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じっくり読みこんだ本音感想を書く企画2023【11】〜【15】

【先着30名】じっくり読みこんだ本音感想を書く企画2023
https://kakuyomu.jp/user_events/16817330661249013634

企画専用の近況ノートです。
梶野の感想はこちらに投下します。
感想への質問・返信は以下のノートにお願いします。

じっくり本音感想企画2023 感想用返信ノート
https://kakuyomu.jp/users/kamemushi_kazino/news/16817330661350519496

参加作品:
【11】この気持ち、解は無し。(裕貴)
https://kakuyomu.jp/works/16817139556720267126
【12】高校生活3ヶ月目、気づいたらリュックの中に美少女のおパンツが入っていました。(無名の猫)
https://kakuyomu.jp/works/16817330660998396866
【13】コックロビンよ、さようなら。(小鹿)
https://kakuyomu.jp/works/16817330648772750884
【14】この雨がまだ続けばいいのに(白黒灰色)
https://kakuyomu.jp/works/16816927863034710745
【15】天使と男と女と悪魔(小豆沢さくた)
https://kakuyomu.jp/works/16817330661982192119

以下、企画説明。

初めまして、梶野カメムシです。
普段は長編バトル小説やショートショートを書いております。
小説より漫画の方をよく読んでいます。少年少女関係なく大好きです。
梶野は、感想で本音しか言えない病気です。
オブラートくらいは使いますが、お世辞や追従は言えません。

良い点は良い、悪い点は悪い。
あくまで個人視点の感想であり批評ですが、絶賛以外聞きたくないという作者さんも多いようで、「辛口OK」っぽい作者さんや企画でのみ、感想を言うようにしてきました(もしくは絶賛作品)。

「いっそ自分で作った方が早いか」 
そう考えて去年に「じっくり読みこんだ本音感想を書く企画」を開催し、これが第二回です。
この企画の趣旨は「梶野が参加作品の感想をひたすら書く」です。読み合いではありません。

参加条件:
・先着30名。
 感想を書き終えた時点で終了します。 
 1〜2日で一作の感想を書き、二ヶ月以内に終わります。
・下記の「参加方法」への回答をもって、参加確定となります。
※回答は必須なので、ご注意を。
・一万字以内の短編のみ。短い方が熟読できます。
・関連のない複数作品は不可。
・ジャンル不問。作者の好みの傾向はプロフ参考。 
 よく知らないジャンルは前置きの上、わからないなりの感想を書きます。
・辛口でも泣かない。
 質問、反論は近況ノートにて受け付けます。誤解があれば訂正もします。
 それでも納得できない場合は「所詮一個人の感想」と割り切ってください。

ご注意:
・前回はこんな感じでした。
https://kakuyomu.jp/users/kamemushi_kazino/news/16817330647890943183
・梶野の趣味や傾向が気になる方は、プロフや「小説雑話」をご確認ください。
 いわゆるラノベより、やや一般小説よりです。
・テンプレ的な異世界転生やなろう系は、ほとんど読まないのであしからず。
 それでも読んでもらいたいという野心作なら歓迎です。覚悟してください。
・純文学も専門外なので期待しない方がよいです。
 「お上手だけど面白くはない」とか平気でいうので、それでもよければ。
・星やレビューはお約束しません。内容次第です。
・その他、質問などがあれば、以下の近況ノートまで。
・感想は専用の近況ノートに投下する形式です。
 希望があれば、応援コメントへの感想転載、リンク対応もします。

参加不可:
前回参加者で、完全無反応だった人。

参加方法:
下記ノートにて以下の質問にお答えください。感想は受付順になります。
※回答は必須です。
※登録のみで回答がない場合、三日後にキャンセルとして削除します。

・特に意見が聞きたい部分。
・「梶野ならこう書く」アドバイスは必要か否か。
・創作論「カメムシの小説雑話」への転載希望か否か。

じっくり読みこんだ本音感想を書く企画2023 参加・質問・返信用
https://kakuyomu.jp/users/kamemushi_kazino/news/16817330661246499480
カメムシの小説雑話
https://kakuyomu.jp/works/16817330654869504941

感想は以下のノートに投稿します。
【01】〜【05】
https://kakuyomu.jp/users/kamemushi_kazino/news/16817330661247799553

前回からの変更点:
・前回は一日一感想でしたが、大変過ぎたので今回は余裕持たせてます。
 調子よければガンガン書きます。
・前回は「私ならこうする」を提案するスタイルでしたが、今回は原則なしとします。
 自分で考えたい方もいるでしょうし、時間もかかるので。
 改善案を希望される方は、感想着手までに企画用ノートでお伝え下さい。
・作品感想は、私の創作論「カメムシの小説雑話」にて転載したいと思います。
 ささやかですが宣伝になりますし、私以外の感想ももらえるかもしれません。
・「小説雑話」には私なりの「感想の書き方、読み方」もまとめてあります。
 参加前に参考にしていただければ。

感想の書き方
https://kakuyomu.jp/works/16817330654869504941/episodes/16817330655389634198
感想の読み方
https://kakuyomu.jp/works/16817330654869504941/episodes/16817330655435222712

それでは、よろしくお願いします。

11件のコメント

  • 【11】この気持ち、解は無し。(裕貴)
    https://kakuyomu.jp/works/16817139556720267126

    台風すごかったですねえ。皆さん大丈夫でしたか?
    強制祝日になって、のんびり寝てた梶野です。
    頭もすっきりしたところで、じっくり感想再開したいと思います。

    十一回目は、裕貴さんの作品、「この気持ち、解は無し。」。
    裕貴さんは、前回も参加されてますね。
    前回は高校生でしたが、もう卒業されてるはず。
    どれくらい成長されてるか、楽しみではあります。

    作品は前回と同じ、ラブコメ路線ですね。
    前作は文章はかなり無茶苦茶ですが、いかにも高校生らしい乗りの恋愛もので、突っ込みどころは多かったものの、独特のノリと面白さは感じられましたっけ。

    文字数は11,074文字。若干オーバー気味。

    裕貴さん、実は一番に企画参加されてるんですが。その時点では作品が完結していなくて、終わり次第登録という形だったんです。
    その際、一万字を超えていたので、出来るだけ文字数を減らすよう、課題としてお願いしたんですが……ダイエットが足りなかったようでw 
    まあよいですが。大事なのは中身ですから。

    おっと、アンケート回答を見ておきましょう。


    ・特に意見が聞きたい部分。
    全然ないです!お任せします!

    ・「梶野ならこう書く」アドバイスは必要か否か。
    できたら欲しいです!


    ──ふむ。普通ですね。
    果たして今回はオブラートを切らさずに済むものか。
    あと、文字数をこれ以上減らせなかったかもチェックしておきますか。

    それではじっくり感想、始めたいと思います。


    ⬜️読みながら感想
    二読後の感想を、読みながら書きます。


    >第1話

    >横にいる君に手を伸ばして掴みたい。
    >そうしないとどこかに行ってしまいそう。
    >何故かそう感じる哀しい横顔で、そうつぶやいた。

    三行とも主語がなく、不安定な文章。
    前二行を自分が主語と仮定して読んでいくと、三行目の「そうつぶやいた」は主語が自分ではなく「君」なので混乱します。悪文です。
    内容的にも、何処かふわふわして、主張がようわかりません。

    「何故かそう感じる哀しい横顔で、君がつぶやいた。」

    >「分かるよ!私の事好きになるの。可愛い、優しい、悪い所なし。うん、優良物件すぎる。
    >あー、罪な女だよ。
    >でも、私はみんなのアイドルだからね!」

    話が唐突過ぎて、この話が元からギャグなのか、意図してギャグっぽく振舞っているキャラなのか、判別がつきません。
    故に、1ページ使ってるのに、キャラ紹介になっていません。
    わざわざ文字数を割くなら、キャラ紹介の目的を考えましょう。

    >そう言って、ウインクをしている君は夕日に照らされて本当に綺麗だった。

    ウインクは瞬間なので、現在進行形は変です。
    「ウインクをする君は」


    >第2話

    >ただ、それだけだった。
    説明不足で、何がそれだけなのかわかりません。
    「最初の印象は」などの追加が必要です。

    >それなのに、、、
    別に文法ルールを完全に守れとまでは言いませんが、「、、、」はやめましょう。小学生ぽいです。
    多分これ、去年も指摘したはずですw

    >「まさぶです。」
    >「間違えた!ごめんねー」
    どういうルールかわかりませんが、片方だけ句点(。)を抜いてるのは謎。つけるかつけないかどっちかです。

    >クラス替えの後の座席は出席番号順だ。
    >だから、出席番号が1番の彼女と7番の僕は隣になる。

    すでに「隣の席に座る。」と書いてあるので、この説明はいりません。

    >一ノ瀬さんに学校の事、色々教えなさい。」
    「教えてあげなさい」の方が自然かなあ。

    >そうして、僕は彼女に色々教える羽目になった訳だ。
    そのまま繰り返すのは芸がありません。
    「そうして、僕は彼女の案内人になったのだ。」

    >始業式、実力テストを終えて、通常授業の日々がやってきた。

    あれっ、案内する話になるかと思ったら、けっこう過ぎてる!?

    >女子と話す機会はたまにしかなかったはずなのに僕はほとんど一ノ瀬さんと喋っていて、新しいクラスで友達を作り損ねた。

    悪文ですね。
    おそらく、「一年の頃は女子と話す機会がなかった」といいたいんでしょうが、舌足らずすぎてそう読めません。

    「それまで女子と無縁だった僕は、一ノ瀬さんとばかり話したせいで、逆に男友達を作り損ねていた。」くらいか。

    >でも、去年仲の良かった友達、佐藤翔輝、繁田幸大とは今年も一緒だからぼっちではない。良かった。
    >佐藤と繁田は1年の時から仲が良い数少ない僕の友達だ。

    同じ説明を、何故繰り返すんです。

    >「まさぶ、一ノ瀬さんといい感じ。」

    ひらがなで書くと、ありそうでない絶妙な個性ですね。
    覚えやすくて、わりといい気がします。

    >こーだいにからかわれ、隣の席になりたがるしょうき。

    こう書くと、こーだいがしょうきをからかってるようです。

    >3日しかなってないからね!」

    「経ってない」ですね。
    あ、三日なんですね。案外過ぎてなかった。

    >そうして、一ノ瀬さんが自分の席に帰ってきて、佐藤、こーだいが帰っていく。

    佐藤かしょーきか、呼び方は統一した方がわかりやすいですね。
    私なら、覚えやすい意味でしょーき呼びにしますが、それならこーだいは幸大で固定します。
    ひらがなばかりだと文章が間延びしてしまうので。

    >そうして、僕は登校する前にローソンで買ったおにぎりにかぶりつく。

    昼休みの間、何してたんだ。

    >「「ぐぬぬー」
    」が抜けています。

    >「ねー、あたしもこんな喧嘩初めて。面白い。」

    あまり面白いやりとりとも思いませんが、高校生らしいといえば、らしいかなあ。

    >第3話

    >「今度、遊園地に行くぞ。」
    この言い方だと、誘ってくれてるのか微妙かも。

    >「だろっ。
    >だって、有村里帆、河井もな、矢田真冬と行くんだもんな!」

    誰ですかい。
    いきなり話が見えなくなってきた。

    >「言葉はわかってるよ!!!なんで急にって事だよ!」

    私は言葉もわかってないですが。誰だよ。

    >「有村グループに一ノ瀬さんが入っただろ?それで、みんなで遊びにいこー!
    >ってなって、せっかくだしぃ男子も誘ちゃうーってなって。やっぱり男子だったら翔輝くんが良いよねーってなったみたいなんだよー」

    ああ、ここでやっと理解。
    まあここは、これくらいのテンポでもいいですかね。
    女の子の名前、まだ理解してませんが。

    >キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン

    去年も言ったはずですが、頭悪いと思われるのでやめなさい。

    >そう言って、ウインクをしてピースをして自分と席にもどるしょうき。

    正直、この時点でも友人二人が同じ顔同じ性格のモブにしか見えてません。
    私ならしょーきが女の子に指名されてるのを受けてちょいモテキャラとして扱い、こーだいが「オレはおまけかよ」みたいな感じで違いを印象付ける感じに持っていくと思います。

    >「木川くん、日曜日遊園地楽しみだねー!
    >転校したてで、こんな早くに友達できるって思わなかったなー」

    ここは「遊園地の話、もう聞いた?」から会話に入った方が自然。

    >第4話

    >遊具のシーン
    圧倒的に手抜き感漂うのですが、話のテンポ的には、まあ、そんなに悪くもない気も……まあいいでしょう。
    私なら絶対やらないですが。

    >「いや、ゴーカートは無いだろ!」
    >「恥ずかしー!」
    なんでや、ゴーカートおもろいやろ!

    >他の人たちも肯定的だ。

    ここは「女性陣」とかの方が。
    多分、男は賛成してない。

    >「占いなんて信じない。バーナム効果。誰にでも当てはまるような曖昧・一般的な記述を、自分にだけ当てはまると思い込んでしまう心理的現象。別名、フォアラー効果。」

    こーだいのキャラが見えて来て面白い。
    真面目キャラなんですね。


    >第5話

    >全部、黒いカーテンで覆われている。
    全部って。「壁が全部」くらいで。

    >所々、ポツッポツッと小さな豆球があるだけ。

    文化祭のセットじゃないんだから、もっとしっかり設定を。

    >占い師さんの声が出て聞こえて
    誤字。
    「占い師さんの声に呼ばれて」くらいが順当。

    >うわーこえーって言ってるし、ちょっと緊張してそうだった。

    ここのしょーきの反応で「緊張してそう」は変。
    主人公の話なら、「ちょっと緊張してきた」が正解。

    >中も薄暗く、そこには若い女の人がいた。
    もう少し描写を。
    主人公が呼ばれて入るシーン、占い師の簡単な外見くらいは欲しいところ。

    >そしたら、いきなりだよ!
    ふむふむ。ここで今回の冒頭に繋がるわけですね。
    なかなか効果的で、面白い見せ方だと思いますよ。
    わかりやすいですし、私も真似てみたくなりました。

    >「あんた、もし好きな人ができたら不幸になるよ。

    えらい曖昧かつ適当な占いですが、せめて何か対策とかないもんですかねえ。この石を買えば運が良くなるとかw

    >初めての占いで好きな人ができた不幸になると言われる。

    できた「ら」不幸に

    >「ギャハハー、まさぶ好きな人できたら不幸か〜!
    オモロ過ぎるだろ!」
    >「ドンマイ。」

    ここら辺、二人の顔が見えてくるようになったのはいい感じ。

    >「そうねぇ、このブレスレットを買いなさい。
    お、やはりそう来ますかw

    >「まあ、良いわ。また、困った時はいつでも来なさい。お金さえ払ってくれればいつでも見てあげるわよ。」

    ここの占い師とのやりとりは、三人のキャラと占い師全員の動きが自然で、とてもいいと思います。幸大のポイント高い。

    >だけど、占ってもらってからは、わざと明るく振る舞ってる気がする。テストの点がめっちゃ悪かったけど他の人には知られたくなくて普通だったって言ってる感じ。なんでか分からないけどそう感じる。

    やや長いですが、わかりやすい気持ちの説明でよし。

    >それだけ言って、前の有村さんに声をかける一ノ瀬さん。

    ここは説明感出すぎ。
    「それだけ言って、有村さんと話し始める。」

    前に台詞があるので、ここは主語を省いても大丈夫。
    前とかの情報もいりません。大事なのは一ノ瀬が話を切ったことです。

    >それと悲しそうな顔も。
    ここはいらないかと。
    一ノ瀬は気持ちを悟られないよう顔を作ってるところです。
    「強張った気がする」だけで十分です。意味は伝わります。

    >そして、僕も帰ることにする。
    ここもいらないです。台詞で十分。

    >だけど、僕はただいつもとは違って元気が無さそうだけど無理にいつも通りを振る舞う彼女を一人で帰したくないと強く思った。

    意味はわかりますが、長いです。
    「だけど、僕は一ノ瀬さんを放っておけなかった。無理にいつも通りに振る舞う彼女を一人で帰したくないと強く思った。」
    と、二行に分けた方がいいですね。

    >帰り道、電車は空いてる訳でもなく、混んでも無い中途半端でポツポツと空いてる席があるだけ。こんな夕方前くらいに遊園地から帰る人なんて誰もいないし当然だろう。最寄りから乗るのは二人だけで、立って今日一日の楽しかった事を話す。

    ぶっちゃけ、ここの電車の混雑具合は不要です。意味もよくわかりませんし。家族連れとかは、夕方から帰る客の方が多いくらいですし。
    最寄り駅というのもよくわかりません。遊園地の?
    あまり説明をせず、最低限で済ませた方がいいです。

    むしろここで必要な情報は、帰り道で遊園地の話をしている際、どちらも占いのことについては触れないことではないかと。そうでしょう?


