まだ見つけたばかりで、ほんの数話しか拝読していないのですが
とても見事な作品ばかりで、力のある作者さまだと思います。
「ぐちゃぐちゃ悪魔と文字使い」
https://kakuyomu.jp/works/16817330654073681042三題噺のなかのひとつとして書かれたものですが
このお題をこう料理してくるんだ!?
文章構成力、キャラクターの魅力、
時代背景の知識の深さetc.
どれを取っても秀逸で
文句をつけるところがありません。
小品ですけれど逆にすぐ読み終えられるので
時間のない時でもさらりと読めます。
ぜひご覧になって下さい。
舞台は
千年続いた中世も終わろうと言う16世紀。
宗教改革の嵐が吹き荒れる中、
活版印刷の植字工が修行の旅ヴァルツに出ることに。
ところがこの職人、精霊眼の持ち主で
人ならざるものが普通に見える。
教会にバレたらタダでは済まない。
さーってどうやってごまかそう?
そんな一人と一匹が知恵を絞っていくお話です。
この精霊、まあ教会側からは悪魔と呼ばれているんですが
昔ながらの小精霊。
作者さまによると
※目は大きく
※三角耳が垂れていて
※猫のようで
(ここまで来てマンチカンを想った)
※毛は無い
(あれ?スフィンクスのミックスになったぞ?)
※それに人のような身体がついてる
(どうしよう、かなり可愛くないんだが)
そんなイメージで描いてみました。↓
本文によればこの小紙片。
悪魔の絵だけでモットーもなにも書いてない
はずなんですが
活字をいじり倒す悪魔が
そのまま入り込むわけがありませんね〜
と思ったので勝手ながら魔改造いたしました。
(たん たーらーららん
た たーらら たーらーら らん♬)
何と言うことでしょう!
走り書きでしかなかった殺風景な小紙片が
住まいの匠の手によって
物語のように素敵な蔵書票に生まれ変わりました。
真っ白だった紙片には
伝統的なフラクトゥーアがいっぱいに広がり
住人の小悪魔と楽しげに踊っています。
しかし楽しい住まいも泥棒に入られては堪りません。
そんな心配にも匠はしっかりと応えてくれます。
下方に刻まれた文言は
「この本を破ったものは呪われる」
これを見れば不埒な泥棒もけっして手を出そうとはしないでしょう。
セキュリティも万全です。
表札だって必要です。
所有者をはっきりと明記して
「イクス・リブリス・イェルク」と
イェルク氏の蔵書であることを示しています。
住まいを囲む窓には
所有者の職業も気遣って
本を並べて縁取りました。
これなら植字工のイェルク氏も大満足なことでしょう!
誰からも顧みられずに
永年不遇をかこっていた小悪魔も
この素晴らしい住まいを得て
これからは楽しく愉快に暮らしていけることでしょう。
(サザ○さんの声でお読みください)