深川我無先生の小説、『邪祓師の腹痛さん』の本を読み終えました。
素直な感想を一言。
買 い ま し ょ う !
オ ス ス メ で す !
読み終えて思ったのは「これがプロが書く物語か!」と痛感させられた事です。
私の妄想垂れ流しのオハナシとはレベルが違う、綿密かつ重厚に整えられた世界観や、分かりやすくかつ短く纏められている情景描写。
流し読みで読んでいてもその世界にぐぐっと引き込まれていく没入感。
そして、各キャラクターが実にしっかりと人間していて、それぞれの個性や性格が実に鮮やかに、そして生き生きと描かれている事です。
「物語の為にキャラが要るんじゃない、キャラがそれぞれの個性を発揮して動いたら物語になる」という基本をしっかりと押さえ、かつ物語が明後日の方向にブレずにしっかりと本筋を進めていく……ただただ見事です。
一例として主人公の卜部さんと助手のかなめさんとのやり取り。
一流の邪祓師である卜部と、まだまだ「普通」が色濃く残るかなめさんが同時に怪異に遭遇しても、ふたりの思考のベクトルはなかなか同じ方向を向かないんです。
除霊だけを真っすぐに見つめている卜部さんに対して、かなめさんは恋愛感情や同情心、そして普通らしい恐怖なんかをミックスして、わりと物語を進める上でのブレーキになったりしてる、でもそれが話に現実味や彩りを加えているのがまた見事なんです。
怖い話や虫が苦手な方にはちょっと向かないかもしれませんが、大変面白いのみならず、いい小説を書くためのヒントがもう随所に転がっていて最高でした。
カサカサカサカサ傘……大爆笑でしたしw
一か所だけ更生ミス見つけました。私も小説を書いててよくやるパターンなんで「あるあるある」って苦笑いしちゃいましたw
書籍化を目指している作家さんには本当にお勧めですよ!
深川我無先生、良い作品をありがとうございました。