    >第6話

    >ここで降りる人は僕たち以外にいなかった。暗くて汚いホーム。
    >無言で2人で歩く。階段をのぼり息が少し上がり、先を歩く彼女から離れていく。彼女は何も言わず僕を待つ。階段を上りきったと思ったら今度は急な登る坂道。

    状況説明があるのはよいですが、肝心の「改札」が抜けています。
    このままだと、駅の構内に坂道があるように読めます。
    駅の外なのか中なのかの説明は絶対に必要です。

    >音は風と木の動く音だけ。
    「音」が被っています。
    あと、木の動く音だと怪談です。

    「聞こえるのは風と葉擦れの音だけ。」

    >空は赤くなり始める。
    この前に西日が目に入って痛いとあるので、この表現はおかしいです。

    >その時、視界が澄み渡る。辺り一面の赤い空。やがて、オレンジになり、太陽は最後の力を見せる。まだ、真っ暗にはさせないぞというかのように紫に。そして、黒。
    >初めて見た。夕日の空はこんなにも数多の顔をみせてくれるのか。

    表現力はまだまだですが、言いたいことは伝わりますし、がんばっているのが感じられます。この調子で挑戦を続けてください。
    あえて「私なら」は書きません。

    >「私の事を好きになったら、私はみんなの記憶から消えます。
    >私の事、好きになっちゃダメだよ。だって、不幸にしちゃうから…」

    予想外の方向から弾が飛んできた!
    ううん? 
    みんなの記憶から消えるの?
    つまり、主人公以外の誰でも一ノ瀬を好きになったら、みんな巻き込まれて記憶がなくなると?

    >横にいる君に手を伸ばして掴みたい。
    ここで物語の冒頭の場面、と。
    うん、来るとは思ってましたが、やはり効果的ですね。
    発言が衝撃的すぎるのと、主人公の対応がイマイチだったので、効果が薄れましたが、ここを上手いこと直せば、抜群の演出になると思います。

    >あー、罪な女だよ。
    >でも、私はみんなのアイドルだからね!」

    あと、台詞のここの部分は、これまで読んでても「一ノ瀬、こんなキャラだっけ?」ってなります。一ノ瀬たいして話してないしなあ。ぶっちゃけ男友達の方が印象強いです。ここは要修正。

    >そう言って、ウインクをしている君は夕日に照らされて本当に綺麗だった。

    いやいやいや!
    そこをこともなく済ますには、もうちょっとやりとりが必要でしょ。
    主人公に突っ込ませ、それを一ノ瀬が笑って流し、それ以上は教えてくれなかった、くらいは描写すべきです。読者も気になる部分でしょうから、主人公にもうちょい頑張らせましょう。

    >それから、僕たちは良い友達だった。
    >夏休みも体育大会も文化祭もずっと僕たちは良い友達だった。

    びゅんびゅん時間過ぎるな!
    まあ狙いはわかるし、間違ってもないと思います。
    この前の夕日のやりとりを、上手くまとめられていたなら、ですが。

    >そして、僕はこの気持ちの答えを知ってしまった。

    この引きはいいと思いますよ。
    次を読みたくなります。

  • >第7話

    >ピピピッ。毎朝聞く嫌な目覚ましの音。
    これくらいの擬音の使い方が上品ですね。。

    あと、この回からいきなり文頭一マス下げなんですが。
    どうせやるなら、最初から全部統一して下げるべきです。

    >だけど、最近はこの音も嫌じゃなかった気がする。今までは聞くだけでまた朝か、学校か行きたくないなって思っていたのに。

    ううん?
    何が言いたいのか、よくわかりません。
    今は「嫌な音」。最近は「嫌じゃなかった」。今までは「嫌」。
    ああ、今までじゃなくて、「その前は」って言いたいんですかね?

    ここは記憶が消されてるヒントになってるので、しっかり意図が伝わるように書く必要があります。
    私なら
    「」

    > ただ、胸がずきっと痛んで重い。とくとく鼓動も早い
    >。

    読点がありえないところに。

    >食べる気が湧かないが、齧った食パンを戻す訳にもいかず口に詰め込む。

    この前に「牛乳と一緒に流し込む」って書いてあるので矛盾してます。

    >朝起きてまず目に入った2枚の遊園地のチケット。確かに昨日買った。だけど、何でこんな物買ったんだろう。

    ははあ。好きになったので記憶が消されたと。
    「告白したら」かと思ったら、恋心でスイッチ入るんですか。
    かなりきっつい条件ですねえ。
    ブレスレットも役に立ってないですしw

    でも、ここのシリアスの入り具合は、悪くないと思いますよ。
    十分、面白く読めています。
    ただし、あちこし文頭一マス下げを忘れてるのはマイナス。
    全部チェックしてください。

    > 胸が重く何か渦巻いてる変な感じを抱えながら登校し、
    ここは描写を重ねすぎ。
    インパクトを残しながら、シンプルに仕上げましょう。
    「重く渦巻く何かを胸に抱えながら登校し」

    >いつもの日課のしょーきとこーすけと
    こーだい!こーだい!

    > 言葉では伝えられないほど悲しそうな顔。

    ここは主語が必要。「知らない女の子」でいいので。

    あと、ここの表情の解釈は不十分だと思います。
    一ノ瀬はこうなることを覚悟していました。
    そして周囲を傷つけないよう、感情を隠す子だったはずです。
    なので、ここの表情は、遊園地の時の「何かを我慢した笑顔」であるべきで、主人公はその表情を「見たことがある気がするのに、思い出せない」のが正解だと思います。

    >1秒2秒と間が開く。時間が不意に止まったかのように感じる。やっとの事で紡いだかのように声が聞こえてくる。努めて明るく言ってるような感じで。

    印象付けたいのはわかりますが、やりすぎるとくどくなります。
    文字数と効果の見極めを意識しましょう。
    私なら、
    「時間が止まったような数秒の後、努めて明るく、その子が言った。」

    >「えっとねー、転校生なんだけど教室間違えちゃったみたい。ごめんねぇ。」

    これは無理がある言い訳。
    教室がここで、席も隣りなんだから言い逃れ出来ませんし、主人公が気付かない方が変です。

    それとも、描写がないですが、一ノ瀬は教室を出て帰ってしまったんですかね? それならありです。二度と学校に来れませんけど。

    まあ、本当にみんなの記憶から消えてるなら、学校生活には支障をきたすでしょうねえ。みんなの範囲にもよりますが。先生とかはどうなるんだ?

    もしそうでないなら。
    ここは、「私、一ノ瀬一花。よろしくね」と、初対面のように挨拶して済ませるくらいがいいとは思います。
    まあ、本当に全員の記憶から消えてるなら、大騒ぎになってる気がしますが。「誰だあいつ?!」って。

    >1時間目。2時間目。お昼休みも放課後も。僕は、あの子の事がずっとずっと気になってしまっていた。

    これだけだと、隣にいるのかどうかわかりませんね。

    > 今は本来秋のはずなのに、夏でもなく秋にもなりきれず中途半端で不快なじめっとした暑さ。自分みたいだなって思う。

    背景と心象を重ねるとか、上達の兆しが伺えますね。
    ここは明喩でなく暗喩の方がらしくていいと思いますよ。
    暗喩はメタファーとも言って、要するにわかりにくい表現で喩えることです。

    「自分みたいだなって思う」と直接書くのが明喩。それを書かずに、主人公の気持ちの表現であることをそれとなく伝えるのが暗喩です。試しにやってみましょうか。

    「暦では秋のはずなのに、夏でもなく秋でもない中途半端な暑さ。その曖昧な感じが、やけに気に障る。」

    ……もうちょいうまく書けそうですが、こんな感じが暗喩です。
    上手い人だと、完全に背景描写しか書かず、それを悟らせます。
    文章は奥深くて、とても面白いのですよ。

    >「いつか、まさぶが本当に勝負しないといけない時に動けるような人になって欲しいなぁ。って思って名付けたんだぞー。」

    このエピソード、とてもいいですね。
    タイミングもここが一番だと思いますが、その後の主人公の行動に決意が感じ取れないのが惜しい。

    自分の名前の由来を思い出すことで、主人公は「名前を知らないあの子」のことを思い出そうと強く決意するべきです。
    今の描写だと、「なんとなく夕日の場所に流れ着いた」みたいに読めるので、「心に残った手掛かりを辿ろう」と決めて、自分の意思であの場所へ向かったことを明記すべきだと思います。

    >髪がボサボサになるまでかく。
    「頭をかく」の方が。

    >「まさぶくん?どうして・・どうしてここにるの?・・・なんで、私の事忘れたはずじゃ・・・」

    ここは一ノ瀬の登場と驚く顔の描写が必須。
    ついでに時刻や風景も描写しておきましょう。やはり夕刻ですかね?

    >聞きたいことはたくさんある。 でも、僕はそれ以上に君と喋れることが嬉しかった。

    なんか1マス開いてます。
    たどたどしい文章ですが、まあ気持ちはわかります。

    >だけど、名前も分からないあなたに会って思ったんです。
    >僕はあなたのことが好きだって。」

    うーーん。ううーーーん。
    気持ちはわからなくもないけど、この展開は無理を感じます。

    まず、主人公は彼女に一目惚れじゃないですよね。
    好きになった時点で忘れるんですから。
    遊園地のチケットを買う直前に自覚したんですから、それまでの積み重ねがあったはず。
    彼女を忘れるということは、そこまでの経験値をリセットするということのはず。かすかに覚えているにせよ、気持ちは初対面程度に戻るはずで、いきなり好きとか言い出すのは設定的に矛盾します。

    場面的には美味しいだけにもったいないですが、何とか矛盾しないように、この場面を迎えられるよう、やりくりを考えてみたいですね。後述。

    >それはね、好きになったら私はこの世界から忘れられます。
    世界からかー!
    この人、現代社会で生きていけなさそう。
    いやまあ、一生誰にも好かれない工夫をすれば……
    なかなかの不幸設定ですねこれ。

    そう考えると、ちょっと一ノ瀬のキャラは設定に追いついてないかも。
    この年までこの設定で生きてたら、もっと警戒しそうなもんです。それこそ男に好かれないよう、キャラや服を徹底してるとか。

    >そして、好きになった人は、ずっと私の事を引きずっちゃいます。

    なかなかよい設定ですが、どうしようもないのが欠点。
    彼女にはどうしようもないし、それこそ祈るしかない。
    せいぜいが遠くに引っ越すとかそれくらいでは?
    いうて同じ教室にいたら、毎日こうなるわけでしょ?
    どうするんですかね、この展開から。

    読み手としても書き手視点でも、先が楽しみになってきました。
    これを着地させるの、かなり難度高そうですが、期待しちゃいますw

    >第8話

    >そう言った彼女の目から計り知れない絶望を感じる。

    それはさっき見た。
    ……と思ったら、ここ、完全にコピペか!

    いや、こんなに長々とコピペする必要はないです。
    「お願い・・・幸せになってね。」までで十分。
    いや、はっきりいってコピペは余計でしょう。

    >「絶対に嫌だよ。そんなの。そんなの君だけが幸せじゃない。」

    この台詞を最初に持ってくるのが正解ですよ。

    >「仕方ないよ。小学生の時なんだ。初めて、友達から、好きな人の記憶から私が消えたの。だけど、お父さん、お母さんからは消えないの。
    >だから、大丈夫だよ。」

    二つの情報が繋がってません。

    「大丈夫、慣れてるもの。小学校からだから。
     それにお父さんとお母さんだけは記憶が消えないの。
     だから……大丈夫だよ」

    とかでどうでしょ。「大丈夫」をあえて繰り返すのがミソ。

    >きっと、彼女はこれまでに何度も何度も消えて絶望してたんだろう。

    ここはもうちょっとがんばってほしい。

    >どれほど苦しいのだろう。今まで、楽しく喋っていた仲のいい友達から。そして、好きな人から忘れ去られるなんて。

    ここを考えるなら、やはり教室のシーンは、学校から帰ったとした方が正解ですね。

    >「楽しかったなー。お化け屋敷とかジェットコースターにのってはしゃいだり。メリーゴーランドにみんなで乗ったんだー。だけどね、私がゴーカートに乗りたいって言ったら全員に黙られて、その後、爆笑されて。んー、唯一の心残りは遊園地かな。ゴーカート、みんなで乗りたかったなぁ。」

    おお、しっかり遊園地の回を使っていますね。
    いいですよ!

    >きっとそうだ。2枚の遊園地のチケット。あれは僕が君を誘おうと思って買ったんだ。ゴーカートに乗るために。

    ここも伏線になってるとは思いませんでした。
    やるじゃないですか!w

    >だけど、だけど、僕にはただの石じゃなかった。
    >おにぎりはファミマ。だけど、チキンはローソン。
    >普通、おにぎりがローソンでチキンがファミマでしょ。
    >お菓子だって、君はたけのこ派じゃなくてきのこ派。
    >シチュー派じゃなくてカレー派なんだろう。きっと。
    >いつも、僕の好きなものじゃない方が好きで、明るくて、一緒にいると楽しい。
    >そうでしょう。一ノ瀬一花さん。2年生で新しくきた転校生で、一緒にいると楽しくて。
    >そんな、
    >僕の好きな人。

    あれ? なんでいきなり記憶が蘇ってるの?

    >一ノ瀬さんはまだ夕日とは言えない沈みかけの太陽を眩しそうに見つめる。カラスたちはもう山に帰るのだろうか。カーカーガーガー騒ぐ。

    シリアスシーンでギャグ入れるのはやめてくださいw

    >「その石のおかげかもしれないよ。それを見た時に思い出したんだ。2400円だったでしょ。」

    うーむ、惜しい!!
    順番を間違えず書いたら、間違いなく感動的な場面になるはず。
    いきなり主人公が思い出してる上に、それを隠して話してる感じで進んだせいで、読者には感動より疑問が先に立ってしまってます。
    ここはうまいこと処理すれば、なかなか名作になる気がしますよ。
    後述。

    >お願いします。今、今、僕に勇気をください。

    こここそ、名前エピソードを思い出すべき。

    >「不幸なんかじゃない。君といる1分1秒が大切なんだよ。家に帰っても今日こんな話したな。楽しかったなぁ。とか。もっと気の利いたこととか、面白いこと言えたんじゃって後悔したり。かっこつけちゃって家に帰って悶絶したりとかさ。自分のことなのに訳が分からなくなったり。僕なんか、一ノ瀬さんが好きって言ってた恋愛小説を恥ずかしいけど図書館に借りに行ったんだよ。とにかく、忘れちゃっても、今この時をこの瞬間を楽しんでる。だから、記憶がなくなったってこの楽しい時間は無かったことにはならないんだよ。

    >それに、必ずいつまでも覚えておくからさ。それじゃ、ダメ、かなぁ?

    熱意は伝わりますが、長台詞が過ぎて矛盾してるのが残念。
    記憶がなくなって未練だけ残ったら最悪なのは、ここに来るまでに味わってたはずです。記憶が戻ったから、今ハッピーなだけで。

    ここで伝えるべきは、最後の「絶対忘れない。覚えておく」だけでいいんですよ。
    何なら「絶対忘れないために、遊園地行って、ありったけネックレスを買ってこよう!」とか無茶なこと言ってもいいんです。
    どうせ理屈不明なんですから、読者が納得する範囲の理屈と、勢いと愛があればハッピーエンド!で十分です。

    >僕も彼女を揶揄う。
    うーん、内容的にはここは漢字を開く(ひらがなにする)方が。
    「からかう」ですね。
    漢字を使えばいいというものでもないんです。雰囲気に合わせましょう。

    >「私、そば派だよ。」
    >「僕はうどん派。」
    >「「あははは。」

    ここら辺の「好みが違う」という設定は、記憶を失う前に脱しておいた方が効果的だと思います。

    >この後、二度と記憶がなくなるはなかった。
    >だから、散々、思い出すから!と言った僕は恥ずかしくて恥ずかしく死にたくなった事は、舞い上がっている僕には知る由もなかった。

    このオチはかわいらしくて、とてもいいと思います。
    終盤の展開さえ修正すれば、文句なく面白くなりそうだと思いました。いやあ、かなりよかったですよ!

