誰かに見られているという根源的な不安が、平穏な日常を静かに、かつ確実に侵食していく心理サスペンスである。鏡の中の違和感や人混みでの疎外感といった繊細な心理描写が、読み手の猜疑心を巧みに煽る。終盤、日記を書き続けていた理由に気づくメタ的な展開は、読者自身を「視線」の当事者として引き込むような鋭い恐怖を孕んでいる。静謐な文体の中に、逃げ場のない狂気が凝縮された一作だ。心理ホラーを好む読者や、メタ的な恐怖体験を求める者におすすめできる。
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