ささやきの彼方

笹本祐一『ARIEL』にも長崎の原子爆弾を扱ったエピソードがありますが、残虐な大量殺戮兵器の被害を切なく描き出せるのは、日本人ならではの感性でしょう。
井上ひさしのように死者の声を代弁しながら、井伏鱒二のような屈託のない悲しみが語られています。

読みながら、泣きそうになりました。涙が止まったのは、実験のページを読んだ時です。あり得るのかなと思いましたが。人はどういう形でも、聞きたくなるのでしょう。主人公が取った行動は、最良でした。
企画に参加してくださり、読ませていただき、ありがとうございました(^.^)(-.-)(__)

あの原爆という、世界的に見ても二つとない惨劇から、こういう形で物語が着地するとは夢にも思いませんでした。

さすがプロであるという、おこがましい感想をお許しください。

果たして、記録されたのはお母様の声だけだったのか、魂の行く末とは…という想像が搔き立てられて仕方ありません。

大変素晴らしいお話でした、ありがとうございます。

作者さんはプロとして書いていらしたようなので当然ですが、自分には何をしても絶対書けないような作品で、打ちのめされそうになりました。

カテゴリとしては「SF」ですが、僕にとっては「歴史」でもあり「ホラー」でもあるように感じます。

一番最後の展開と強い「切なさ」が、本当に好きです。
3話だけなのに大長編のような満足感の作品でした。

文系的なものと理系的なものが手を取り合ったこの作品は全ての面において、とんでもなくレベルが高いと思った。
文系の持つ、語る力やストーリーの構成力だけでは成し得ない、物語の重厚感。それを支えるのは豊富な理系の知識である。
さらに歴史や現代社会的な要素も入り交じり、話は混沌を極める……かと思いきや、ここで作者様の文章力が猛威を震う。全てをまとめあげる圧倒的な文章と構成。とても読み易く、内容も素晴らしい。

本編の内容をあえて書くことはしない。とにかく、皆が読むべきだと確信した。素晴らしい作品をありがとうございます。

簡単に説明すると：「ファウストのSF版」。
地上から失われた想いを、科学という名の悪魔と契約して取り戻す。しかし死者を蘇らせることなど可能なのか？　取り返しがつかなくなる前に出来るのは――—。

ここからは感想です。
たった八千文字なのに、一本の短編映画を視聴したような内容でした。科学とオカルトを合体させた設定も面白く、良性の人間性を取り戻すエンディングは、まさにSFジャンルに相応しかったです。

表現と演出の仕方も上手いです。第一話で描かれた核爆発は最初、なんだろう？と思いましたが、後の説明によってキノコ曇だと明かされたときは、一気に現代へ戻されたかのようでした。

90年代の短編小説です…続きを読む