  • ⬜️全体の感想
    ・タイトルについて
    悪くはないんですが、内容と繋がってるかと言うと疑問です。
    このタイトルから、あの内容をイメージできないというか。
    もっと内容に見合った、いいタイトルがあるように思います。

    夕刻は黄昏(たそがれ)時とも言い、「誰そ彼=相手が誰かわからない」ことに由来します。
    今作では内容的にも場面的にもぴったりなので、ここら辺を絡めて、改めてタイトルを考えてみてはどうでしょう。


    ・文章について

    >文法
    相変わらず、無茶苦茶ですね。
    直す気がなさそうなので、前回も今回も最低限の指摘しかしていませんが、せめて小説中でルールを途中変更するのはやめましょう。読者が混乱します。

    あと、勘違いならすみませんが、台詞が梶野式(行をまたがず、改行して並べる)な感じですね。台詞の改行率が高い。
    それ自体は構わないんですが、あれをするなら、改行時に一マス開けましょう。でないとかえって見苦しくなるので。

    「有村グループに一ノ瀬さんが入っただろ?それで、みんなで遊びにいこー!
    ってなって、せっかくだしぃ男子も誘ちゃうーってなって。やっぱり男子だったら翔輝くんが良いよねーってなったみたいなんだよー」
     ↓

    「有村グループに一ノ瀬さんが入っただろ?それで、みんなで遊びにいこー!
     ってなって。せっかくだしぃ男子も誘ちゃうーってなって。
     やっぱり男子だったら翔輝くんが良いよねーってなったみたいなんだよー」

    みたいな感じですね。
    まあスマホ向きじゃないので、徹底する必要もないですが。
    一応リンク張っておきます。
    https://kakuyomu.jp/works/16817330654869504941/episodes/16817330655257639335

    >描写について
    格段に成長しましたね。驚きました!
    とくに夕焼けの場面や記憶を失った帰り道の辺り。
    一ノ瀬の感情を細かく捕らえようとしたり、背景と主人公を心象を重ねたりは、前作を知る自分から見れば信じられないほど上手くなったように感じられました。

    それに、ハイライト的に先の場面を前出しする構成。
    あれも挑戦的で面白かったです。効果もかなりのもので、ああいう演出の試みをするようになったのかと感心しました。

    もちろん、描写の技術はまだまだです。
    ですが、書きたいもののために挑戦していこうという気概がはっきりと感じられる点を高く評価します。
    先は長いですが、続ければ確実に上達します。書ける小説の幅も広がるので、創作の楽しみも増していくはず。その頃にはラノベ枠から踏み出すことになるかもしれません。

    ただし。今回、描写の量にむらが感じられました。
    特に前半、遊園地くらいまでは、描写はほぼなく、前作同様のスカスカぶりでした。だから余計に描写が増えたことに驚いたわけですが、全体のバランスを考えれば、他の場面でも描写を増やしておくべきでしょう。特にヒロインである一ノ瀬の描写はほぼ台詞頼りで、仕草や表情の描写がないため、解像度が低く思われます。友人二人の描写ももう少し欲しいところです。遊園地も手抜きではなく、もう少しキャラクターの様子を描いていい気がします。(前半のバランスだけ見れば、あれでもいいんですが)

    要所に描写を集中させるというスタイルもありますが、流石に今作は極端すぎてアンバランスに感じました。必要な描写だけでいいので、バランスを考えて書いていきましょう。

    >スピード感について

    前半と後半、記憶喪失前後のスピード感の違いも、極端すぎると思いました。前半はライトな少女漫画ノリなのに、後半はミステリータッチというか。(告白辺りはまた戻った)

    スピード感を変えること自体は悪いことじゃないですが、前半があまりにゆるゆるすぎるのに対し、後半は必要な描写をすっ飛ばすスピード展開なので、極端すぎます。多分前半と後半で時間が空いたのが原因かなと想像しますが。

    もう一度最初から通して読み直して、バランスを見直してください。
    前半をもう少し詰めるくらいでちょうどいいはず。文字数も減らせるし一石二鳥です。かなり無駄が多いですからね。

    後半はしっかり書けてるので、無理に削る手入れはいりません。
    ただ最後の場面は勢いでドガドガ書いてるので、多少なり理性をもって削るくらいでちょうどいいかなと。告白場面だし、勢いに任せる熱さもありっちゃありなので難しいですが、明らかに冗長な部分も多かったので、そこだけ意識して。


    ・内容について

    率直に言って、よく出来てると思いました。
    細かい穴は言い出せばキリがないですが、主軸の物語と回収方法、魅力的なシーン作り、自然なキャラクターの言動などは、前作に比べて遥かにパワーアップしています。

    前回は「こうした方が面白い」という大筋の改善案でしたが、今回は本当に面白かったので「こうすればもっと面白くなるのに!」という細部の調整を考える気持ちになれました。いや、大したものです。

    とりあえず、気になった細部と私の考える改善案を書いておきます。

    >一ノ瀬の呪い
    とりあえず名前がないので呪いと呼びますが、
    「誰かに好きになられると、両親以外の全世界から忘れられる」
    という設定ですね。

    この設定自体は大変魅力的で、素晴らしいアイデアだと思います。
    両親を抜いたのも、まあご都合的ではありますが、荒唐無稽にしないギリの線を考えているなと好感が持てます。

    遊園地の占い師の力で実は呪いが止められたという解決案も、一周回って意外なもので、納得もできました。逆に読みづらいですよアレはw


    反面、問題に感じた点は以下の通り。

    1.一ノ瀬の性格設定

    かなり陽キャな一ノ瀬ですが、小学校時代から呪いにかかり、おそらくは転校を繰り返していた彼女が、男受けする性格なのは普通に考えにくい話です。

    不幸を繰り返し、両親に迷惑をかけぬよう、周囲を気遣う一ノ瀬なら考えるでしょう。
    たとえば男受けの悪い服装や好かれそうにない態度、あるいは消極的な言動などに自分を寄せていくのではないかなと。ようするに「モテたら不味い」わけです。

    「私はみんなのアイドルだから」とか、超矛盾した台詞です。(あれは現時点でも違和感ばりばりなので、何とかすべき)

    なので、より自然な展開を意識するなら、一ノ瀬は地味目の、意図して目立たない少女、或いは刺々しい人を寄せ付けないタイプなどの性格にすべきです。その上で、主人公と仲良くなり、打ち解ける中で今の性格になっていく、という風に描いた方が、好きになっていく過程も描けて一石二鳥ではないかと。

    2.「面影を追う」という設定が機能してない

    この設定だと、好きになって忘れた時点で、相手が引きずることが確定していま。
    一ノ瀬は相手の幸せを願ったりしてますが、設定上、手の施しようがなく、祈るしかない。
    でもよく考えたら、転校しない限り、一ノ瀬は傍にいて、また好きになることも十分あるわけですよね? 
    そこら辺、作中では言及されていないので、もやもやが残ります。実際、主人公は再会していきなり「好き」とか言い出しますしね。あれはネックレスが効いてたからとも考えられますが、一目惚れでない主人公の反応としては(普通なら)矛盾してるわけで。

    なので私なら、呪いの設定をこうします。
    「誰かに好きになられると、一ノ瀬は世界から忘れられる。
     忘れた男は再び好きになるが、そのたびに忘れるため、次第に面影を引き摺るようになる」

    好きな相手に忘れられるだけなら、対応はできる。
    (ここを強調するなら、世界範囲を弱めてもいいかも)
    でも、何度も何度も忘れられ続けると、相手を不幸にしてしまう。
    だから、一度忘れられた時点で、転校すると決めている。

    という感じの方が、一ノ瀬の切なさが際立つかと思いますし、再開時にいきなり好きという主人公のムーブも納得できます。

    ああ、二度目に再開した夕焼けの時に、「もうすぐ転校するから最後に見に来た」とか言わせておいた方がいい気がします。


    3.世界から忘れられる

    真面目に考えると、かなり厄介な設定です。
    世界から忘れられるということは、社会から忘れられるということで、生活に支障をきたすのは間違いありません。学校ですら、教師やクラスメイト全員に忘れられたら、真面目に考察すれば大騒ぎになるでしょう。両親が覚えてるのでセーフ、とは一概に言えません。

    ここら辺、規模が大きすぎて、記憶喪失後の教室の描写が出来なかったりと、裕貴さんも覚えがあるはずです。

    この設定のもう一つ問題は、世界に忘れられる危険性が、一ノ瀬の悲恋より遥かに大きすぎることです。つまり「好きな相手に忘れられる」以上の大問題なので、悲恋の重みが減ってしまう。これはよろしくありません。

    なのでむしろ、呪いの効果は程よく減らすべきです。
    「呪いの効果は不幸を呼ぶが、両親が忘れないので耐えられないほどではない」「それより好きな人が不幸になって欲しくないから転校を選ぶ」くらいが、相応しいかなと。

    私的には「好きになった相手と、共通の友人」が忘却対象ぐらいがちょうどいいかと。つまり遊園地に行ったくらいのメンツですね。これなら「友人を失う」くらいの痛みで済みますし、教室での描写も男友達二人が「あいつ誰だっけ?」「知らねー」くらいで済みます。あそこは周囲の反応も見たくなるのが普通ですからね。

    それにこの設定にすれば、「あちこちに友達を分散して作っておけば、一部の友達に忘れられても誰かしらは残る」と一ノ瀬が考えるでしょうし、陽キャムーブやアイドル発言にも筋が通ったりしますね。これはこれでありかと。

    友人に忘れられても、なんとかやっていける。
    でも「好きな人を不幸にしたくない」から、離れることを選ぶ。
    この方が恋愛ものとしては胸に来るんじゃないかと思います。

    ただまあ、「世界から忘れられる」という壮大さに、魅力を感じるのも事実。どちらがいいのか、悩ましいところですね……


    4.終盤の畳み方。

    感動的な場面だけに、畳み方をミスってる感じでもどかしかったです。

    もうかなり長文になってしまったので、簡潔に「私なら」を書きます。


    夕日の場所で一ノ瀬と再会した主人公は真実を教えられる。
    この世界で僕だけでいい。僕だけは彼女の事を覚えておきたい。
    そう考えた主人公は、失った記憶について尋ねる。
    二人の思い出を懐かしそうに数える一ノ瀬。
    (この辺りは作品そのままで十分)
    ゴーカートのことを教えられ、チケットのことを思い当たる。
    (作品のまま)
    一ノ瀬がネックレスを取り出す。
    それを見た主人公に変化。頭の中の霧が晴れていく感覚。
    まだまだある二人の思い出を、涙目で語っていく一ノ瀬。
    唐突に主人公が、その思い出に合の手を入れる。
    (ここも作中の「きのことたけのこ」でよい)
    「な、なん、、で。おぼ、え、てるの。」
    ここで、主人公、記憶を鮮明に思い出し始める。
    (おにぎりはファミマ。だけど、チキンはローソン。
     から、僕の好きな人。まで)
    ──後は、元の展開に同じ。

    要するに、ネックレスの効果で主人公が記憶を取り戻すタイミングを、一ノ瀬が思い出を語ってる途中にするわけです。
    元だと語り出す前に思い出してるので、感動が半減してますから。
    主人公のくそ熱い独白(おにぎりはファミマ。~僕の好きな人。)も、「なんでおぼええてるの」の後の方が絶対に効果的です。

    ぜーはー、久しぶりに熱く語ってしまった。


    ⬜️総評
    ・文章は成長著しい。特に描写を評価。
    ・ストーリーもおおむね良し。細部の詰めだけ注意。
    ・全体的にまだ不安定だが、将来が楽しみ。

    ううむ、今回で一番驚かされたかもしれません。
    完成度重視の私が「普通に面白い」と思ったんですから。
    まだまだ甘いところはありますが、それ以上に成長に目を奪われました。
    ここまで書けるようになったなら、文章もしっかりと文法を守ることを考えていい時期かもしれません。それだけでも殻が破れるはずです。

    是非、この調子で小説を書き続けてください。
    来年、さらなる成長が見られること、心から願います。
  • 【12】高校生活3ヶ月目、気づいたらリュックの中に美少女のおパンツが入っていました。(無名の猫)
    https://kakuyomu.jp/works/16817330660998396866

    十二回目は、無名の猫さんの作品、「高校生活3ヶ月目、気づいたらリュックの中に美少女のおパンツが入っていました。」です。長い。

    異世界転生同様、この手のラブコメ、エロコメもなろう系の一角ですよね。最近はこっちのが多いくらいですか。

    言うまでもなく、私はこの手の小説を読みません。
    とはいえラブコメ漫画は読みますし、特に最近は熱心に読んでるくらいです。昔は距離を置いていたんですが、やはり女の子を可愛く書く方法を学ぶにはこれが一番だなと考えを変えまして。

    エロコメ……たとえば「To LOVEる」(漫画)みたいなやつは今でも読まないんですが、エロ漫画なり同人誌なりは読んでるので、そこら辺の知識でまあ対応できるのではないかな、と。エロは嫌いじゃないんで。むしろ好きなんで。

    ただ個人的には、ラブコメ路線で過剰なエロは、かえって魅力を削ぐという結論に至ってはおります。
    ここら辺、後で語ることになるかもしれません。

    さて、感想の前にアンケート回答を確認。


    ・特に意見が聞きたい部分。
    第1話の終盤です!

    ・「梶野ならこう書く」アドバイスは必要か否か。
    できたら欲しいです!

    未完結でこれから盛り上がって行くと言う内容になりますが、序盤の方だけをみて感想をお願いします。
    毎日投稿をやっている達なのでこれから長くなってしまったりする事があったりしますが、カメムシ先生の方で途中で止めて感想に入って頂いても結構です。
    感想、待っています。


    未完結作品の序盤感想希望が定番化してしまいましたが、まあ今回は参加者も少ないし、よしとしましょう。導入部が重要なのは間違いないですし。

    ちなみにこの感想は、7話(9691文字)まで読むことにします。
    一章終了まででキリもいいですし。

    それでは、じっくり感想を始めましょう。



    ⬜️読みながら感想
    二読後の感想を、読みながら書きます。


    >第1章 入っていたパンツ
    >第1話 普通入ってるだなんて思わないじゃん。

    「入ってる」押しがすごい。
    芸がない気もしますが、アンサーみたいになってるのはちょっと面白いかも。

    >俺の名前は結衣木ゆいぎ 昼顔ひるがお。

    この手のキャラものは名前と特徴が直結またはニアミスしてるくらいが一番だと思いますが、昼顔は……うーん。
    おっさんイメージだと、昼顔と言われてすぐ出てくるのは昔の不倫ドラマなんですよね。後は海外の映画とか。どっちもインモラルな女の話で、要するに女性的なんですよ。

    まあ読者層のことを考えると気にしなくていいかもですが、これといったイメージ付けがあるとも思えません。
    まあ、そもそもこのキャラ自体が「何処にでも居る平凡な高校生」なので、合ってると言えば合ってるんですが。覚えやすいという点はクリアしていますしね。可もなく不可もなく。

    >隣の席に居る彼女
    「隣の席」が被っています。
    「彼女の名は夜叉色葉──」

    >夜叉やしゃ 色葉いろははクラス一の美少女であり、夜叉グループの会長の子供。

    「子供」より「愛娘」の方がいいです。
    特徴づけるなら「一人娘」が一番ですかね。

    夜叉グループ……暴力団かな? まあいいですけど。
    色葉の方が問題で、すっごくどっかで見た名前です。
    この手の作品のヒロインが「見覚えのある名前」というのは流石にどうなのかと。唯一無二とは言いませんが、せめてラブコメで被らないよう意識はすべきだと思います。作品の顔となるキャラなんですから。

    > 白い肌、それとは正反対に黒い髪、豊富おっきな胸おっぱい(脳死)、整った容姿。

    胸を「豊富」とは言いません。「豊満」です。
    平凡な描写ですが、ルビはらしくていいかと。
    特徴を並べるなら、強調したい部分を最後にすべき。
    私なら、「白い肌、黒い髪、整った容姿、豊満おっきな胸おっぱい(脳死)。」

    >何か一つを取っても『完璧』と言われる存在であった。

    「何一つ取っても」
    「存在」が二度目で被っている、というかこの後の行に、
    >おまけに頭も良い……マジで非の打ち所の無い人間だった。
    とほぼ同じ内容が被るので、この行は不要です。

    >そんないろはは俺の席の隣なんだが、この学校。
    それはもう聞きました。
    「学校。」の区切りがおかしいです。

    >席替えと言う概念が無く、俺はこの1ーAにいる間は一生いろはの隣である。ぶっちゃけ最高。

    一体いつから席替えの概念がないと思った……?
    というか、この設定いらないでしょ。作者的に席を変えたくないとしても、「たまたま席替えがなかった」で十分なわけで。むしろ物語の展開の幅を自ら狭めてるだけの気が。席替えイベントとか定番だと思うんですが。

    >いつも話しかける事も無いので、
    「話しかけられる」事がないんだと思われ。

    >俺はスマホをしまい、いろはの方を覗く。
    「覗く」とは。

    >「だから夜叉って呼ばないで。……まぁ良いわ、その。あの、教科書……忘れたわ。貸しなさい」

    普通、忘れるのは主人公じゃないですかね?
    まあキャラの意外性として拾えるなら、これはこれでありか。

    というか、貸しなさいって。
    「一緒に見せなさい」でなくて?

