突入④

 控え室の扉を蹴り破り、血みどろの信者を手から離して煙草を咥える。

 一匹だけ死なない程度に電撃と殴打でなぶった後、師人達の場所を聞き出した播磨は、一服を済ませたのちに地下へと進んだ。と同時期、師人と相良は化け物達から追われ続ける逃亡劇を繰り広げていた。


「おまっ、なんちゅーもん連れて来てんねん!」

「うるせぇ!! 俺が好きで追われてると思うか!? てかなんでお前がここにいんだよ!?」


 進む道をそれぞれ二手に分かれ幾つかの分岐を通り、また合流する。後ろを振り向くと変わらず追撃してくる魑魅魍魎ちみもうりょう


「はぁ~こんだけモテモテなんに贅沢なやっちゃなぁ。あーアレか? 追われるより追いたい派か?」

「バーカ、不特定多数に好かれても意味ねぇよ。薄っぺらいもんが多くても、ただ虚しいだけだ」


 二人は示し合わしたように振り返って歯を見せる。反撃、やられっぱなしでは格好がつかない。と足を止めた。

「ええなぁその答え! 気に入った!」

「お前は質問に答えてないけど、な!!」


 相良は空気の振動による"衝撃波しょうげきは"、師人は天体術による"神薙かんなぎ"を最高火力で即座に放った。

 が怪物達は死に絶えた仲間ごと呑み込み、歩みを止めた二人に変わらぬ勢いで迫る。


 その様子を見て、二人はまた全力でダッシュを始めた。

「元はと言えばお前が連れてきたんやからお前が責任取れや!」と横で並走している相良は、師人に対して横薙ぎを繰り出すも避けられる。


「お前こそ非番のくせに任務に参加してんじゃねぇよ! 罰としてお前が餌になれ!!」と黒霧カルトで相良の身体を拘束し、師人は後ろに投げた。


「アホ! ワイがこんなんでやられるかい!!」

 背中から衝撃を放ち、拘束を破壊する相良。態勢を立て直して更に走る。


「「うおおおおおおおおお!!!」」

 二人が道なりに進んだ先、昇降機の姿が見えた。地上に戻るための活路だ。上にあがってしまえば化け物達も追ってくることは出来ない。


 そして「しめた! アレに乗るで!!」と相良が叫んだ次の瞬間、昇降機の扉が開き、播磨隆二が現れた。

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特異天 南雲ぜんいち @nagumozenichi

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