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毒親を“父”や“母”と呼べる人間性(FF16ネタバレ)

 この期に及んでFF16の話題なのですが。
 主人公クライヴと、その弟ジョシュアの実母であるアナベラとの関係性についてです。
 
 ・フェニックスを宿さなかったクライヴを差別し 逆にドミナントとして生まれたジョシュアのみを溺愛
 ・国を売って滅ぼす(死んだと思われたジョシュアにも無関心)
 ・クライヴを13年にも渡り寝返った国の奴隷兵士に落とす
 ・寝返った国の教皇と子供を作り人形のように溺愛
 ・その後の侵略戦争やベアラー狩りで途方もない数の犠牲者を出す
 ・半分は過失とはいえ、我欲のための挑発行為でディオンのバハムート暴走=寝返った国が半壊する引き金となる
 ・何故、身体が逞しく育ったクライヴではなくて、病弱なジョシュアなんかにフェニックスが宿ったのだ!? 宮廷で陰口を叩かれる私の身になれ! とお門違いな怨み節を述べた末、自害
 
 と、徹頭徹尾、擁護の余地がない毒親ぶりなのですが。
(最期の言い分については、まあモデルとなった時代設定的に“ドミナント”を“男子”に置き換えると……人格の歪んだ要因ではあるのかも知れませんが。一応、クライヴの成長そのものは曲がりなりにも、上から目線ながら認めていたわけで)
 そんなアナベラを、兄弟は最後まで“母上”と呼び、クライヴに至っては、最後に対面した時も、敵意よりは諭すような口調でした。
 一度として「あの女」と呼ばわる事はありませんでした。
 少なくとも私は、クライヴのようにはなれそうにありません。
 だからこそ、この兄弟の、余人にはない心の綺麗さが際立つのかも知れません。
 人の中でモラルが破綻する時と言うのは“尤もな理由”で、自分を正当化する所から始まるのだと考えます。
 そしてその境界は実にファジーなもので「毒親を復讐の為に殺した」と言う正当化から端を発して「毒親と協力していた者達を一族郎党根絶やしにしてしまおう」となってしまう事もありましょう。
「こんな悲劇を繰り返さないように」と言うような具合に。
 
 人物の高潔さを表現するには、ここまで不自然ギリギリのラインを攻めるのも一つなのかも知れないと思いました。

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