    > 何処まで行っても上から目線なのなんや!
    こういう感想を出す前に、色葉の人となりを書くべきです。
    「いかにもお嬢様らしい」とか。

    >そして、俺は少し恥ずかしくなっていろはから目を背ける。
    >急にクラス一の美少女が話しかけてくるのは犯罪でしょ。
    >「あー、分かった、分かったよ。貸す、貸すけどよ。その、夜叉さん。もうちょっと……人に物事を頼む態度ってどうにかならないか?」
    >そう、目のやりどころに困って上を向きながらいろはに言う。

    強気なのか弱気なのか統一してください。
    主人公の性格が掴めなくなるので。

    >「仕方無いじゃない。今まで忘れ物をした経験が少ないから、上手な頼み方を知らないのよ。頼み方って難しいのね……」

    こちらも台詞が不自然で、どういう性格なのか全然見えてきません。
    気位が高く頭のいいキャラなら、
    「なら他の人に借りるからいいわ」という展開が自然かと。

    逆に案外気弱なお嬢様キャラなら、教科書を忘れたことを他人に知られたくなくて、「小声でこっそりと主人公に頼む」とかにすると思います。滅多に忘れ物をしないなら余計恥ずかしいでしょうから。

    > 結論、神は存在しない。
    一連の思考が意味不明の上、まったく面白くありません。
    「くだらないことから哲学的思考に至る」ネタだと思いますが、だからこそ真面目にやらないと、ただの駄文です。

    >「昼顔君。ありがとう」

    この台詞を見る限り、色葉は「お嬢様で人づきあいが苦手だけど、気は優しいタイプ」に読めますね。

    >*

    えっ、場面転換?
    一体なんだったんですか、このエピソード。
    教科書見せるシーンがラブコメの本番だと思うんですが。

    >そうして俺に話しかけて来たのは
    「そうして」は不要です。

    >スラリとした体型の卓球部。顔は……イケメンの部類に入るだろう。

    卓球部の時点でイケメンの絵面が浮かばない。(偏見)

    >そうやって見せてきたのはゲーム画面であり、

    プールの話をしてるから、プールサイドかと思ったら、何処ですかねここ。場所の説明がないんですが。

    ていうか、このエピソードも何なんですか。
    スマホゲーの自慢しかしてないんですが。
    まるまる不要でしょ。色葉の場面と同じ日かすら不明だし。

    >「辞めろよ? 洞爺とうや。犯罪に繋がったりもするからな?」

    「辞める」は漢字が違います。
    「やめろよ、洞爺とうや。犯罪だからな?」の方が。

    >昔は男子更衣室を女子らが使用してたらしいが、最近「ジェンダー平等だ!」とか言う最高の紳士によって男子更衣室はきっちり男子が使い、女子らはクラスで着替える事になっていたのであった。

    ジェンダーの意味不明だし、普通、更衣室は女子が使うものと思いますが、案外こんな学校が実在していそうなのが怖い。

    >「ファ〜! 水泳最高〜!」
    水泳の授業って最高ですかねえ……?
    最初はともかく、終わった後はぐったりしてたような。

    > すると、いろはがスカートを抑えた状態で座って居た。
    > 不審に思った俺は、いろはに聞く。
    >「どうした? スカートの裾なんてずっと掴んでて。パンツでも無くしたのか?」

    いや、その推理はない。
    せめて色葉の顔色とかの描写を。

    >「そのまさかよ。私のパンツがどっかに行ったのよ」

    絶対に言いません。
    隠し通せるなら通すところです。

    というか、ここの展開はむしろ、
    「スカートを抑えて顔を真っ赤にした色葉を不思議に思いながら、
     主人公がリュックを開けると見覚えのないパンツが入っていた。
     謎は全て解けた……さあ、どうする!?」

    の方が、緊張感があって面白くなりません?

    >水泳バックを片ずける。
    「片づける」
     
    >学校生活3ヶ月目、リュックの中にクラス一のおパンツが入ってた。

    時間を数える意味があるかはともかく、タイトルに合わせるなら「高校生活」ですね。


    >第2話 マジで誤解なので許して下さい

    >「なんで私のパンツを昼顔君が持っているのよ」

    この話の最初の山場だと思うんですが、びっくりするほど盛り上がりませんね。後述。

    >「まだ許した訳じゃ無いわ。これだけは注意しなさい。でも、とりあえずは貴方を犯人じゃ無いとして考えるわ。まぁ、候補には入れとくけど」

    せめて「主人公が犯人の可能性は低い」理由の説明をすべき。
    私なら、「パンツ履いてないのを他の男子に知られたくない」理由で、追及を後回しにしますけど。

    >「なによ、そんなジロジロ私の事見ちゃって。もしかして、私のこの美貌に惚れちゃったのかしら」

    あれ? ツンケンお嬢様キャラになってる?

    > するといろはは急に顔を真っ赤に染め、俺が持っていたいろはパンツを奪い、教室から出ていった。

    いや、まず最初にパンツを取り返して確認でしょ。
    男に持たせたままとか、女子心理的に絶対ありえないんで。

    >数十秒後、急に心配になって来たので廊下に出て見ると風によっていろはのスカートが捲れた事により、いろはの生尻を直視してしまったのだった。

    何故、ラッキースケベをこんな適当に書きますかね。
    こういうシーンにこそ描写を注ぐものでは?
    展開も無理やりだし。

    >        給食時間

    なんで真ん中に寄せてるんですか?さっきまで普通の表記だったのに。
    あと、給食時間? 昼休みでなく?

    >……その、私の尻。見たかしら?」
    そんな女は(ry
    もしかして、何かのギャグだったりします?

    >「バカ! 変態!! ……最っ低」

    普通は見られた瞬間にこうなります。

    >「私と、私と付き合ってください……」

    キャラが定まってないので、全然意外性がありません。
    「また何か変なこと言い出した」って感じです。

    せめてここまでの間に、キャラを固めておかないと。
    もう結構文字数使ってるんですから。

    あと、このパターンは手垢まみれなので、もうちょいひねるべき。
    こういうテンプレ場面こそ、斬新なアイデアを見せたいところです。


    >第3話 ガチトーン程怖い物は無い。

    >なるほど。完璧に理解したわ。(ポプテピ風)
    名台詞がまるっきり無駄になってます。
    せめて理解したなりの明後日ムーブに全力を注ぎましょうよ。
    途中で我に帰っちゃいけません。

    >ここはOKして18歳には童貞を卒業してやる!
    えっ?
    いや、ここは突っ込まないでおこうw

    >いろはの顔が急に明るくなるが、すぐさま何時いつものポーカーフェイスに戻る。

    3話目にして初情報。
    普通、1話目に書いておくものです。

    >きっと貴方に取って最高の一日になると思うから。
    これがちゃんと回収されるなら、ほほうと思えるんですが。

    >まってでもまだ俺15歳だし……
    >大丈夫だろ! バレなきゃ犯罪じゃないし!

    軽く調べた限り、同じ年頃同士なら淫行にならないみたいですよ。

    >そう、昼顔は勘違いをしていた。クッソキモい程に。
    なぜ突然に三人称。

    >女子の部屋入るの、何かと初めてかもしれない。
    家の描写とかなしなんです?
    豪邸そうなのに。

    >「なにか勘違いしているようだけど、今日はここで会議をするのよ? 私のパンツを昼顔のリュックに入れた犯人」

    なんで容疑者の一人と会議するんですかね。

    >あの、彼女になってくれるんじゃ、無かったの?
    引っ張らないだけマシですが、もっとスパッと切ってもいいくらい。

    >「私のパンツに需要があるのは大前提よ」

    ここら辺も主題がずれてます。
    パンツ泥棒の話ならわかりますが、違いますよね?
    主人公が盗んだか、濡れ衣を着せようとしたかですから。
    他の需要の話はわざわざ出す必要がないはずです。

    >俺に宛は無いぞ
    「当て」ですね。

    >「やっぱ貴方が犯人だったのね……死ね」
    前後の会話と繋がってません。
    ギャグにしても誰も回収してないので意味不明です。

    >「私を憎んでいる人、私と昼顔の仲を割こうとする人、昼顔を貶めたい人……様々ね」

    ここら辺もうまくやれば、色葉から昼顔への認識確認とか、色々やれそう。

    >今日の昼頃、洞爺となんか底辺の遊びをしていな覚えがあるので、

    「していた」
    何かしてましたっけ。スマホゲー?

    >「本当に私のスカートが、前に捲れてたらどうしてたのよ。それこそ犯人は死刑だわ」

    話の流れでこの手の台詞を引き出すならアリですが、自分から言い出すとかはリアリティがなさすぎて全然キャラに思い入れできません。口ごもるとか赤面するとか、恥じらいを伴ってこそキャラを「可愛い」と思うものだと。

    >同じ部活で私を憎んでいそうな
    何の部活かわかりません。生徒会?

    というか、もう少し絞り込みましょうよ。
    あの日に教室に入れる生徒の絞り込みとか、鍵の有無とか、目撃情報とか。
    主人公はともかく色葉は頭いい設定なんですから。

    >なんだろう、根本から人権を否定される気分って、なんか気持ち悪いな……

    なんかもう、色葉のキャラはゴリゴリお嬢様で決定?
    一話冒頭のは何だったんですか。

    >何処ぞの主婦だよ
    「どこの主婦」

    >正面で気づかなかったがよく見ると、エプロンの下はブラとパンツだけだった。

    玄関開けて料理してるとこ見たら、普通後ろ姿ですよ。

    >「アナタ、少しうるさいよ? ……ああこれ? 裸エプロンって奴。これをすると全男子は下半身をビンビンに反応させるって聞いたからね、やってみたんだけど、どう?」

    狙ってかるのかも知りませんが、びっくりするほど興味を惹かれません。サブキャラは好きな方なんですが……

    >これが『エ』プ『ロ』ン。って奴か……
    むしろ罰ゲームって感じ。
    このシーン、必要あるんです?


    >第4話 これが蛙化って奴か……(チュロス)

    これは元ネタ知りませんね。チュロスと関係あるのかな?

    >「人の話聞け馬鹿!!」

    おっと、思わずここまで読み飛ばしてしまった……
    まさに読むに耐えないってやつです。
    もはやエロというよりグロの領域。
    企画でなければここで読むのリタイヤしてます。

    何がひどいって、このシーン入れる必要が1ミリもないってことです。後述。

    >「昼顔は加害者なのだから、しっかり貴方の意見と海森さんの意見を聞いてから、審判を下すわ」

    わかったようなわからんような、よくわからない理屈。

    >ここまでの状況を整理すると、
    >色葉:パンツ泥棒を見つけたい。昼顔は犯人だと思っていない。
    >昼顔:何も考えていない。色葉に誘われたのでついてきた。

    ……いや、色葉が昼顔誘う理由ゼロでしょ。
    何の役にも立ってないし、何かする気もないんですから。
    せめて昼顔がパンツ泥棒扱いされてて、自ら真犯人を捕まえねば!と思ってるとか、昼顔の方から手伝わせてくれって懇願してるなら話もわかりますが、そうじゃないですからね。
    そもそも色葉の昼顔評価が高いとも思えませんし。謎展開すぎる。


    >第5話 実は猫田先輩は犬好き。

    >1-C前廊下にて。
    >いろはがそう、夏帆に向かって話す。

    水泳の授業の時、何をしてたか裏とか取ってないんですか?

    >「そう、ね。夏帆さん、疑った私が悪かったわ。ありがとう」

    疑ってること言っちゃったけど、人間関係大丈夫です?
    というか、いう必要もなかったのに。

    >そう、いろはは夏帆に告げてからその場から去った。

    えっ、終わった?
    家まで行って会議した意味とは……

    >猫田小豆は手を振って目の前に立つ。
    「あずき」か「こまめ」か気になるところ。
    どうも名前から美少女が浮かんでこない……水木しげるのキャラががちらついてw

    >俺がそう言うと、いろはが少しばかり背中を叩き、「彼女は誰かしら」と言われたので、彼女の説明をした。

    珍しく悪文。
    「そう言った俺の背中を色葉がつつく。
     「どなたかしら?」」

    で繋ぐ方が自然。

    >「あぁ。あいつか? あいつは猫田小豆先輩。中学の時の先輩」

    先輩を何故、あいつ呼ばわり?
    というか目の前にまだいるんですよね?
    あと先輩が被ってます。

    >「あら、高校ではぼっちの昼顔君にだって先輩は居たのね」

    普通に友人出てきた気がしますし、なんなら幼馴染もいますけど(学校が同じかは知りませんが)

    >さんな会話をしていると
    「そんな」

    >猫田先輩が何かに気づいたらしいが
    猫田先輩の描写がゼロなのは、何故なんですかね。
    モブじゃないですよね?

    >「後輩君。それ、後輩君の彼女でしょ」
    ここら辺はからかい半分としても、まだ話がわかります。

    >「あれ? 外しちゃった? 僕の推測は100%なのになぁ。珍しい事もあるなぁ」
    >確かに、猫田先輩の推測が外れた事は無い。

    これはやりすぎ。
    また「何言ってんだこいつ」臭がしています。
    描写もない、今出たばかりのキャラにそんなこと言われても、読者は「はあ?」と思うだけです。せめて何かしらバックボーンをつけとくべきです。占い部かオカルト部の有名人とか。

    >「っあ。そうだわ。私と昼顔君が恋人同士なんて、天地がひっくり返っても有り得ないわ。可能性で言えば……0%」

    そこよりもまず「馬鹿馬鹿しい」という方が先でしょ。
    何なら先輩に自ら絡みにいくくらいでないと。

    >「後輩君、じゃあまた後で会おうね♡」
    > と、耳元で囁かれた。
    > 反則です。そんなの行っちゃいます。
    > そして俺はいろはと別れた後に俺はすぐさま猫田先輩の所へ行ったのだった。

    俺がニ回出てます。
    いや、何が「そんなの行っちゃいます」なのか全然わかりません。
    どこに行くかも謎です。訳がわかりません。


    >第6話 そこまで行ったらもう未来予知の次元でしょ

    >先程、猫田先輩に会った場所に戻ると
    もしかして色葉とは直後に別れたってことです? 
    ならそう書くべきですし、「後でおいでよ」が正解です。
    夏帆と別れた後だから、なんとなく休み時間で、すぐに授業あると思ってました。
    どっちみち、何が「行っちゃいます」かは謎ですが。

    >俺も先輩の事待ってたのに……知人が上から目線すぎるって……

    意味がわかりません。
    待ち合わせ場所で相手がスマホしてて気づかないのを「待つ」とは言いません。
    「上から目線すぎる」も被害妄想です。

    >猫田先輩の髪は、白髪のショートカットで、青い目をしている。身長は150前半でスタイルは抜群。容姿も可愛い。

    描写(はんだん)が遅い。

    >「猫田先輩。急に俺をよびだして、何か用はあるんすか?」

    用があったのは主人公の方に思えましたが。
    「そんなの行っちゃいます」とか言ってたので。

    > 理由は2つ。
    > 1つは裏があるかと言え、罠に嵌められるような事はしてないと言う事。
    > 1つは、猫田先輩はそんな事は絶対にしないという事。

    これも意味不明です。
    無理に難しいことを言わせようとして、自爆してるように見えます。

    >何故なら猫田先輩は……
    これだけ意味不明が続くと、この引きもまともな回収は望み薄だな、という感じです。

    >『〈先読み〉だよ』
    先読みはちょっと面白いですね。
    キャラつけうまくやってくれれば、猫田先輩は好きになれそう。


    >第7話 ギュウギュウ電車は夢が沢山

    >『次のターゲットは、彼女だわ』
    > そう言って送られてきたのは、とある女子の写真だった。

    連絡先交換、いつしたんです?
    というか、こっちのが普通に犯罪臭いですけど。

    >という事で明日の金曜日。昼休みに咲の所へ行く事になった。

    なんで日を置いて、一人一人訪ねるんでしょう。
    同じ学校なら、まとめて全員行けばいいんでは。
    ましてや同じクラスとか、同じ日に行けますよね。

    > 咲アイツ、逃げたな……
    意味がわかりません。

    >集合時刻も送信する時間帯も早ぇんだよ、早ぇんだよ!

    普通、「明日何時集合?」くらい聞くでしょ。

    >遅刻……する気がする。
    >いやいや! しないように専念しなきゃ!
    >そして目が覚めて1時間。本日の支度を一通り行い、パンを食べた。
    >時刻は6時。後1時間。ゆっくり歩いて行くか。
    >そして駅に歩いて向かった。

    ここら辺の描写、本当に必要と思っていますか?
    適当に思いついたことを書いてるだけでは?

