トルムは冒険者。
高潔な冒険者だった父に憧れて冒険者になったが、理想と現実は異なるもの。
そんな現実に辟易しているときに
美しい娼婦ティシーに出会う。彼女たちは冒険者を温めるために同行しているのだ――。
トルムが理想とは真逆な現実でも、誠実であろうとするのが切ない。
ファンタジーの世界観だが、リアルな感覚が漂い、切なさを増しています。
トルムは父のようになりたかったのでしょう。
ひとりで現実世界でもがいているようにも思えました。
ティシーの現実も厳しい。彼女たちはなにかあったら囮にされたり見捨てられる存在だから。
そんなふたりが、肩を寄せ合うシーンでは胸が締め付けられるようでした。
現実は厳しい。けれどもそんな現実世界で出会えたことは奇跡だったのかもしれません。
お互いの温もりを感じながら、彼らは確かに幸せだったのかもしれないと思えました。
オススメです。ぜひご一読下さい…!!
理想と現実の狭間。改めて掘り下げると、やっぱり切ないことだな、と思いました。
主人公トルムは冒険者に憧れていた。高潔な冒険者だった父のようになりたい。そんな幼い頃からの夢を叶えるため、冒険者として武器を手に旅に出ていた。
だが、現実は綺麗なものではなかった。
冒険者たちは下卑た人間が多く、旅には「娼婦」なんかを連れ歩くことになっている。
この設定の段階で、「これが、現実的なものかもしれない」と強く思わされました。
冒険者というと、ゲームの中の世界を地で行くような夢のある職業のように思える。けれど、実際には「危険な境遇の中で荒事をこなして生きている輩」も大半となっており、単にそれは社会のレールから外れているアウトローのような側面も強いのかもしれない。
そんな現実を前にしつつも、高潔でありたいと願うトルムは、娼婦として連れてこられたティシーと交流し、彼女の身の上話などを聞くことにもなる。
ファンタジーな世界の現実と、過酷な境遇。理想とは異なる現実。そんな中で懸命にもがくトルムの姿がとても心に響きます。
彼は「この物語の主人公」ではあるけれど、「この世界の主人公」ではなかった。
そんないわゆるモブでしかない彼の想いは、この世界の片隅でひっそりと誰にも知られずに終わってしまうものなのかもしれない。
そんな儚さや切なさを感じられる、ファンタジーの知られざる一幕を描いた作品。読む人の心にきっと、何かを残してくれるものとなるでしょう。