでいませんでした。しかし、いい加減で曖昧な方が解釈の余地があるので、ドラマ化されたり、実写映画、アニメ映画化されたりするのでしょう。
癪に障るので、お話では、第一ユニバースの1978年に44才の筒井康隆を登場させてネチネチといじめて、違うバージョンの時をかける少女を書かせてみるのも面白そうです。

お気付きの通り、小説「時をかける少女」もドラマ版も実写版も、単一宇宙の中を同じ人間(芳山和子)の意識(記憶)が過去に飛んだり、未来から来た芳山和子の友達が体ごと過去に飛んだりしています。

それはマズイでしょう?地震や火事が起こったり、交通事故にあったりした世界(もしかして、誰かが死んじゃうとか)はどこに行っちゃったの?ということになります。そういう世界はないことにしよう!とか、そこで宇宙は枝分かれして、別の宇宙(第一ユニバースに対する第三ユニバースみたいな)になって並行して並んで時間を進んでいるとかになってしまう。矛盾だらけでのお話になりますが、学研の中学三年コースとか高1コースというティーン向けで、文庫本100ページのペラペラですから、そこは突っ込めません。

私のお話としては、同じ宇宙でタイムリープしたり、タイムトラベルしたりするのは説明に無理があるので、そもそも違うマルチバースの、似ているけれども違う人間の間で、意識(記憶)が行ったり来たりすることにしました。

それだって、未来の知識で過去を変えたりしたら、本来の世界はどこに行っちゃうの?という矛盾が出ますが、そこは突っ込まないことにします。

次に、そもそも何故第三ユニバースから第一ユニバースに何人もの人間の意識(記憶)を飛ばすのか?という理由が必要となります。だって、違う宇宙の違う人間が何をしようとどうなるの?ということ。

では、何人もの人間の意識(記憶)を飛ばさないと、何が起こるのか?ということで、それをしないと、第三ユニバースの地球の生物が大量絶滅することにしましょう、といういい加減な話の筋にしました。それなら、CERN(セルン)やカミオカンデなどで大量絶滅の原因を観測して、なんとかできそうです。

では、大量絶滅の原因をどうしようか?ということでは、お話の中のガンマ線フラッシュ、ガンマ線バーストという記憶転移を起こさせる物理現象を、ついでに大量絶滅の原因とします。

実際に、約4億4400万年前の古生代のオルドビス紀に大量絶滅が発生し、それまで繁栄していた三葉虫、腕足類、ウミリンゴ、サンゴ類、筆石、コノドントの大半が絶滅しました。当時生息していた全ての生物種の85%が絶滅したと考えられています。

その原因として、2005年、アメリカ航空宇宙局(NASA)とカンザス大学の研究者により、銀河系の近く、6000光年以内で起こった超新星爆発によるガンマ線バーストを地球が受けたことが大量絶滅の引き金となった、という説が出されています。
十分な威力のあるガンマ線バーストが地球に降り注ぐと、地球のオゾン層やバンアレン帯が根こそぎ引き剥がされて、地球の大気は裸になります。そうすると、太陽や宇宙から降り注ぐ宇宙線、電磁波が守るものもないのでそのまま地球に到達、地球生物がほとんど死滅して、もちろん人類も全滅して、大量絶滅の一丁上がりとなります。

地球生命を滅ぼし、人類を絶滅させるのですから、実験室でラベンダーの香りを嗅いで意識を失うと、地球全滅、なんていい加減にはできません。

しかし、これが結構難しい。なぜなら、ガンマ線バーストというのは、バンっと爆発したら360度均一に広がるものじゃありません。超新星の自転軸の方向にガンマ線バーストが放出されます。それも角度2度という狭い範囲で起きます。ライフルで狙い撃ちしないとうまく地球に当たりません。さらに、あまり近くだとガンマ線バーストの範囲が狭すぎて、地球にぶち当たる可能性が低くなります。あまり、遠くだと、ガンマ線バーストが減衰して(弱まって)地球全滅になりません。

去年ニュースになったペテルギウスなどでもいいんですが、地球からの距離が500~800光年で近すぎます。自転軸も地球(太陽系)に対して20度くらい傾いているので、ガンマ線バースト当たらないじゃん!ということになります。

できれば、1500~3000光年くらいの距離の超新星を爆発させたいのですが、爆発しそうな超新星がちょうどよく存在しない。しかたがないので、おおいぬ座VY星というのが地球から5000年光年ほどの距離にありますので、これでも爆発させようと。
そういったことが予想される第三ユニバースから記憶を第一ユニバースに転移された科学者が、まだ時間に余裕がある第一で地球全滅を防ぐ対策をたてて、再度、第三にその知識を持って戻り、第三の全滅を回避する、という筋書きができそうです。

ただ、抵抗勢力が必要です。それがイエスとかモーゼとかナチスとかイルミナティなどをチラッと書いた理由です。誰をラスボスにするのか、これもアイデアはあるのですが、まだ練らないと。

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