    >プールの方へと繋がっている電車は、
    「プールの最寄り駅に向かう電車は」

    >(ラッキースケベ量産機の爆誕や……)
    (あまり読みたくない……)

  • ⬜️全体の感想

    ・タイトルについて
    なろう系の長文タイトルは好きじゃないですが、まあわかりやすくていいんじゃないでしょうか。
    おパンツ関係も、内容がストレートに伝わるのでよし。
    少なくともタイトルから想像できた方向性ではあります。

    ただ、「高校生活三ヵ月」は不要かと。
    この情報、何か意味があります? 語呂的にも必要と思えません。
    私なら、
    「気づいたらリュックの中に美少女のおパンツが入っていました。」
    にタイトルを変えます。
    シンプルだし、語呂もこっちのがいいと思います。
    略称は「気づパン」くらいで。

    ・文章について
    文章力は、作文レベルですね。
    お世辞にもうまいとは言えませんが、読みやすいという一点だけは評価します。
    ……と言いたかったのですが、案外そうでもない。

    話が単純なところは意味が通るのですが、ちょっと難しい状況を説明しようとすると、すぐに混乱し、意味が読めなくなってしまいます。わかりやすく伝える技術の不足です。

    真面目に読むと意味が通じてない場面を、おそらく無名の猫さんの読者は頭で適当に解釈して読んでいるのだと思います。誤字脱字を適当に脳内補正して気にしないような感じですね。

    簡単なお話ならそれも通りますが、もっと複雑な話を書こうとしたり凝った構成を組もうとすると、そんな甘い読者はすぐ着いてこなくなるので、ちゃんと読んで意味が理解できる文章を書けるよう、練習しましょう。まずは読者視点を意識しながら何度も読み返し、チェックする癖をつけるといいかと思います。

    とくにこの先、ラブコメを書いていくつもりなら、会話文を強化することは最優先です。
    読む限り、けっこうな確率で会話が成立していない場面があります。
    受け答えを読んでも「なんでこんな返事してんだこいつ?」と首を捻るような感じです。読みながら感想で細かく指摘しておきましたが、
    本来であれば、あんな風に引っ掛かってる時点で読者は読むのをやめます。ラブコメの一番の面白さは、ラブを除けば、キャラ同士の掛け合いの面白さなんですから。それが楽しめないのでは話になりません。

    キャラの個性やギャグ、ウィットに富んだ会話、知識ネタなど、会話で読ませる手法は多々ありますが、何よりもまず、会話の意図が読み取れ、違和感を覚えずに済むというのが大前提です。

    無銘の猫さんのキャラの台詞は、おそらく作者の脳内では繋がっているんでしょう。ですが、描写や言葉が足りておらず、読者には飛び飛びになってるように感じられます。いちいち「作者は何を考えてこんな台詞を言わせたのか」と推理していては、楽しめるものも楽しめません。頭空っぽでも楽しめるはずのラブコメなら、なおさらです。

    ・内容について

    ラブコメを「レモンソーダ」に例えるなら、この作品は「レモンソーダを飲んだ後の氷が解けた水」みたいな味です。
    かろうじて味は感じるものの、大部分は水なのでひたすら薄味。旨味も何もあったものではない……そんな感じ。

    先に褒めておくとすれば、「パンツが入ってた」はいいと思います。
    ほどよくエロで意外性があり、謎も含んでいます。
    学生生活であり得そう、というラインなのも強みかと。

    ただ、この小説は、このワンアイデア止まりです。
    それを面白く広げることが出来ず、とりあえず話を続け、時間を稼いでいる、という印象です。

    7話まで読ませてもらいましたが、約一万字を費やした中で、この物語はほとんど何も進んでいません。
    まったく本筋に関係ない麻衣の話を一話強も使ったのに対し、容疑者二名との対話や会議の内容はごくわずかで、作者が何も考えていないことが感じ取れます。

    猫田先輩の件は本筋に絡むのか微妙ですが、現時点では絡まないように読める導入で、こちらもだらだらと無駄な描写が続くので、最後まで薄味のままでした。

    一万字も使えば、短編なら起承転結までも書けそうなもんですが、今作では起承転結の「承」にも至っていません。ひたすら寄り道ばかりで、その寄り道にも面白みがない。なので薄味に感じるのです。

    物語以外でも、ラブシーンやエロシーンが乏しい点も薄く感じる原因ですね。
    こちらがまだ濃ければ、話が進まなくても許せるんですが、ほとんどないというか、濃い場面が皆無に等しい。出てきてもメンヘラという求めてない感じの奴だったりします。
    無駄なシーンを省けば、一話ごと一シーンくらいは挿めるはず。
    ラブコメとして、もう少し味を濃くしていただきたいところです。


    以下、「これはひどい」と思った部分について。

    >「なんで私のパンツを昼顔君が持っているのよ」

    この話の最初かつ一番の山場だと思うんですが、びっくりするほど盛り上がりません。

    ラブコメにおける、この手の話の展開として思いつくのは、

    1.主人公またはヒロインが犯人捜しゲームを始める展開。
    2.主人公が一方的に犯人扱いされる。何なら平手打ち。
      後からヒロインの誤解を解こうとする展開。
    3.ヒロインまたは主人公がトンデモ反応に出るギャグ展開。

    ざっくりとこの三つが思いつきますが、どれにも言えるのは、とにかく話を盛り上げようとしていることです。

    今作の展開では、そこが中途半端で、勢いに欠けます。
    追及も激しくないですし、色葉もさして怒っていない。
    そんなあっさり終わらせていいの?と不安になるくらいです。
    これなら、犯人を捜す必要すらないのでは、とさえ思います。
    ラブコメとして、それは駄目でしょう。

    テンプレならテンプレらしく。そうでなくとも斬新な展開を考えて、最大の熱量を、この場面にこそ注ぐべきだと思います。


    >「人の話聞け馬鹿!!」

    麻衣の場面ですね。
    あまりの気持ち悪さに、私は軽く読み飛ばしましたが。

    まあエロは嗜好の極みみたいなジャンルなので、それこそ「個人の好み」だと言われてしまえばそれまでではあります。
    とはいえ、ものには適量と言うものがあります。
    私も自分が書く際のラインを知りたいと、いろいろその関係の漫画を読み漁った末、出て来た結論がこれです。

    「エロはぎりぎり、恥じらいはましまし」

    エロ=露出だという考えは、はっきり言いますが間違いです。
    どれだけ精巧に作られても、マネキンに欲情する人間は限られます。
    それより大事なのは反応。恥じらう仕草や表情、乱れる様子なんです。
    極端なことを言えば、露出ゼロでもエロくできますし、すでにそんな
    漫画、探せば山ほどありますよね? そういうことです。
    ましてやこれは小説です。漫画のように絵に頼れません。
    文章で「乳」とか「尻」とか書いても、エロさは知れています。それよりも、しっかり描かれた美少女が、どんな顔でどんな声を出すか。そういう方向に力を入れた方が、間違いなく男性には刺さるはず。

    大事なのは痴女のように露出させることではなく、嗜みを乱すことで醸されるエロスなのです(握り拳)。

    >猫田先輩
    については、わりと評価高いです。

    まあこれは、私が変キャラ好きというだけかもですが、個性をつけてキャラを立てようとしているのが伺えるので。
    まあ先を読んでいないので現時点での話ではありますが、色物で終わらせずちゃんとキャラを考えて描いていけば、面白くなりそうだなと思いました。

    >色葉
    色葉の性格は序盤とその後でまったく違ってしまってるので、わけがわかりません。

    もしかすると序盤のアレは、
    「実は昼顔が好きなのだが、素直に言い出せない。
     教科書はわざと忘れたし、なんならパンツも自分で入れた」
    とかいうオチもあり得るかな、とも考えましたが。

    もしそうなら、もっとしっかりとキャラを描き出さないと。ここまでの色葉の描写からそれを読み取るのは無理というか、推理を楽しめるレベルになっていません。

    しっかり物語を作り、キャラが固まっていてこそ、そういうどんでん返しは成立するんです。これ自体は(もしそうなら)、悪くないオチだと思いますけどね。

    >アンケート回答のお答え

    >第1話の終盤です!
    とのことで、あらためて見ましょう。

    第一話は、
    1.昼顔、色葉に教科書を貸す
    2.洞爺、スマホをする
    3.パンツがリュックから見つかる

    の三本ですが、はっきり言って1と2は不要ですね。
    というか、1はともかく2は明らかに無駄です。

    もし私がこの話の一話を書くなら、いきなり3から始めます。
    冒頭はどんな読者でも絶対読んでくれるところです。そこに一番美味しい場面を、全力でブチ込む。これに優る導入はありません。

    その上で、二話目の部分をもっととんがった面白さにして、一話目に
    繰り上げます。
    そうですねえ。あらすじにするならこんな感じ。

    「リュックの中に未知のパンツを見つけた昼顔は、もじもじする様子から、それが色葉のものだと悟る。
     どうすれば、このピンチを乗り越えられる?
     危険物(パンツ)をバレないよう処理してしまえば問題ない。
     なんなら持ち帰ってもいいのでは?(エロ)
     
     いや、それでは色葉がノーパンで下校することになる。
     それは男として流石に外道ではないか?
     ならばどうする。方法は一つしかない。
     色葉に気付かれぬよう、細心の注意を払って、危険物(パンツ)を色葉の元に返すのだ。
     授業開始を告げる、予鈴が鳴り響く。
     それは昼顔にとって、高難度ミッション開始の合図だった──」

    ※二話に続く。


    五秒で考えたのでアレですが、これくらい頭悪い方がノリよく書けません?
    あ、授業でノーパンの色葉が先生に当てられたりします(重要)。


    ⬜️総評
    ・「パンツが入ってた」という導入は悪くない
    ・でもそこだけ。他は溶けた氷水。
    ・エロ、ラブ、キャラ、全てのクオリティ向上が必要。


    最初にアイデアだけ浮かんで、続きは後先考えずに書いている印象です。とりあえず思いつくまま書いてるというか。違います?

    別にそういう作風も否定しませんが、初心者の間にそれやると大抵後悔するのでお勧めしません。なまじそれで受けたりしてしまうと、上達の機会が一生失われたりしますし。

    まあ私はそれこそ作風もジャンルも違うので、アドバイスらしいアドバイスはできませんが、漫画的な「面白いかどうか」はわかりますし、感想も言えます。

    もしいつか、自分の書いてるものが面白いかどうかわからなくなってしまったら、聞きに来てください。私から見た「何故、面白くないのか」くらいは教えられると思いますから。

  • 【13】コックロビンよ、さようなら。(小鹿)
    https://kakuyomu.jp/works/16817330648772750884


    昨日は一日空きまして、申し訳ない。
    疲れからか気力が抜けてしまって、余暇時間をぼんやり過ごしてしまいました。やはり睡眠三時間は、脳に来るのでよろしくない。

    それに今回は、気力充実した上で臨む他ないお相手ですから。
    ということで十三回目の作品は、満を持してのご登場、小鹿さんの「コックロビンよ、さようなら。」です。

    小鹿さんは前回も参加された方で、前回の企画をご覧になられた方なら忘れがたいインパクトを放っておられた方です。

    前回参加の作品は「ハンガリー寄宿舎BL」という、どの要素を取っても梶野の専門外の本格派。技術的、文章的に梶野より遥か格上の作品でした。元々西洋の歴史研究が趣味という方で、今年、社会教諭になられたそうな。当時から歴史の造詣深く、はっきり言って「何故うちの企画に参加を……」と思ったくらいですw

    言うまでもなく梶野にそんな知識はなく頭を抱えましたが、あくまでエンタメ書きの門外漢として理解が難しすぎると感じた箇所や改善案を絞り出したところ、近況ノート五枚くらいの返信をいただき、さらにその後のやりとりで、「アフターサービス用」のノートの大半が埋まるという事態に。小鹿さんの専門知識に、私が漫画知識で突っ込むというアレな展開は、今見ても涙をそそります。私が「ラスボス」と恐れる所以ですw

    ですが、作品以上に長いやりとりを続けたおかげで、ジャンルは違えどお互いの考えや方向性を理解できた気がしますし、勉強にもなりました。趣味は違えど、これぞ本物という感じで、最後は尊敬の念すら覚えたものです。熱意はあれど物腰は丁寧な方でしたし。

    ちなみに去年のやりとりは、過去ログからご覧になれます。
    興味持たれた方はこちらからどうぞ。小鹿さんは【22】です。
    私も思わず読み返しましたが、本当にすごいですよ、もう色々。
    https://kakuyomu.jp/users/kamemushi_kazino/news/16817330647890943183

    今回、再びじっくり感想企画を開催するあたり、やはり考えたのは小鹿さんが再び参加されるどうかでした。
    最高に大変だった半面、大いに刺激を受けたのも事実。とはいえ、流石にもう文学素人の企画に来られることもないか。
    そんな風に考えていましたので、参加表明を受けた時は跳び上がりましたね。ついに「ラスボス」が来た!とw

    順番的にはまだ後があるので「中ボス」ですが、私的には気合を入れざるを得ません。そんな小鹿さんのアンケート回答はこちら。


    お久しぶりでございます
    小鹿です

    今回も文字数が少々オーバーしておりますが、手紙形式の短編作品にて参加させていただきました
    よろしくお願いします



    『コックロビンよ、さようなら』

    ・特に意見が欲しい部分

    主人公サミュエルとロビン、それぞれのキャラクター設定(生い立ちに基づく価値観、判断など)が、読み手にどのように受け取られるか

    今回の作品も、社会体制や育成環境が個人のアイデンティティーに大きく影響するという前提のもとに書いています
    一応、前回よりはライトにしたつもりなのですが(笑)、どうでしょうか

    また、弁明の手紙という特質上、全編を通して、どうしても説明的になってしまうのですが、このあたりも読み苦しくなかったかどうか、ご意見お願いいたします

    ・「梶野ならこう書く」アドバイスは必要か否か

    アドバイスお願いします

    しかしながら、本作の舞台設定、キャラクター設定のままでは梶野さんも答えづらいかと思われますので、
    「別ベクトルに感受性豊かな二人のキャラクターをどのように書き分けるか」
    に対して、方策やご意見をお聞かせいただけると嬉しいです

    私としては、手紙という一対一の密室を作ることで、
    感情の発露をより引き出せる→感受性の違いを表現できる、
    と考えて、今回の形式を選びました
    (しかし、読者への前提提示+感情の弁明のため、ダブルで説明過剰になりがちというデメリット有りです)

    梶野さんのご感想、とても楽しみです
    よろしくお願いします!


    ──うはっ、流石に心得ておられる。お気遣いに感謝します。
    覚悟を決めて、読ませていただきましょうか。

    これぞ、大一番。
    じっくり感想、始めたいと思います。


    ⬜️読みながら感想
    二読後の感想を、読みながら書きます。

    言うまでもないですが、私より文章が達者な方なので、細かな誉め言葉は省きます。特に感じたところに触れる程度です。


    >一、ロビンからの手紙

    >艶やかな象牙の、未だ何にも形作られていない一本牙のような精神と君に評された僕だ。

    二読してみると、なかなかの皮肉ですね。
    象牙は白人の横暴の象徴ともいえるものですからw

    >“Be patient till the last.”
    最後まで辛抱してください。
    こういうのがさらっと出てくるのが怖いw

    >サミュエルよ、オークヴィル校に得た青春の友よ!

    この一文でもうロビンの気質が感じられます。
    生真面目で熱意溢れて、そしてうざそうw

    >君が述べる。運動にはインディアの貧困が根底にあり、それは英国の重商主義に基づく圧政によると。

    植民地時代の是非ですね。
    高校に世界史がなかった程度の知識なのが残念ですが、アフリカの貧困とか現代に通じる話でもあるので理解できます。

    日本人的には、欧米諸国の植民地と一線を画す方針でやってたこともあり、サミュエルの意見に賛意を示すところですが、当時の英国人にすれば、トーマスの見方が常識だったんでしょうね。

    英国はいまだに身分制度が残ってるお国柄ですが、そこら辺もこの認識に影響してるでしょうか。いや、米国も奴隷制度とかあったし、白人系の傲慢という話なのかな? 先生にお尋ねしたいところです。

    >君が反論する。貧困の連鎖は、断ち切らねばならない、と。

    ここら辺、現代日本でも問題になっていますよね。
    富裕層は子供を塾に通わせられるので、結果的に機会の不平等になってるとか。
    最近は教育無償化の流れが地方から始まってますが、少子化対策とは別に国が関与すべき問題だと思いますね。
    おっと話が逸れた。ともあれ、興味深い話題です。

    >少年たちは学校に行けず、無学ゆえに、低賃金な茶摘み労働にしか就けない。

    言っても英国側としては生活向上とかは建前で、国力つけさせたら独立されるのが分かってるから搾取に全振りしてるもんだと思ってました。エゲつないですが今も大差ない気はします。中国とか。

    >君がインディアンの血統を汲む者だと噂が流れた。

    文脈的に間違えることはないと思いますが、念入りに誤読を防ぐなら、「インド人」にインディアンのルビを振ってもいいかと。

    >君は徹底してインディア個人の視点に立ち
    ここは「個人」は不要では。
    インディアは国名ですよね? 「日本個人」と言わないように。

    >一瞬、悲しみの情動を認めた。
    ここはもう少し口語に寄せていい気も。
    いや、感情が昂って詩的に書いてる可能性もあるか……

    >「君には決してわかりえないだろう、君は恵まれた人間だから」

    同じく、手紙形式に台詞だけ引用すると、小説的に感じて微妙に違和感があります。「君の言葉だ。」のような説明があると和らぐんですが。

    >それなのに、君は微笑んで、実に静かに僕の境遇の幸いなることを肯定した。

    一読目はあきらめの境地なのかと思いましたが、最後まで読んだら最後通告でしたw

    >こうして親の貧困が、負の遺産として子供に受け継がれていく。

    ここら辺、現代でも変わりませんよね。
    資本主義の宿痾なのかもしれません。
    共産主義以外の解決策はないものか……

    >一月後に訪ねてみたが、簡単ではないと思い知らされた。

    そういや、当時の日本の識字率の高さは寺子屋制度が大きかったとか聞いた気がします。
    英国はどうだったんでしょうね。植民地以前に階級下の方の教育制度って。まあ日本でも「職人は学校行く必要なんてない」てな時代もありましたがw

    >君もそこにいたんだね。僕がオークヴィル校に通っていると伝えたら、博士は「サム」を知っているかと尋ねられたよ。

    ここ、どのタイミングなのか、気になります。
    ロビンは二年半つきあった末にサムに打ち明けられるまで、サムの出自について知らなかったと読めます。博士からこの事実を知ったのは、当然それより後、数カ月の間ということだと思いますが、明記があった方が読者に伝わりやすいかと。

