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〈乱世に吠えし災厄よ〉徹底・深掘り! 第1弾①

 こんにちは、未翔完です。
 今回からサポーター限定公開で、拙作〈乱世に吠えし災厄よ〉に関する深掘り記事を投稿していきたいと思います。本編を読んでいるだけでは分からない〈らんさい〉の裏設定や執筆に至るまでの経緯などなど、この記事限定公開の㊙情報が盛り沢山! ぜひ宜しくお願いします! なお初回となるこの記事はサポーターでなくても見ることができます。

 さて、第1弾となる今回のテーマはズバリ〈ルミエルド大陸の諸国家〉です。〈らんさい〉の舞台となる中世ヨーロッパ風の大陸ルミエルドには、五つの主要な国家が存在します。実は〈第1巻 諸設定〉というエピソードで諸国家の大まかなモデルについてまとめているのですが、今回は概略的な紹介のみならず更に踏み込んだ裏設定まで、まさに徹底・深掘りしていきたいと思います。また、最後に紹介する国家については、この記事を投稿した時点で本編にまだ登場していないため、特に耳寄りな情報です! なお五勢力全てを紹介するとかなり長くなるので、第1弾の記事自体を三つに分けて、この①では一つの勢力に絞って紹介したいと思います。ぜひ最後まで目を通していただければ幸いです!

 まず最初に紹介するのは、大陸中央に存在する〈グリューネヴルム朝アルザーク帝国〉。添付している大陸地図を参照してもらえれば分かりますが、中央の〈Arsarg Kaiserreich〉とドイツ語で書かれているのが帝国です。
 この地図も再三Twitterなどで宣伝する際に添付しているのですが、イマイチ地図の見方が分からないということがあると思います。ひと際大きな白文字は国・勢力名、次に大きな白文字は国・勢力より規模が小さい地域名や山脈名、一番小さな白文字は都市名を表しています。河川を青線で、そしていちおう国境線と呼べるものは点線で表しています。一応、というのは中世ヨーロッパにおいては国境線という概念がまだ無かったからです。この話を詳しくすると長くなるので省きますが、中世ヨーロッパにおける国王や皇帝は他の貴族たち(諸侯)が持つ領土を保護・防衛する代わりに彼らに忠誠を誓わせるという(いわゆる)封建制の下で諸侯を統制していました。しかしこれは単なる契約に過ぎないので、他の君主からより良い条件を提示されればそっちに乗り換えることも可能なわけです。そんな状況では、現在のような確定した国境線なんてものは存在しません。しかしそれだと分かりにくいので、便宜的に点線で国境線的なものを示しているわけです。余計な説明が長くなりましたが、閑話休題。
 第1巻(第1~13話)では大体のエピソードがこの帝国、もっと言うと主人公ディアークが住む〈帝都〉グラーフェンヴェルグを舞台として展開されることになります。〈第1巻 諸設定〉にも書かれている通り、モデルは神聖ローマ帝国。グラーフェンヴェルグは、歴代の神聖ローマ皇帝が最も愛した南ドイツの都市ニュルンベルクから着想を得た都市です。グラーフェンヴェルグという名前も、ニュルンベルク城を成す二つの城砦の片割れ・ブルクグラーフェンブルク(『城伯の城』の意)をもじったものです。
 そして帝国は、金髪碧眼のグリューネヴルム帝室、その長たるアルザーク皇帝が治める覇権国家です。第1章開始時点ではディアークの父エルンストが皇帝であり、その長子ジギスムントが皇太子の地位にあります。アルザーク皇帝は代々受け継がれてきたレガリア〈帝冠〉を用いて、精強な魔導士隊を独占的に有する三つの魔導伯爵家を従属させ、更にその魔導士たちを手駒とすることで他の諸侯の離反を抑えています。これによって、現実の神聖ローマ帝国のような諸侯(後の領邦国家)による分裂傾向を回避しているわけです。このことが、帝国を覇権国家たらしめている一番の要因です。何故なら、他の大陸の諸国家はそうではないから。(いわゆる)封建制の下で、近世の絶対王政のような君主権力の振るい方はできないわけです。それに対して〈帝冠〉は不完全ながらも皇帝権力の集中を可能にさせる、帝国にとって不可欠の代物なのです。その詳しい話は本編にて。
 さて、現状に目を移すと、現皇帝のエルンストは諸外国(特に聖王国)との戦争をなるべく避けつつ更なる経済的発展を達成したことから〈賢帝〉と呼ばれ、民衆から慕われています。具体的には帝都を結節点とした大陸縦断貿易を推進し、エリアーノ都市同盟―アルザーク帝国という南北交易路を更に強固なものとしたわけです。また、皇帝権力を保証する帝国法の整備も行いました。これらの諸策により、帝国は大陸一の繁栄と安寧を享受しているのです。……しかし、その一方で〈災厄の皇子〉という小さな影、その周囲で見え隠れする大いなる陰謀の数々も存在しているのです。繁栄という光が大きければ大きいほど、映る影もまた大きいわけです。そのあたりの事情は本編が進むにつれて、どんどん明らかになるところです。乞うご期待。

 それでは、今回の記事はここまで。次回は帝国の東西に存在する二つの勢力を紹介したいと思います。お楽しみに! 
 なお次回からはサポーター限定公開となりますのでご了承ください。最後に、本編リンクを貼っておきます。
 https://kakuyomu.jp/works/1177354054890600863

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