• 現代ファンタジー

大事な靴を捨てた

おばあちゃんに買ってもらった
大事な大事な靴。

川の上の橋でそれを見ながらとぼとぼ歩く。

海が近い川は、淀んで底がない。

そんな所に、大事な靴を思いっきり飛ばしてみようと思う。

このまま、えいって飛ばして

高く遠くに上がった靴は、深い底に沈んでいくんだ。

そしてきっと、ポチャンって音が鳴るまでの
数秒、

私は何てことをと後悔するんだ。

だから、後悔にのまれた弱い私は
同じく川に飛び込んで
靴も探さず諦めて
目をつぶってしまうのさ。



なんてことを考えて今日も橋を渡るわけ。

だから、いつかそんな日が来ないように
大切な日々を生きたいわけ。

自分を捨ててしまわない

人間になりたい。



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