    >これが、不平等な社会の恩恵を受けて幸福に生まれ育った僕の、最大の還元だと確信している。

    おおう……w

    >君の苦労に思いを寄せ、君の悲しみに憐れみを示す。
    そういうところだと思う。

    >「この一本で始めた勉学が、君の人生を変える。生まれは選べないが、知識は君たち自身で獲得できるのだ。運命に抗いたまえ」

    この台詞の、後半のひっくり返しぶりがいいですね。
    ロビンが感銘を受けた言葉だけに。


    >二、オリエンタル・スワロウへの手紙

    >今の僕には、思春期の激情を受け止める余裕はない。

    「思春期」は違和感を感じました。
    もちろん意味合いは正しいんですが、思春期という言葉は大人が振り返るものの気がするので。思春期真っただ中の人間が一番使わない言葉でしょう。「この激情」で十分かと。

    あーでも、自虐として使ってるかもしれないか。うーん。
    いやでも、それでも私なら使わない、かなあ……

    >生玉子を矢継ぎ早に手渡されると想像してくれたら、大きくは違わないだろう。

    上手い例えですね。

    >まず、ユーラシアンについて。欧亜混血児のことだが

    説明が入ってるのはありがたい。

    >僕の場合、母方の祖母がアーリア系インディアンで、母が一世のユーラシアンだ。

    肌の色から察するに、インディアの血は四分の一なんですかね。
    ここ、父親の情報はありませんが、白人かインディアンかだけでも知りたいかも。

    祖母がユーラアシアンというだけなら、その娘はインディアと結婚したのかもですし。サムの父が白人かインディアンかで、かなりイメージ違ってきますので、必須でしょう。ここではっきり触れた方が、キャラの輪郭が立つと思います。「ユーラシアンお決まりの話」だとしても、読者の大半は知らないことですし。


    >僕の引き渡しを拒否する母を責め続けた。

    ここやこの後も母の存在は大きく描かれますが、父親は触れられませんし。死んでるのかレベルで。まあ父親も白人で放棄された状態かなと想像はしましたが。

    >ちなみに、ダージリンは谷を挟んだ山向こうにあった。
    へーへーへー。

    >僕みたいに見た目がほぼ白人の子供は、養子の貰い手がまだあったんだ。

    白い子供しかホームに行けないのかと思ってました。

    >父は、アッサムの母を探してはくれなかった。お前の母はこの人(養母)だけ

    なぜ義理の母は養母なのに、父は養父でないのかが不思議です。

    それと何故、母を探す必要があるのかが謎。
    「行方知れずになった」ならわかりますが、普通なら同じ場所に住み続けているのではないですか? もしそうなら説明が欲しいところ。 
    でなければ、「母の住む町に近づくことすら禁じた」とかの方が理解しやすい気がします。

    >ともあれ、十三歳の秋、ベンガルの屋敷から出された僕は、

    十一歳で拾われて、二年間の猛特訓ですか。
    もっと幼少から拾われてたら、ロビンと変わらない家庭環境だったんでしょうが、二年ではねえ……生粋の富豪と成金みたいな感じですな。

    >打ち解けきらない僕にも、温かく接した。

    「接してくれた」だと思いますが、この前に「気に掛けてくれた」があるからですかね。でも「接した」は違和感。

    >君はなぜ彼がロビンと呼ばれているか、ご存じかい?

    このロビンのエピソードは秀逸ですね。
    ロビンの上流階級的な甘さを示すと同時に、英国側のシンボルとしてニックネームを与えている。お見事です。

    それをサムが辛辣に評する気持ちも、よくわかります。

    >鉛筆の一本すら、使用管理帳を付けて父に報告しなければ、削り出せない僕だ。

    ここで伏線を撒いてるのも流石の一言です。

    >貧困が学問対象になることにも、貧困を道徳規範に帰結させることにも、驚きと言い表せない不快とを覚えた。

    ロビンに悪気はないんでしょうが、現地人にすればそりゃあねえw

    >彼の手に湧き出でるシェケル銀貨よりも、僕のレプトン銅貨二枚の方が尊いと、心の中で訴えながら。

    うへっ。見事な表現過ぎて舌を巻きました。

    >サミュエルたる僕は喜びと憧れに笑顔で応じるが、貧しいサム少年の心は彼を仇のように憎む。

    大変わかりやすい心理描写だと思います。

    >ノイローゼになっていた。英国人を演じて、疲れ果てて、夜も眠れない。

    うううむ。さもありなん。

    >会の主催者は、ロビンが生まれたときに産着を贈ってくれた人物らしく、夫人は懐かしそうに、「坊やも大きくなったわね」と言いながら、彼の頬へと手を寄せた。

    ここ、「会の主催者は~」から「夫人は」と続くので、主催者の夫人かと誤読しました。その後のロビンの台詞でわかるとはいえ、「彼の母親は」の方がスムーズに読めるかと。

    >悲しみと孤独とに冷えた頭は不思議と冴えて、心理的忍耐の限界が近いことを報せ、ロビンから離れるか、自身の感性構造を変革させるかの二択に迫られていることを警告する。

    ここは悪文寄りだと思います。

    >「祖国の同盟相手をご存知ないか? 覚えておきたまえ、大日本帝国さ。そして、僕はスズチカ! 侍の一族、アオイ家の長男だ!」

    かっこよすぎるw
    英国貴族と日本の武士(士族)は、わりと共通点多かったと聞いた気がしますね。

    >君は言ったね。人はよく知らない者を侮る。もしくは、恐れる。しかし、侮られることは恐れられることより、なお幸いだ。

    なかなか個性的な論です。
    確かに恐れられていては、友人にはなれませんね。

    >英国人の無自覚な差別というか、無関心ゆえの偏見な認識を、ひとつずつ解いていった。

    こういうキャラが一人いると、物語の風通しがぐっと違ってきますね。

    >二月の末、孤児院からの手紙で、その少女が脱走したと報された。ロビンは僕へと紅茶を注ぎながら、救貧は入れ込んではいけないと諭した。

    贈った靴のおかげとも言えますよねw
    まあこうも無邪気に悪しざまに言われては、サムがキレるのもわかります。

    >ダージリンが注がれた白磁のノリタケには、藍にて園亭パヴィリオンと柳とが描かれ、空には燕スワロウが飛んでいた。

    ここの暗喩。園亭と燕はわかりますが、柳がわかりません。
    なんだろう? 
    英国社会の風の中で耐えてきた、サム自身?

    >出自を恥じない強さが欲しいと思った。ロビンを愛するからこそ、ロビンにも「サム」の心を知ってほしいと思った。

    こう思う気持ちもわかる気がします。
    ただ嫌ってるのではない。彼が悪いわけではないと理解した上でなお、互いの出自から来る違いに耐えがたい、ということなんだと理解します。
    ここでブチまけたのも、ヤケクソだったのでは、とさえ思います。

    >オリエンタルは、美としてのみ愛されるんだよ。

    ここら辺は英国というか欧米の偽らざる本音でしょうね。
    シノワズリとか。
    ああっ、また先生から長い返信が返って来そうな予感w

    >心理的忍耐の限界は、なんとも静かに訪れるものだと知った。

    ここら辺の「静かな臨界点」という描写は、実感溢れていて、説得力がすごいです。キャラにも合っています。
    人間関係が本当に終わる時って、逆に大騒ぎじゃないですよね。自分の中でピリオドを打つ感じ。少なくとも私はそうです。

    >僕は、少なくともインディアの貧困は、英国社会に富を供給する植民地としての役を負わされる限り、解決の糸口も掴めない問題だと思うのだけど

    私もこちらに同感。
    個人の資質でなく、社会構造の問題だと。

    >僕は白磁器チャイナのように東洋美として彼の側にありたいわけではないけれど、僕をどのように愛するかは、彼の物語において、彼の自由だから。

    うへえ。上手すぎる……

    >と、言いつつ、こうして長々と手紙を書いた僕は、美しくないままに愛されたいという弱さを律しきれなかったわけだ。

    ここら辺の矛盾が、人間らしくて愛せますね、サム。

    > 君の厄介な上級生、サミュエル・ボウより

    ううむ。控えめに言っても傑作ですな。
    めちゃくちゃ面白かったです。

  • ⬜️全体の感想
    ・タイトルについて
    これぞ、と言う他ありませんね。
    語り手の片方をロビンと名付け、テーマの一辺を担わせていますし、物語的にも実はストレート。文句なしです。

    ・文章について
    今回も勉強させていただきましたw

    前回は凝った言い回しが多すぎ、逆に読みづらかったり没入感を妨げていましたが、今回はそういう問題は一切ありませんでした。

    ほぼ詰まらず読めましたし、こうなると文章力に圧巻されるばかりです。テーマの噛み砕きというか、わかりやすく伝える意識も、前作より遥かに多く、エンタメ派の私的にもまさに絶賛もの。やはりわかりやすさあってこそ、テーマが伝わるというものです。

    一応、何箇所か気になった部分だけ指摘しましたが、およそ重箱の隅なので、気にならなければスルーしてもらって結構です。

    ・内容について
    百点満点で言ったら、百五十点くらいですね。
    一読目は「二百点」だと思ってましたが、細かな指摘部分が出て来たのでちょっと減らしました。
    それでも圧倒的に面白いし、テーマも深い。キャラも立っていて文章力も高いと、ほとんどケチのつけようがありません。
    一読目なんて「剃刀の入る余地すらないな」とすら思ったくらいですからw 
    言うまでもなく、大絶賛です。

    私は、「祖父が金持ちで両親が貧乏」という、かなり変わった境遇の育ちでして、両方の気持ちがわかる立場です。そういう私には、ロビンとサムという対照的な二人の心境は二倍の意味で刺さりました。
    大学時代、奨学金を受けてた後輩に一線を引かれてたのも、そういう心境があったのかもなあ……とかロビンにも同情したり。サムのような体験も何度かしてるんでアレですがw

    ここまで完成度が高いとアドバイスもへったくれもなかろうと思えますが、細部で「こうすればもっとよい」は私なりに幾つか見つかったので、簡潔に書いていきます。

    >父親について。
    これは「ながら感想」に書いた通り。
    祖母がユーラシアンなサムですが、父も白人であり、棄てられた境遇であると明記した方がキャラが立つかと思われます。
    父親がインディアの可能性もありますが、描写から推測するに多分白人でしょうし。
    「二代に渡り英国に捨てられた血筋」とか、そういう演出も可能かと。

    >母親について。
    これも指摘済みですが、母親を「探す」という違和感の解消です。

    >スワロウについて
    二話目で聞き手となるアオイですが、ロビンの手紙では一切出てきません。
    というか、私は最初、往復書簡だと思い込んでいて「ロビンなのにスワロウ?」とか壮絶な勘違いをしてましたw
    ここら辺、アオイについて何であれロビン側で名前を出しておけば、
    「ああ、あのキャラへの手紙なのか」と呑み込みやすいのではと。

    物語が二視点から立体視され、厚みを増す気もします。
    純粋英国人であるロビンから見た、アオイの印象とかも気になりますしね。

    >スワロウと仲良くなる経緯が欲しい
    ぶっちゃけ、サムの気持ちがロビンよりアオイに行ってる気がしますw
    それはそれで全然ありだし理由も明白なんですが、最後の独白相手にアオイを選んだ理由の補強はあった方が納得感が上がるのでは、と。

    例えば、アオイにだけは自身の出自を明かしてたとか。
    そこまで思いきれずとも、何かにつけ相談に乗ったり、逆に異文化交流に距離を置いたり、二人の距離感について、もうワンエピソードくらいあってもいいかな、と。

    あまり書きすぎると、ロビンとサムの話じゃなくなってしまいそうなので、軽く匂わせるくらいのもので十分だと思います。

    ・アドバイス回答について

    >主人公サミュエルとロビン、それぞれのキャラクター設定(生い立ちに基づく価値観、判断など)が、読み手にどのように受け取られるか

    これは内容に書きましたが、少なくとも私は満点を出します。
    大変興味深い、面白いテーマでした。
    ご自身のお仕事が役に立ってるのかもしれませんねw

    古い漫画ですが、「ぼくの地球を守って」(日渡早紀)という少女漫画に出て来る、紫音と玉蘭という男二人がこれに近い境遇と関係性でして。読みながらふと、そのことを思い出しました。まああっちはもっとドロドロで、紳士然とした結末ではなかったですがw

    >今回の作品も、社会体制や育成環境が個人のアイデンティティーに大きく影響するという前提のもとに書いています
    一応、前回よりはライトにしたつもりなのですが(笑)、どうでしょうか

    格段に読みやすかったです。
    面白さがダイレクトに伝わったのが、今回の高評価に繋がったんだと。
    あと、何となくエンタメを意識されてる節も感じました。アオイとか。あのキャラ大好きw

    >また、弁明の手紙という特質上、全編を通して、どうしても説明的になってしまうのですが、このあたりも読み苦しくなかったかどうか、ご意見お願いいたします

    一部のみ指摘しましたが、それ以外は特に違和感なく読めました。
    もちろんリアルな手紙として考えれば、多少なり説明感はあるのですが、まあそれは一人称の宿命というか、不文律かなあという気がします。
    それに言葉遣いが独特なのもあり、「このキャラたちならこれくらい言いそう」という補正効果が生じるのは強みかと。現代人の手紙だと、やはりどうしても違和感が強く出てしまいますからねえ。

    >「別ベクトルに感受性豊かな二人のキャラクターをどのように書き分けるか」
    >に対して、方策やご意見をお聞かせいただけると嬉しいです

    いや。十二分に書き分けられてると思いますが、あえて追加するなら、アオイについてですかね。すでに書いた通り。
    このキャラは異分子であり二人の橋渡しなので、そこの描写を加えれば、よりキャラの輪郭がはっきりするかと。何より面白くなりそうです。


    ⬜️総評
    ・百点満点中、百五十点。
    ・圧巻の文章力とテーマ取り。
    ・今回はエンタメ的に見ても文句なし。

    いやはや、御見それしました。
    内容的にはプロレベルではないかと思います。
    一年後くらいに「デビュー決まりました☆」とか、さくっと言われても信じてしまいそうです。
    前回は「凄いけど趣味が違う」でしたが、今回は「凄くて面白い」という評価です。脱いだ帽子をコマドリの巣にしたいくらいです。

    最上級の評価を送ります。素晴らしい短編でした。

  • 【14】この雨がまだ続けばいいのに(白黒灰色)
    https://kakuyomu.jp/works/16816927863034710745


    十四回目は、「この雨がまだ続けばいいのに」。
    白黒灰色さんの作品です。

    内容は、百合恋愛もの。
    ……百合率高い気がする……しなくない?
    まあ百合コンテストとかあるくらいですからね。
    一ジャンルとして急成長中ってとこなんでしょうか。
    好んで読むジャンルではないので、詳しくありませんが。

    梶野の認識としては、通常の恋愛ものも同性愛ものも、「伝え難い気持ち」という部分ではそう違いはないという感覚です。

    相手が異性愛者なので気持ちを伝えられないというパターンが多いですが、まあ異性愛でも相手にパートナーがいるとか、許されぬ相手ってパターンはシェイクスピアの時代からある定番ですし。異性愛者が同性愛を受け入れられないわけでも必ずしもないわけで、異性愛者を好きになっても絶望的とも感じませんし。特に百合は。何となくですが。

    まあ今まで読んで来た数少ない百合ものは、たいてい恋愛の前段階くらいで留まる作品が多くて、がっつりつきあって別れて、というところまで踏み込んだ作品を読めば、意見も変わるかもしれません。やはり一度は読んでおかねばですね……

    おっと、長々と語り過ぎました。
    アンケートの回答を見ておきましょう。


    初めまして。白黒灰色といいます。
    『この雨がまだ続けばいいのに』という作品で参加させてください。

    最近創作意欲はあるのですが、モチベーションが上がらなくて……何かきっかけが欲しかったんです。
    たぶんこの作品と似たような話を書くと思うので、次の作品作りの参考にできればなと。

    辛口でも構いません。

    ・特に意見が欲しい部分。
     主人公2人の心理描写。
     読み辛い表現とかないか。

    ・「梶野ならこう書く」アドバイスは必要か否か。
     無しでお願いします。

    よろしくお願いいたします。


    ふむふむ。
    辛口OKで「梶野ならこう書く」はなしと。了解です。
    モチベが上がらない人に辛口は傷に塩な気もしますが、発奮材料にできるタイプなのかもしれません。何かしら、気付きを得られるといいんですが。

    それでは、じっくり感想を始めしょう。


    ⬜️読みながら感想
    二読後の感想を、読みながら書きます。

    >前編

    >分厚い黒い雲が、空を覆っていた。
    >雨や風が迫ってくるような勢いで、教室の窓を叩きつけている。

    何だかすっきりしない文章です。

    >おまけに雷まで落ちて、私は思わず読んでいた本から顔を上げた。

    この小説は一人称なので主人公目線です。
    本を読んでいた主人公の目線は当然、本にあるはずなので、雲や雨風が描写されることに違和感を覚えます。

    これが主人公が窓の外を見ている場面や、三人称なら問題ないんですが。

    >顔を強張らせて、肩を丸めている。
    「肩を丸める」には複数の心情表現があるので、使用が間違いではありませんが、森下さんの気持ちが読み取りづらくなっています。「顔を強張らせて」だけの方がよいです。

    >「そうだね。天気予報だと雨のピークは2時頃で、それから弱まっていくはずなんだけど……」

    台詞が説明的でもっさりしています。
    天気の話で時刻の予想は確実ではないので、もっと曖昧な方が「らしい」かと。

    >今では、小型の台風でも近付いているのではないかと思える程、成長していた。

    雨は「成長する」とは書きません。台風と混同していると思われ。

    >口から溜息が漏れる。
    溜息が口から出るのは、書かずともわかります。
    特段の意味がなければ、省いてよい描写です。

    >私が帰れなくなったのは自業自得だから
    説明的。もっとテンポよく。

    >結局は口を噤んだ。
    作風にもよりますが、「噤んだ」はルビをふるべきかも。

    >先生に相談すれば傘とか貸してもらえたのかな?

