第1章の、既存の知の体系を「ある意外な視点」から再定義していく語り口には脱帽しました。難解で高尚だと思われていた歴史上の偉人たちの思索を、私たちの日常に地続きの「切実な問題」へと引き摺り下ろす手鮮やかさ。軽妙なジョークを飛ばしながら、実は現代人が抱える「ある欠落」を鋭く突いていく構成が見事です。この一見すると型破りな与太話が、物語の後半でどれほど重い意味を持つことになるのか。知的好奇心を刺激しつつ、最後には「生きること」の原点に立ち返らせてくれる、極上のエンターテインメントです。
もっと見る