• 現代ドラマ
  • SF

『INTERFACE』を読もう! ~「国民会議」について~

カクヨム読者の皆様、こんにちは。伊豆可未名です。

徐々に星をつけていただいたり、フォローしていただいたりしておりまして、本当に皆様ありがとうございます。
他の皆様の作品に触発されて新しく書きたくなったものなどもありますので、ちょくちょく更新していきます、
一緒に頑張っていきましょう!

さて、今回で、ひとまず『INTERFACE』についての解説は終わりになります。
最後に紹介いたしますのは、このくっそ長い作品の中で最も各話の文字数が多い「国民会議」の章についてです。

●「国民会議」を開く理由
「統治コンピュータ」開発者の孫カン・レイは、戦争が始まった原因を知り、祖国民にそれを知らせる前に「Our Majesty」の中でも特に国の事情に詳しい人を集めて、今後どうするかを話し合ってもらおうとします。
というのも、戦争の原因が国の立て直し(更新)だったからです。
いくら開発者の孫とはいえ、移民したレイは国の重大な決定を勝手にすることができません。
「統治コンピュータ」があるのに国民が会議を開くということ自体、祖国民にとっては意味不明なことに思われましたが、集められた有識者達は事実を知り、本気の議論をします。

●現状維持か更新賛成か
《現状維持派》
現状のまま国家元首を「統治コンピュータ」として、指示に従っていきていくのが現状維持派の意見です。
この意見に賛成するのは「Our Majesty」で相当な地位にある人達です。
自分達の足場が崩れることを恐れ、また自分達の能力を評価した「統治コンピュータ」を信頼しています。

・ハルク・アダム・リンガーバーグ
「統治コンピュータ」研究者の権威の一人。自分の地位を誇りに思い、人を見下すタイプ。

・ヴィナ・ガイスト
駐大北京大使。大北京の統治を否定し、「統治コンピュータ」こそが幸福をもたらすと思っている。

・クルド・ダルクムター
駐アリトシ大使。波風立たなければ何でもいいですって言う割にちゃんと自分の意見を持ってる。

・マルティン・フルシュ
駐2L大使。2Lの惨状を間近で見てきたため、人の善悪について深く考えてるらしい。

ハヌル・コ
「統治コンピュータ」を廃棄することは運命共同主義も「建国神話」も棄てるということと同じだと感じ、それには反対したいと思っている。

《更新賛成派》
「統治コンピュータ」を廃棄して新しい政治体制を築くのか(完全撤廃)、あるいは折衷案として「統治コンピュータ」のプログラムから戦争を肯定しそうな部分を排除して国家元首のままにしておくか、の二択を提示します。
「統治コンピュータ」に対する疑いの強さに差があり、人によって意見が異なります。

・テセウス・ストルゲ
「統治コンピュータ」研究者の弟子だったアリアドネが突き止めた「統治コンピュータ」の謎を解明し、アリアドネの死の償いをしたいと思っている。
同時に、「統治コンピュータ」開発者カン・シュウと若い頃に一緒に仕事をし、信頼もしていたので、シュウが「更新」というプログラムを組み込んだのならそれに従いたいとも思っている。

・ウェイビー・ホーネット
内政調査局の局長で祖国民の生活実態を最もよく知っている。
戦争で死んだ若い人達のことを思って「統治コンピュータ」が戦争をしていることに疑問を感じているが、「統治コンピュータ」なしでの生活は考えられないほど依存しているのも自覚している。

・ヒラリー・チューマッハ
精神科医で帰還兵のPTSD患者の治療を専門に行っている。もし、よりよい統治の仕方があるならそちらに変える勇気も必要だと主張する。

・アンサ・グラナーダ
第二章では戦争歌姫として戦争のキャンペーンガールをやっていたが、大北京のゲリラに捉えられ、大北京の現状を知り、反戦論者になる。
アンサだけは「統治コンピュータ」を完全撤廃して、戦争をしない平和な国にしていくべきだと断言する。

●結末
議論の途中で、「統治コンピュータ」がこの戦争をどう終わらせようと考えているのかを予測し、それを知ったうえで決めてもいいのではないかということになります。
祖父から直々に「統治コンピュータ」のプログラミングを教わったレイが「更新」プログラムを解析し、今後の戦略を予想しました。
ですが、そのせいで会議はさらに混戦し、意見を変える人や、新しい意見を出す人も出てきます。
そんな時、研究者の一人が情勢に関わるあるニュースを会議室に伝えに来ます。

さて、この戦争はどうなり、「Our Majesty」はどうなっていくのでしょうか?
それは読んでのお楽しみです。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する