    これから借りるなら、「貸してもらえるのかな?」。

    >雨が止めば帰ればいいと、楽観的に考えていたせいか、私も単純なことに今更気が付いた。

    文章の繋ぎが変です。
    単純なこと=「傘を借りればいいこと」だと思いますが、「楽観的に考えていたせい」と「今更気付いた」が繋がりません。「楽観的に考えていたせいか、単純なことに気が付かなかった」が普通です。

    >森下さんが提案する。私も窓の外へと目をやった。

    森下さんが窓の外を見ていないなら、「私も」はおかしいです。

    >真っ暗闇の中、風が生き物の呻き声みたいな音を立てている。

    ここは悪くない表現。

    >だが、私はこの状況で外に出る気はなかった。
    >表情を見る限り、それは森下さんも同じだろう。

    ここの説明が謎です。
    私が外に出たくない理由の説明は後に譲るとしても、森下さんが外に出たくない理由とは? 傘を借りる提案をしているのに?

    「帰る手段は思いついたが、あまり採用したくない」という簡単な話なら、そう伝わるよう、私の理由を説明すべきです。謎の理由を森下さんにも適用されているので、「言えないような理由が二人ともにある」ように読めてしまいます。

    >最終下校時刻
    台詞で使うにはやや固い言葉かと。

    >「……まだ最終下校時刻まで時間あるし、私はもう少し教室で粘っていたいかな。どうしようもならなくなったら、仕事帰りのお母さんに車で迎えに来てもらってもいいし」

    私か森下さんか、どちらの台詞かわかりません。
    両方の口調が似通っていてわかりづらく、どちらが言ったのか明記が必要です。

    >それに雷がしてたら、傘が避雷針になっちゃうんじゃあ――」

    「雷がしてたら」は意味不明です。
    「避雷針」は言いたいことはわかりますが、定義的には微妙です。言い回しを考えましょう。

    >「きゃあああ」
    文章が安くなるので、台詞にする必要はありません。
    強調したいのであれば、「悲鳴を上げた」の地の文で表現すべきです。

    >暇な神様だ。
    首を傾げる表現なので、不要かと。

    >先生に傘を借りることも、少し考えれば直ぐに思い付けただろうし

    断言できる話でもないので、論理の組み立てがちょい怪しいです。

    >『私が居るから安心して』みたいな言い方はしづらかったのだ。

    ここもちょっと疑問。
    お姉さんタイプの物言いができないのはわかるとして、ことさらに「自分も怖いふり」をする理由が欠けています。元から怖くないなら、素で話せばいいだけのことですし。

    逆にこの言い方が森下さんを落ち着かせるのに効果的だと思ってのことなら、そう書けばいいと思います。効果はともかく、主人公の意図は理解できるので。

    >私が森下さんと友達になったきっかけは、1年生の体育の授業だった。

    そもそも、現時点で何年生なんでしょう?

    >『水島さんをお母さんとお父さんに紹介したいんです』

    お父さんが家にいるの?

    >これだけあると普段本を読まない私でも、興味が沸いた。

    ここは全然共感できません。
    本を読まない人は、数があっても興味を惹かれません。逆にうんざりしがちです。
    森下さんが積極的に貸してくれるなど、別のアプローチが必要だと思います。

    あと、今は教室で本を読むくらいですから、「普段本を読まない私」は、「あの頃は本を読まなかったが」くらいにすべきです。

    >――ひとりは好きだが、孤独は嫌い。
    ここら辺は共感できます。
    仲が良くなると、お互い別のことをしてても気にならなくなりますしね。

    >私の不運に巻き込んでしまったことは申し訳なく思うが、この時間が続くのなら、もう少し雨でもいいかな。

    普通の雨なら、こういう気持ちになるのもわかるんですが。間近に雷が落ちるような状態なんですよね?
    心静かに読書したり、物語の世界に入ったりはかなり無理があるシチュエーションだと思います。

    せめて「それきり雷の音は聞こえなくなった」とかにすべき。

    >後編
    あれ?

    二読目でやっと気づきましたが、前半は水島さん視線で、後半は森下さん視線?
    キャラの個性がほとんどないので、一読目はまったく気付きませんでした。
    逆に言うと、読んでて違和感を感じないくらい特徴のない話ってことです。後述。

    >あまり見ていると気まずくなりそうなので、視線を逸らそうとしたが、丁度その時、校内放送が聞こえてきた。

    ここも繋ぎが変です。「したが」で繋ぐ意味がありません。
    「逸らそうとした」と未遂にする必要もないです。
    「視線を逸らした時、校内放送が聞こえてきた。」の方が、簡潔でわかりやすくなります。

    >静寂を破る、無粋な音だと思う。
    雷鳴ってるのに?

    >1時間半前の雨は何だったの?
    ここも時間で書いても上手く伝わりません。
    大雑把な表現で十分です。
    雨の変化や経緯の描写がないので、必要な情報でもないですし。

    >諦めていた計画を実行できるかもしれない。
    あー、定番の奴ですね。

    >「もしかして、何か悩み事とかあるの?」
    「悩み事」は飛躍しすぎかと。
    「用事とかあるの?」くらいで。

    >「その……少し前に読んだ小説にね、主人公が友達と相合傘をして帰るシーンがあって、私そういうのに少し憧れていて、やってみたいなぁって思ったの。それで……私が傘を忘れていたら、水島さんが入れてくれるかな……って思って」

    悪くない言い訳。

    >「私も今日は水島さんと一緒に居られてよかったと思うよ。雷の時、隣まで来てくれて凄く嬉しかったから。それに安心できたよ」

    台詞が平坦で個性がありません。

    >結局雷は2発で終わりだったが、
    情報提供が遅すぎます。
    前半の最後辺りには出しておくべき話です。

    >そうせざる得なかったからで
    そうせざる「を」

    >幼稚園の頃を思い出す。あの頃の私は、母親の傘を抜け出してはしゃいでいた。あの頃から、私は人に合わせることが苦手だったのだと思う。

    「頃」が三回も出てくるのはいただけません。

    >――でも今は、多少窮屈でも、誰かと一緒に歩いて行きたいと思っている。

    ここは前文からうまく繋げていて、いいと思います。

    >相合傘って久しぶりだし
    好きなら、「誰と?」が気になりませんかね?

    >だが、その『好き』がどういう『好き』なのかは判断ができなかった。私と同じ『好き』なのか、単純に友達として『好き』なのか。たぶん、後者なのだろう。

    ここら辺の独白は、後編の前半に持って来たほうが効果的です。相合傘の時点でわかりきってる話なので、読者的にはいまさらです。

    >『私も水島さんのこと好きだよ。 …………愛してる』

    うーん。よくあるやつ。

    >その雨音で私の恋心ドキドキを隠してほしい。
    別にこういうルビが駄目だとは言いませんが、ここまでの作風から見ると意外で、違和感が先に立ちますかねえ。
     
    私は水島さんの袖を引っ張った。

    ここは水島から動いたほうが自然です。
    聞こえるか聞こえないかの酷白をした側が、即座に自分から接触にいくとは考えにくいので。

    もしくは告白をこのシーンの後にするかです。

    >その勇気が出るまで――もう少しだけ、この雨が続いてくれればいいのにな。

    うーん。
    二人の関係が友達程度で、それが近づいたという意味なのはわかるんですが、そもそもこの二人、すでに互いの家に行き来したりしてる関係ですよね? あと席を隣にして座ったりとか。

    もう相合傘で近づく先のところにいる気がするんですが。男女で考えてみたらわかりよいですが、互いの部屋に行き来してて、沈黙も気にならない仲ですよ。相合傘なんて今更という感じしません?

    ここら辺ちょっと二つのテーマがかち合ってる気がします。後述。

  • 【14】この雨がまだ続けばいいのに(白黒灰色)
    https://kakuyomu.jp/works/16816927863034710745


    ⬜️全体の感想

    ・タイトルについて
    可もなく不可もなく、やや不可寄りという感じ。
    物語のテーマに沿っているのは褒められますが、捻りがなくインパクトに欠けます。タイトルは作品の顔なので、読者に興味を持ってもらうことを考えて、工夫してみては。

    ・文章について
    頭の中の物語を文章に落とし込むことはできていると思います。
    それで十分だと思うか、次のステップを目指すかは作者次第ですが、この次に求められるのは表現力の向上と文章リズムかなと。

    一人称から文章力を測るのは難しいですが、同じ言葉を繰り返したり、手垢のついた表現をなぞるのではなく、白黒さんならではの視点や感性、それに基づく言葉選びが出来るようになれば、作品の質はぐっと上がるかと。

    文章のリズムにも気を配るのも大事です。無駄な言葉をダイエットし、きびきびとわかりやすい文章を心掛けてみてください。作者目線を捨て、読者視点に立ち返って何度も読み返す癖をつければ、違和感に気づけるように
    なると思います。

    あとは、キャラクターの台詞が総じて固めなのが基になりました。これは文章力の問題ではないかもなので、内容で後述しましょうか。

    ・内容について
    大きな問題はないが、面白みにも欠ける凡作、という感じです。

    先によい点を書いておくと、キャラクターの心理を丁寧に掬ったり(特に森下さん)、印象的に締めくくったりはちゃんと出来ています。

    ただ、それ以前の物語の設定やキャラクター、話の展開に魅力がない。どこかで見たような平凡な話の枠内なので、丁寧さや演出力でフォローしきれてないんです。

    >キャラクターについて。
    水島さんと森下さんは、外見説明もなく(まあ私も今作ではいらないとは思いますが)、口調もほとんど同じ。両方とも本好きで、両片思いの設定なので、主語を省かれると見分けがつきません。

    私は一読目、後編の視点変更に気づきませんでした。まあ人名を飛ばし読みしてた私も間抜けですが、キャラを書き分けていれば、すぐに自分の間違いに気づけたはず。キャラが似通っているが為に起きた悲劇とも言えます。

    言うまでもなく恋愛小説において、キャラは肝オブ肝です。短編なので文字数は割けませんが、少ないエピソードからそのキャラの個性や人となりを読者に伝えるよう描く必要があります。今作では森下さんはそれが出来ていますが、水島さんは足りない感じです。

    何かしら対照的な特徴を与えて、そんな二人の距離が近づいていく(近づいた)展開の方がキャラも立ち、メリハリが生まれるかと。

    前後編のキャラ視線の変更は、よくある構成とはいえ狙いは悪くないと思います。
    ただこの手法は、同じ場面や関係がキャラ視点で大きく異なるからこそ面白いのであって、似たようなキャラ同士では活かせません。森下さんの気持ちも、前半時点でバレバレすぎて驚きがないですし。

    互いの認識の違いやすれ違いを描く際に有効な手段です。なおサブタイトルは、見てすぐそれとわかるものに直すことをお勧めします。

    >テーマについて。
    この物語のテーマは百合ものの微妙な距離感についてで、シンボルアイテムとして雨が選ばれています。
    一方で、読書というテーマも、二人を繋ぐアイテムとして大きく取り上げられており、これが逆に魅力を半減させているのではないかと。

    短編の原則はテーマを一つに絞り、それをいかに昇華するかのこだわりがポイントになります。今作は雨と本という二つを並列してしまったため、どちらにもこだわり切れず、凡作になっていると見ました。

    例えば相合傘で二人の距離が近づく後半の山も、前半で森下さんの家を訪れ本を貸す話を見た後では、「相手の部屋に行く(呼ぶ)方が距離は近いんじゃ?」と思えたり。教室で隣に座る話も同じです。相合傘より距離近いよね?と。

    どちらかをなくせとは言いませんが、どちらかの要素を減らす。もしくは「雨と本」という感じでパッケージしてしまう。などの改善が考えられます。

    >相合傘について。
    漫画だと「かぐや様は告らせたい」と「ぼくの心のヤバいヤツ」に、捻りの効いた相合傘エピソードがあります。百合ではありませんが、ご参考までに。

    >読書と恋愛について。
    互いに気兼ねせず読書できる関係というのは、それはそれで尊いとは思いますが、恋愛が絡むと相容れなくなる気がします。相手と仲良くなりたいなら、本ばかり読むわけにいきませんから。
    むしろ相手が気になってを本が読めなくなるとか、逆方向の展開があっても面白いなと思いました。まあこれは本が主題の小説になりそうですが。

    ・アンケート回答について

    >主人公2人の心理描写。
    >読み辛い表現とかないか。

    まあほぼ、読みながら感想と内容で触れていますね。
    心理描写については、書き方については問題はありません。心理自体が平凡で新しさがない点が問題だと思います。


    ⬜️総評
    ・文章は可もなく不可もなく。まだこれから。
    ・内容的には凡作。オリジナリティが課題。
    ・二つあるテーマを一つに絞るべき。

    丁寧に書けていますが、面白みに欠ける作品です。
    逆を言えば、面白さを意識しさえすれば、成長は早いとも言えます。まあ、面白さの何たるかとか、私にしても永遠の課題ではありますが……まずはご自身の感じる「面白さ」「魅力」を見つめ直してみてはどうでしょう。

    似た要素に「好き」というのもあるんですが、こちらはやりすぎると独善に陥りやすいので、ご注意を。


  • 【15】天使と男と女と悪魔(小豆沢さくた)
    https://kakuyomu.jp/works/16817330661982192119


    三十作限定の半分まで来ました!
    とはいえ今年は応答合った方しか受付してないので、参加率が芳しいとは言えません。その代わり、今年は返信率が相当高い。まあバーターなのかなと。
    何にせよ十五作目。記念すべき折り返し参加作品です。

    作品名は、「天使と男と女と悪魔」。作者は小豆沢さくたさん。
    さっそく、アンケート回答を見ていきましょう。


    初めまして。小豆沢さくたと申します。
    昨年の感想企画から実は気になっていて、ユーザーフォローをさせていただいておりました。
    このたび思い切って参加させていただきます。

    ・特に意見が聞きたい部分。
    エンタメ作品の小説として成り立っているかどうかと、文章のおかしい部分などご指摘お願いします。読み直しすぎてわけがわからなくなってきました。
    思い入れのある作品なのですがバッドエンドなので、万人受けしないことは重々承知しております。
    (バッドエンドが苦手でしたら大変申し訳ありません! その際は参加不可にしてください)

    ・「梶野ならこう書く」アドバイスは必要か否か。
    ぜひお願いします。

    よろしくお願いいたします。


    ふむふむ。
    梶野はバッドエンドにさして忌避感はありません。
    エンタメ的にも、ハッピーエンド前提みたいな読み方は嫌いです。
    どうなるかわからない、ドキドキがあるからこそ面白くなるものだと。
    自分でバッドエンドはあまり書きませんが、感動を生むために必要なら、躊躇なく選ぶべきだと思っています。
    なので、バッドエンドだからどうとか、考えたこともありません。
    面白いか面白くないか。感動したかしないか。それだけです。
    感動させれば正義。それがエンタメってもんでしょう。

    コメントから察するに、小豆沢さんは真面目に小説を書いておられる様子。
    まあ相手の如何に関わらず、全力で正直に感想を書くのが当企画です。
    忖度など一切なく、遠慮なく本音で書かせていただきます。

    それではじっくり感想、開始しましょうか。


    ⬜️読みながら感想
    二読後の感想を、読みながら書きます。

    >昔々、あるところに、広大な土地を有する大国がありました。

    ここから始まる国と村の説明が、まず冗長です。
    「広大な土地を有する」は「大国」で十分連想できます。
    この話の舞台設定で求められるのは「辺鄙な山村」だけなので、わざわざ国の広さに言及する必要もないんです。辺鄙な村がある時点で、ある程度広いのだろうとわかりますから。

    童話(昔話)めいた語り口なのに、「広大な土地」など固い表現が多いのも気になります。
    童話調にするなら徹底すべきです。ここなら「大きな大きな国がありました」など。
    物語を牧歌的なタッチで描き、バッドエンドとのミスマッチを狙う構成自体は悪くないと思います。少なくとも前半は童話を装うべきでしょう。

    >村は、自然豊かな山々に囲まれていました。空はすべてを浄化してしまうかのように、どこまでも青く高く広がっています。
    >人々は、わずかな平地に寄り添うように、穏やかに暮らしていました。

