まず本作を書こうと思ったきっかけは、小田原征伐のちに30万石の大名に成り上がりながらも、葛西大崎一揆でやらかしたせいで、僅か一月で大名の座を追われた武将がいると知ったことにあります。
5000石から30万石という大抜擢。まさに花火のような生き様です。
そんなやらかし大名、木村吉清はどうすれば一揆を回避できたのか、というのが本作の一つのテーマになっております。
惜しむらくは、同じような出世を遂げた武将に加藤清正がいることを知ったのが、一章を書き終えた後のことだったことですね。肥後国人一揆の鎮圧ののち、3000石から19万石に出世した異例の武将だったわけなので。
そう考えれば、加藤清正という前例があったため、木村吉清が30万石を任されたのも、第二の加藤清正を期待してのことだったのかもしれませんね。
コンセプト
本作を執筆するにあたり、私は「軽い歴史物」を一つのコンセプトに執筆を始めました。
喜劇的でコミカルな話になったのはこのためですね。
そのおかげで、小物で俗っぽい吉清という人物像が形成されていったのかもしれません。
結果的に木村吉清や吉清に振り回される人物、清久や義光なんかもいい感じで活躍させることができたのではないかと思っています。
完結保証
当初は一章分(当時はこれで完結させる予定だった)の書き溜めがあったので、言っておいて損はないだろう、くらいの気持ちで完結保証と銘打つに至りました。
思いのほか人気がでたことや、構想自体は秀次事件や駒姫あたりまで考えていたこともあり、まあイケるんじゃないかと、これまた軽い気持ちで続きを書き始めたことに始まります。
中盤の蒲生騒動や秀次事件、慶長の役のあたりでは常時ストックが10話近くあることもざらだったので毎日投稿に支障ありませんでしたが、後半の大坂城の戦い辺りになってくると、ストックがいくらも残されておらず、かなりシビアな中で続きを書いておりました。
秀頼の出陣から最終話までは前日に翌日投稿分を執筆していたため、なかなかハードなスケジュールで執筆することになってしまいました。
歴史物って作者の思想出がちだよね、って話
他の歴史物を覗いてみた感じでは、主人公のスタンスであったり、政策に作者の思想が見え隠れしているな、と感じることが多々あります。
既にお察ししている方もいるかと思いますが、私の前職は船乗りです。
そのため、本作には「海運なくして発展なし」という思想が随所に現れていますね。
吉清が最初に取り組んだ公共事業が港の建設だったり、木村家の発展が海運と共にあったのはそのためです。
次回作
いろいろと構想自体はあるものの、ぶっちゃけ未定です。
ハイファンにしようか、SFにしようか、エロにしようか、学園ものにしようか、また歴史物にしようか、それさえ定まっていない状態です。
ただ、仮に歴史物を書くとしたら、足利義輝の元に戦国三大梟雄である松永久秀、斎藤道三、宇喜多直家が仕官してくる話。
あるいは、姉小路頼綱が大国に翻弄されながら成り上がる話を書こうと思っています。
コンセプト的には前者の方が面白そうですが、書きやすいのは姉小路頼綱の方なので、何とも言えないところではあります。
次回作の内容を考えながら、吉清の方を番外編なりifを書いていこうかなと思います。
最後に
本作が無事に完走できたのは、これまで応援してくださった読者の皆様のおかげです。本当にありがとうございました。
本作が皆様の心に残れば幸いです。
機会がありましたら、次回作の方も応援よろしくお願いします。