    ここも童話的に見れば長いです。
    「青い空、緑の山々、そのすき間のわずかな平地で、村人はおだやかに暮(く)らしていました。」

    >めったに争いごとなども起こらない村にとって、これはもう、天地がひっくり返るほどの大事件です。
    >戸惑うばかりだった村人たちでしたが、聖職者たちの粘り強い説得により、徐々に新しい宗教を受け入れ始めます。
    >村の暮らしに、再び平和が訪れようとしていました。

    ここら辺、行を割いて説明してるので本筋に絡むのかと思いましたが、全然でした。
    天使の絵を隠した理由でしかないなら、不要とすら言えます。
    「過去に信仰され、今は忘れ去られた天使の絵」でも成立しますからね、この話。

    >この村の、一番大きく古い建物があります。
    文章がおかしいです。
    「この村の中央には、一番大きく古い建物があります。」

    その建物の管理を務める、ひとりの男がおりました。
    小さな村で専業の管理人というのは考えにくいですね。
    普通は持ち回りかと。普段は掃除程度しかすることないでしょうし。

    特に物語に必要な設定でもないので、「掃除を任された男」くらいで十分かと。
    行動的に若そうなので「若者」でもいいかもしれません。仕事の合間に掃除してるとか。

    >すっかり埃を払ってしまうと、男は新しい宗教の洗礼を受けたことも忘れ、神聖な気持ちで天使を眺めました。

    ここら辺、男の宗教観が気になるところです。
    強制的に改修されたことへの不満とか、天使信仰との距離感とか。
    男の反応は完全に恋愛のそれですが、まだ信仰があれば、そうはなりにくいものではないかと。宗教と無関係なら理解しやすいんですが。

    >その時男は、一瞬だけ見た天使の微笑みに、熱烈に恋をしてしまったのです。

    なので、ここで恋と断言してしまうのは多少違和感を覚えます。
    私なら、信仰とも恋とも取れるくらいに説明を濁すはず。
    その方がありそうですし、どのみち本筋に影響しないので。

    >あの微笑みをもう一度見ることはありませんでしたが

    男の行動のように読めて、伝わりづらいです。
    「天使が微笑んだのはあの一度だけでしたが」

    >天使とのふたりきりのひとときをとても幸せに思いました。

    ここの漢字の開き方が謎です。
    基本的に難しい漢字から開くものですが、「二人きりの一時」を開く必要性を感じません。
    よくて「二人きりのひと時」ですかね。
    むしろここを開くことで「何故もっと難しい字は開かないの?」と疑問を覚えました。

    >誰かに見つかろうものなら、
    「教会に」の方が的確かも。村人なら見逃してくれるかもですし。

    >ただちに焼き払われ、
    「絵は」と書いた方がいいですね。

    >女はずっと以前から、ひっそりと、そしてしたたかに、男のことを愛していました。

    「したたかに」が強烈な違和感を放っています。
    したたかに愛するって、どういう状態なんでしょう。
    私にはイメージできません。私なら「執拗に」、子供向けなら「ヘビのように」。
    女の感情の説明がないので、どの表現が適切か迷うところですが。
    女のスタンスが謎が多すぎて、いまいち感情移入できません。

    >男が心を奪われているものが、こんな場所にあるのだろうかと、女は不思議に思いました。

    この一文も不要ですね。
    それより女についての情報がもっと欲しいです。
    行動が異常なわりに、女の動機というか「何故そこまで好きなのか」「何故気持ちを伝えないのか」という部分が説明不足で、薄っぺらくなっています。後述。

    >女はその道を慎重に進み、たどり着いた壁に立てかけられている、やはり埃だらけの板をどかしてみました。

    ここも不要です。削っていい文章です。
    女が屋根裏を探索する場面を、何行も描写する必要はありません。

    >怒りに燃えた女は肖像画を手に屋根裏部屋を飛び出し、その足で教会に駆け込みました。

    まあ、そういう性格だといえばそれまでですが、恐ろしく短絡的ですね。
    このまま男が逃げたら、二人の関係は何一つ触れられないので、話が深まりません。
    私なら、ここはもう一捻りします。
    例えば、
    「女は男を呼び出し、肖像画を見つけたことを話す。
     教会に知られる前に焼いてくれれば、このことは二人だけの秘密にする。
     何故なら、あなたを愛してるから」
    という感じで恩を売りつつ告白に持ってく。で、
    「男にはその気がないものの、自身が危ういことを改めて認識。
     焼くと約束して肖像画を返してもらうも、絵を抱えて村を逃げ出す。
     女はそれを知って激怒、教会に通告した上、悪魔を呼び出す」という感じ。

    肖像画は男が持って逃げた方がドラマティックな気がします。
    そのせいで追いつかれたという理由づけにもなりますし。

    >ああ、天使なんか殺してやりたい! そのためなら――悪魔とだって契約してやる!
    >以前、村の極一部で秘密裏に行われていたという悪魔信仰は、村の禁忌でありました。
    >悪魔は天使の消滅を目論み、天使を祀る人々を不幸に陥れる存在です。

    いきなりの悪魔登場、唐突感が否めません。
    全員顔見知りだろう小さい村で、悪魔信仰とか可能ですかね?
    天使の絵を隠し通す以上に至難だと思いますが。
    それに、人口の少ない村で悪魔信仰を増やす合理的な理由も見当たりません。
    悪魔だって教徒が簡単に増やせる都会を狙いそうなもんです。
    というか、新宗教についてはだんまりなんですかね、この悪魔。

    なので私なら、女の個性の肉付けにそこらの説明を用います。
    後述。

    >憎しみのあまり、女が口にしてしまった悪魔の名。
    >その強烈な負の感情を受け取り、悪魔は人知れぬ闇の中で、永い眠りから覚醒しました。

    ここの描写はなかなかいいですね。

    >――呼んでいる者がいる。この悪魔との契約を望む者が。

    判断に迷うところですが、私なら悪魔に内心や台詞は与えないと思います。
    その方が神秘性があり、想像の余地が膨らむので。
    邪悪な笑みとか、表情で十分表現できそうですし。
    天使も同じで、今作でしゃべらせなかったのは正解だと思います。

    >ついには、谷底の見えない崖縁にたどり着いてしまいました。

    簡潔でわかりやすい場面転換。よいかと。

    >本来ならば、天使のきまりとして、人間の前に姿を見せることはご法度です。屋根裏部屋の絵に宿ってひと休みした時に、男に姿を見られたことは、天使の過ちでした。

    「絵に宿って休む」という設定は、独創的でとてもいいと思います。
    聞いたことがないですが、不思議と説得力があります。

    >憎しみに顔を醜くゆがめた女が、大鎌を手に現れました。

    大鎌といえば死神のシンボルですが、まあいいでしょう。

    >咆哮を上げたのは、天使を庇った男でした。

    ぶった斬られて咆哮をあげるのは変です。悲鳴かうめき声、もしくは無言かと。
    私ならここは鮮血を受けて「それは天使を庇った男のものでした。」
    で、声については説明なしで繋げます。無言てことですね。

    >しかし次の瞬間、辺り一面に白い羽根が舞い上がり、男の体は無傷で崖の上に戻されました。
    >自分を庇った男に命を譲り、天使は羽根を残して消えてしまったのです。

    ここの展開はゲーム的なチープさで、好きじゃありません。
    天使の対応にも疑問を覚えます。後述。

    >女の心は改めて、嫉妬と憎しみに燃え上がりました。
    >女は迷うことなく、再び男に大鎌を振り下ろします。

    女性心理として、浮気の際に女は憎んでも男に手は下さないものです。
    ……なのですが、まあ悪魔に唆されたと考えればアリかなーとも。
    「憎い天使は、まだ男の中に生きている。」は、なかなか心を抉る台詞ですしね。
    ただそうすると、悪魔は喋らせざるを得ないのかw

    >これでもう、私たちの邪魔はいなくなった――さあ、一緒に帰りましょう。
    >女の伸ばした手は、血に濡れた羽根を掴むばかりで、男に届くことはありませんでした。

    ここ、何が起こったのか全然わかりません。
    女が動けなくなるとしたら悪魔に魂を取られることくらいのはずですが、そうなら明記すべきでしょう。
    羽根も何かの暗喩とは思いますが、効果はイマイチ。
    わかりづらさが先に立っています。

    >すべてを見届けた悪魔は、不気味な嗤い声を残しながら、どこかへと消えていきました。

    筋的に無理はないですが、面白みはないですね。よくあるパターンです。
    どうせバッドエンドにするなら、このテンプレくらいは打破しておきたいもの。
    後述します。
  • ⬜️全体の感想

    ・タイトルについて
    「酒と泪と男と女」って歌があったのを思い出しました。
    悪くはないですが、いかんせん地味。
    とはいえ、私もいいタイトルが思い浮かびません。
    「天使と悪魔と男と女」と並び替えるか、「天使と男、悪魔と女」と切るか。
    うーん、どっちもイマイチ感が拭えません。

    タイトルが決めきれないのは、この物語にテーマがないことも一因だと思います。
    そこら辺は後ほど語ってみましょう。

    ・文章について
    基本的には破綻なく書けていると思います。
    ただ、それは最小限の話で、テクニカルとは言い難いところ。
    まだまだ文章修行が必要だと思います。
    まあ、今回は童話気味なので、押さえて書かれたかもですが。

    構成という意味では、まだまだ無駄が目につきます。
    不必要な情報を削り、必要な情報を欠かさないのは短編の基本です。
    特にこの企画ではキャラの説明が省かれ過ぎな作品が目につきましたが、今作も例に漏れずです。

    男女の愛憎が物語の中心である以上、ここの説明は絶対に必要です。
    女が何故それほどまでに男に惚れ込んでいるのか、男はどう思っているのか。
    両者のスタンスを事前にはっきりさせておかなければ、読者は肩入れできません。
    説明次第では男より女の方が正しいという見方も出来るわけですから。
    短編にはダイエットが必要ですが、必要な筋肉を落としては本末転倒。何が必要で不必要かを見極める目を養ってください。

    童話(昔話)調については、最後まで徹底すれば、売りの一つにできると思います。
    現時点では一部小説風の表現だったりで綻びがあります。文字数も少ないですし、貫徹するのもアリでしょう。童話にもバッドエンドはあるので、意外性はあれど違和感はありません。

    ただその場合は、漢字の開き方にもっと注意が必要でしょう。
    対象年齢によってどの程度開くかは変わりますが、基本は難しい漢字から開き、ルビを振ることです。基準がブレると見苦しくなるので、入念にチェックすべきだと思います。


    ・内容について
    まずは、読みながら気になった部分と改善案を挙げていきます。

    >女について
    ぶっちゃけ、この二人は恋仲にした方が、展開がスムーズになると思います。
    女の嫉妬や怒りも納得できますし。
    現状だと「したたか」のせいで、どうにも女に感情移入できません。
    双方とも事情も言い分もあるのが男女の泥沼です。その上でバッドエンドに突き進む方が、現実味とカタルシスがあると私的には思うのですが、どうでしょう。

    まあ男の不実度は上がりますが、天使という超常的存在が相手ならやむなしかと。というかこんな感じの神話あった気がする。

    >女と悪魔の設定補強
    として、こんな感じでどうでしょう。

    「女は都会の出身。知識階級で悪魔の知識がある(信仰者にするか悩めるところ)。
     革命の騒乱から逃れてこの村に辿り着き、女教師として村に溶け込む。
     この際、世話を焼いてくれた男と懇意になり、恋仲になる。」

    悪魔信仰ではなく研究をしてて、悪魔の危険さはわかっていたので契約してこなかったが、恋心ここに極まって契約を決める……みたいな設定をさらっと出すくらいがいいと思います。

    >男を救う天使
    ここの展開はゲーム的なチープさがあって、好きになれません。
    男が一瞬で無傷で戻るとか、まさにRPGライク。
    神や悪魔といった超常的な存在は、そうそう気安く人間に肩入れしないものです。まして献身は考えにくい。天使は神の使いで信仰対象ですから、一人のために身を投げ打てば、大勢の信徒を見捨てることになります。
    男に会いに来たり、助けたりはわかりますが、命を投げ出すのは無理矢理感を覚えます。

    私ならここは、もっとシンプルにこうします。

    「(山狩りなどで)崖っぷちに追い詰められた男だが、そこに天使が現れる。
     男に手を差し伸べ、その翼で奈落を越えようとする二人。
     だが、その背後に女が出現。空を飛びながら、天使を大鎌で斬り殺す。
     崖下へ堕ちる天使と男。女は男に手を差し伸べるが、男は最後まで天使の手を離すことなく、ともに谷底へ消える」

    結果的には同じですが、RPG感は多少抑えられるかと。

    >ラスト
    「悪魔の一人勝ち」というのはよくあるパターンで、斬新さに欠けます。
    女がどうなったのかもよくわからないので、そこら辺を私なりに改善するとしたらこんな感じ。

    「ともに消えてしまった天使と男。
     男だけでも戻せと、女は鬼気迫る様子で迫るが、悪魔は嗤うばかり。
     怒髪天をつき、女は悪魔をも大鎌で斬り倒す。
     もはや男を救う術がないことを知り、自身も谷に身を投げる。
     そして、天使も男も悪魔も女も、誰もいなくなった」

    まあ一例ということで。
    変化の方法はいろいろあると思います。

    以上、気になる点と改善案でした。

    >テーマについて
    さて。ここからが本題と言いますか。

    これだけ長々と評したり改善案を書いておいてなんですが、ここまで手を入れても、この話が平均点以上になる気がしないんです。
    形は取り繕えても、魂が入っていないというか。

    ズバリ言うと、この小説にはテーマが欠けています。
    この場合のテーマは、読者への示唆、強い共感、作者の思いの提示くらいに定義しておきます。
    小説に必ずしもテーマが必要とは、私は思いません。
    ハッピーエンドなら、とりあえず読者は気持ちよくなれますからね。
    ですが、バッドエンドには絶対に必要です。
    幸せになれない以上、他の部分で「何かを得た」と読者が思わなければ、「読んで損をした」と評価されるからです。例えば誰かの死というバッドエンドは、その死に様に意味が見出せるからこそ、感動的なわけで。これが無意味な死だったら、読者はブチ切れですよ。

    今作を読み終えた時、正直バッドエンドへの悪感情は生まれませんでした。
    登場人物の描写が少なすぎて、感情移入する前にバッドエンドを迎えたからです。
    ここはまあ、私が書いたような改善を加えれば補強できるとは思います。

    でも、テーマは補完できません。
    私でもここまで書かれた作品に後付けするのは難しい。書き直した方が早いくらいです。

    もしかすると、小豆沢さんには想定されたテーマがあり、私が読み取れていないだけの可能性もあります。その際は返信なりで教えていただき、改めて感想を書き加えてもいいんですが、おそらくは「天使絡みの男女のもつれの末の悲劇」というところかと。

    ただこれは、世の中にありふれ過ぎたテーマなんです。
    古今東西で擦られ倒したもので、「よくある話」でしかありません。
    これで読ませるには、小豆沢さんのオリジナリティなり新たな切り口が必要ですが、今作にはそこが圧倒的に足りていません。

    そして残念ながら、私も新たなアイデアを持ち合わせておりません。それ故に改善が難しい。
    逆説的には、そこで勝算を持てない間は、このジャンルで書かないということです。私なら。

    必要なのはオリジナリティ。「小豆沢さんならでは」という発想とアイデア。
    次に書く時は、ここを意識してみてはどうでしょう。
    文章のスキルなんて、何年も書き続ければ私が言うまでもなく上達しますが、アイデアはそうは行きません。
    才能に加えて努力なり長い時間なりを注ぎ込んで、ようやく得られるものなんです。
    だからこそ、その結晶を私は見てみたい。
    「これぞ小豆沢作品」というものを、次回は見せてください。
    それを念頭に書かれた作品なら、来年も喜んで感想書かせていただきます。

    ・アドバイス回答について
    >エンタメ作品の小説として成り立っているかどうかと、文章のおかしい部分などご指摘お願いします。

    すでに回答済みのようなものですが、改めて。
    文章の問題は「読みながら感想」にて指摘しました。

    エンタメ作品として成立してるかと言うと、新しさと言う意味でハードルに届いていない印象です。少なくとも小説や漫画を読み慣れた人間ならそう思うかと。
    基礎的な技術はあると思いますが、読者を驚かせよう、ここで感動させよう、という意識がまだ足りないと感じました。そここそがテーマなり主軸になり得るので、次作では「挑戦」を意識して書かれてみては。


    ⬜️総評
    ・文章は及第点。無駄を省き、必要な説明を意識すること。
    ・テーマの欠如が最大かつ根本的な問題。
    ・「よくある小説」の壁を破れるかが、次の課題。

    真面目に、真摯に書いておられるのは伝わります。
    ですが、大事なのはその次の段階。読者を楽しませられるかどうか。
    ここの意識が大切であり、私などはそこを注目しています。
    読者に受けるか、人気を博するかどうかはわかりませんが、挑戦が感じ取れれば私は評価しますよ。
    どこにでもある作品ではない。「この作者ならでは」の価値こそが大事だというのが、私の考えです。

    これからも弛まず、執筆を続けてみてください。
    再び作品を読ませていただく機会を楽しみにしています。
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